神の真実と神実
「全く君たちは・・・何処まで考え無しなんだい?」
「「ブロウド?!!」」
凡そ戦場には似つかわしくない軽口を叩きながら彼は直ぐ傍にやって来た
だがその表情は私たちに心底呆れ返っている様に見える
「貴様も来たのか・・・ふんっ!我らに遠く及ばぬ今の貴様は居ても邪魔なだけだ。早々に去ぬ良い。」
多少の喜びを隠しきれていない声色でソテルアスはそう嘯くが・・・そもそもコレを習得させた元凶が彼だという事実を覚えているのだろうか?
だがそれよりも、彼の呆れ返った表情が気にかかる
「冷静に【暴喰神】を見ていなよ。今攻撃をしようとしているかい?」
そう言われてハッと目を向ける
すると先程迄が嘘の様に私たちの目の前で停止している
「・・・どういう事?」
「言っただろう?これは最強の役であり最弱の役だと。」
確かにそう言ってはいたが・・・意味が分からない
【暴喰神】が私たちに襲い掛かって来たのは事実であり、そして彼の言う最強の役に相応しい圧倒的な強さだった
「まぁこのまま見ていなよ。・・・直にクロノ君に戻る。」
そう言われて、思わず【暴喰神】を凝視する
すると・・・ブロウドの言った通り、数分もすれば触手や【暴喰王ノ口】は霧散し・・・クロノは地に臥す
「まぁこういう事さ。」
「いや分からないから。」
何処か得意げに答えるブロウドに対し思わず口を挟む
けれど今の説明で理解できる者など居ない筈だ
なのに彼は「やれやれ」と言いながら説明を始める
「クロノ君が使用したスキルは【神ヘノ冒涜】と言うスキルだよ。」
「いえちょっと待ってっ!!その話なら私も彼から聞いてはいるけれど・・・それって成長を促すスキルツリーよね?!」
そう答えるとブロウドは頷く
ソテルアスは何のことか理解出来ない表情を浮かべているが、この際放置しても良いだろう
「その通り。そのツリーを頂上まで辿り着いた時に得る力が先程の力なのさ。」
「そんな事・・・聞いた事無いわ。」
スキルからスキルを得る事が出来る話なんて眉唾だ
けれども私の言葉にブロウドは首を横に振る
「そんな事は無いだろう?例えば初級スキル『ダブルエッジ』を習得しなければ『ダンシングエッジ』を習得する事は出来ない。あれも言ってしまえばスキルからスキルを得ていると考えられないかい?まぁ【禁呪】は例外だけど・・・その代わり膨大な魔力を必要とするからね。」
・・・確かに初級魔法を習得しなければ中級魔法を得る事は出来ない
中級魔法を習得しなければ超級魔法を得る事は出来ない
私はそれを段階的に得るものだと考えていたが・・・そう考えれば今回の事も辻褄が合う
「で、だ。【神ヘノ冒涜】というツリーの頂点をギフトとでも言おうかな?それがさっきのアレという訳さ。」
名称が変わらない事に違和感を感じつつも、そこはそこでそういうモノかもしれない
何しろスキルツリーだったものがアレに変化するのだ
充分すぎる変化とも言えるだろう・・・
「そして【神ヘノ冒涜】だけどね・・・端的に言えば神を自分自身へ憑依させる事が出来るスキルだ。」
「待てっ!!神とは母上の事だけ、母上だけが神ではないか?!!」
ソテルアスの言葉に対してブロウドは再度首を横に振る
確かに私もお母様以外に神と呼ばれる存在に逢った事は無い
その事に疑問を抱いた事は無く寧ろ当然だと思っている
「親御様が神なのは疑い様の無い事実だ。だがそれだと親御様の下は私たち【真祖】という事になるが・・・例えば炎を司った【真祖】は居るかい?」
「・・・お母様じゃないの?」
「いいや違う、私たちに眷属が居る様に親御様にも眷属が存在し、それを神と呼ぶんだ。・・・まぁ親御様が絶対神なのは揺るがない事実だけどね。」
初めて聞く事実?に困惑する私たちに対してブロウドは言葉を続ける
「そもそも【魔神】、【剣神】と親御様と違う名の神を冠する称号があるんだ。全ての事象に神が居ても何ら不自然ではないだろう?」
そう言われればそうかもしれないが・・・私は未だ理解が追い付かなかった
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