ファスミーヤの苦戦と駆戦
「これでも喰らいなさいっ!!!」
【暴喰神】が今正にソテルアスを喰らおうとする瞬間、何とか私の魔法射程圏内まで辿り着く事が出来た
けれど私の魔法は何のことも無いかの様に【暴喰神】に喰われる
(・・・せめて手傷位は負わせたかったけどね。)
注意を私に逸らす事には成功したものの・・・依然勝機は見出せない
本来なら有り得ない筈なのに、魔力量も攻撃手段も格も相手の方が上・・・
【真祖】って一体何なの?と誰かに問い詰めたくなる
「・・・ファスミーヤ、か?」
冷や汗をかいている私に対し、捕縛されているソテルアスが声を掛ける
先程迄の本能だけで動いていた様な気配は消え、今は幾分か理性が戻っている様だ
・・・まぁ元々は筋肉達磨なんだけどね
「やっとお目覚め?」
「?!!なんだこれは?!!しかもコイツは何だ?!!私は【魔神】と戦っていた筈だ?!」
どうやら本能に振り回されて何があったのかも理解できていなかった様ね
そうとなれば少しでも勝ち筋を繋げるためにもソテルアスを開放させなければならない
「はぁっ!!!」
【暴喰神】の上空から数千の魔法弾を一斉に降り注がせる
だが当然かの様に数千の魔法弾を数千の触手で喰っていく
「ソテルアスッ!!今なら抜け出せるんじゃないの?!!」
「?!!おおおおぉぉぉぉ!!!」
触手が私の魔法に対し迎撃するならソテルアスを捕縛する触手の数も減少するという私の予想は当たった様だ
ソテルアスは力を込めて触手を振りほどき【暴喰神】と距離をとる
「ファスミーヤどうなってる?!!」
距離を置くと同時にソテルアスは現状を認識していないが故に私に向かって叫び出す
どうやら先程の攻防で相手が私たちよりも強いナニカという事は理解したのだろう
「あれがクロノよ!ブロウドがクロノに何か施して【暴喰神】っていう神にしたみたい!!」
「?!!・・・またアイツか。」
「私からすればどっちもどっちよ。」
そんな報告をしていると【暴喰神】はこちらに視線を向けて来る
「q wuoabeuorgb;aoeu」
「・・・何と言っている?」
「私が知る訳ないでしょ。・・・ただ、ロクな事ではなさそうだけど、ね。」
私がそう答えると同時に両腕を振りかざし、私とソテルアスに向かって触手の大腕で襲い掛かって来る
「?!!」
「搦手か!!」
私は咄嗟に魔力で障壁を創造して攻撃を防ぎ、ソテルアスは触手の一撃を回避すると同時に拳を叩きこむ
でも・・・私の障壁は瞬く間に喰われてしまい、ソテルアスの拳に対してもダメージを受けた様子は無かった様だ
障壁が喰われている間に私は更に距離を置き、ソテルアスは一撃を与えると同時に一気に距離を開く
「・・・無傷よな。」
「見ての通り・・・って事でしょうね。」
けれど解せない・・・
あの触手をみると、とても射程が短い様には見えない
にも拘らず、障壁を喰った後に私の方へ追撃を仕掛ける素振りも無かった
「・・・遊んでいるってことかしら?」
そう考えると無性に腹正しい
【真祖】といわれる私たち2人を相手に無表情ながら余裕たっぷりに見える表情も
いつでも殺せるとばかりな挙動も何もかもが腹に立つ
「・・・良いわ。私も妖精霊の【真祖】よ。この世界の全ての魔力を使ってでも勝って見せるわ!!」
周囲の魔力を形成し、数万の棘を顕現させる
幾千の触手如きだとこの数の棘を全て捌く事は不可能だろう・・・
「我は先程までと違い・・・然程怒り狂っては居らぬのだが・・・。」
そう呟いた後に何かのスキルを発動させたのか、一気にエンチャント付与されたかの様にソテルアスの魔力が上がっていく
「・・・貴方そんなスキル持っていたかしら?」
「・・・母上から承った【大罪スキル】だ。」
「?!!」
お母様はお母様で何をお考えなのかしら・・・
世界の理をお母様自身で壊す意味が分からない
「まぁそれは・・・生き残ってから考えれば良いわ。」
そう呟いて私は攻撃を仕掛けていった
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