ファスミーヤと異常な異形
「aneioghi agpahi ebaho・・・」
「・・・なによ、あれ。」
クロノの口から聞いた事も無い言葉が発せられると同時に身体が震える
姿形が異形なら、【真祖】である私を震えさせること自体も異常だ・・・
「ブロウドッ!!!あれは何?!!!」
私はクロノと言えるかも定かではないモノから視線を切らずに横に立つブロウドに言葉を投げかける
アレは・・・危険だ・・・
下半身は【暴喰王ノ口】と一体化し、上半身から上だけが球体の上に鎮座している
手から肩にかけて無数の触手が象った大きな腕として形成され、背中からは触手により4枚の翼が生えているかの様に模倣されている
クロノ自身に意識があるのかも定かではない・・・
ただ圧倒的な魔力と異形とも言える姿・・・そして純粋な何らかの意志を感じて恐怖を抱く
(恐怖・・・?この私が・・・恐怖を抱いているというの?)
「ねぇっ!!貴方はクロノに何をしたの?!!!」
いつまで経っても反応が無いブロウドへ視線を向ける
すると・・・痙攣でもしたかの様に声を出さずに嗤う彼が映る
「ブロ・・・ウド・・・?」
「・・・・・・!!!・・・・・・!!!成功だ・・・成功したんだよっ!!ファスッ!これで親御様に勝てるぞ!!やはり私の仮説は・・・正しかったっ!!クロノ君こそが・・・全てを喰らうモノだよ!!」
「なに・・・何を言っているの?」
何千年と生きてきて、色々なものを見た
何千年と生きてきて、色々なものを経験した
にも拘らず・・・今この時の風景が現実的だとは思えない
あんな異形も・・・こんなに嗤うブロウドも・・・私は見た事が無かった
「・・・はぁはぁ、私が何をしたかだって?私はより強くなる道標を示しただけだよ。」
「っ!ふざけないで!!アレは強いとか弱いとかの次元じゃないわっ!!」
ただそこに居る・・・それだけで私を震えさせることなんて有史以来一度としてなかった
それこそ・・・お母様と初めてお逢いした時ですら・・・!!!
「・・・貴方、クロノを利用したの?」
「・・・誤解のない様に言っておくがね、僕は彼には何一つ嘘は言っていないし、隠している事も無い。それを伝えた上で決断したのはクロノ君自身の判断だ。」
「・・・じゃあもう一度きくけど・・・アレは何?」
回りくどく埒が明かない
私は苛々しながらも当然の疑問を投げかける
「・・・アレは神だよ。暴喰魔神・・・いや【暴喰神】とでも呼べばいいかな?」
「・・・【暴喰神】」
そう呟きながら改めて【暴喰神】を見る
何度見ても震えが起こってしまう
「aoigh:ighAIEOHVIM・・・」
【暴喰神】が何かを呟くと同時に球体から幾千もの触手がソテルアスに襲い掛かる
「?!!!」
ソテルアスは襲い掛かる気配に気づいたのか、極炎球を触手に投げかける
だが・・・触手に当たると同時に炎は消えていった
そしてそれと同時にソテルアスを一気に捕縛した
「・・・何をしたの?」
「恐らく極炎球を喰ったんだろう。」
「?!!喰う瞬間すら見えなかったわよ・・・それに物理関係最強の彼が容易に捕縛されるなんて・・・」
肉弾戦で彼に勝てる者はいない・・・それは私たちの共通認識だった
だからブロウドでさえ、私たちを相手に戦う時には私には接近戦を、ソテルアスには遠距離戦を徹底していた筈だ
間違っても容易に捕縛できる相手ではない
「幾らソテルアスと言えども、幾千の触手が一気に襲い掛かれば捕縛されるという事だね・・・」
「GYAAAAAAAAAAAAAAーーーーーーーーーー!!!!」
ソテルアスは叫ぶと同時に口から無属性の光線を放つ
それと同時に触手を引きちぎろうとしている様だ
だが・・・光線は【暴喰神】に届く事無く喰われ、触手は千切れていない
そして【暴喰神】はゆっくりとソテルアスに近づいて行った・・・
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