ブロウドの思考と至高
「ブロウドッ!!!クロノとソテルアスは?!!」
「あぁ・・・ちょうど今、クロノ君が切札を切った所だよ。」
そう言ってファスミーヤを視線で誘う
ファスミーヤより一足先に到着した私は、2人の戦いを陰から見守っていたが・・・クロノ君らしい戦い方だ
幾ら【真祖】2人に鍛えられたとはいえ、たかだか2年程度で万全の状態である【真祖】に真っ向から向かい勝てる訳が無い
多分、彼も最初はそのつもりだったのだろうが・・・ソテルアスは其処までお人好しでは無い
「・・・何これ?」
「ふふっ・・・面白い光景だろう?」
ソテルアスは感情が高ぶり過ぎているのか、クロノ君を視認せず兎に角手当たり次第に攻撃を繰り返している
片やクロノ君は魔力を集中させて切札を使う準備をしている
「・・・ちょっと待って、私が彼を鍛えたのは全体的な下地の強化と【大罪スキル】の同時発動よ。・・・
こんな高密度の魔力と高出力の魔力を使用する事なんて教えてないわ。」
「だろうね・・・。」
「・・・っ!!!」
彼女の鋭い視線が私に突き刺さる
確かのコレを彼に教えて鍛えたのは私だ
責められるかと思ったが深い溜息をつかれるだけで済んだ
暴れ狂っているソテルアスは傷らしい傷はついておらず、クロノ君は正に満身創痍という姿をしている
彼女としてもそれに気付いたからだろう・・・
「・・・で?」
「ん?」
「クロノは何しているのって事よ!!」
「ハハハ・・・勿論分かっているよ。」
軽くおどけただけなのに彼女はすごく怒る
だがまぁ疑問を呈するのも当然だとは言えるだろう
「まぁ、見ていれば分かるよ。ただ彼がやろうとしている事は最高の役にもなり得るが、最低の役にもなり得る。・・・万が一の時は覚悟した方が良い。」
「貴方・・・何を教えたのよ?!!」
彼女がそう言うと同時に、クロノ君の脚が消える
「?!!!」
「ねぇファス、【大罪スキル】とは何だと思う?」
「そんな事より「答えてくれ。」」
私が力強くそう言葉を遮ると暫し逡巡する
彼女は彼女の経験に基づいて思考を纏めているのだろう
そうこうするうちに彼の両手に【暴喰ノ口】の触手が幾重にも絡み回り巨大な掌が顕現される
「お母さまが創造したスキル・・・が答えじゃないわよね?」
「だね。少しは当たっているとも言えるが・・・じゃあ親御様はどうして【大罪スキル】なんて名を付けたと思う?」
「・・・分からない。」
「そもそも何を以って【大罪】と呼ぶのかだけどね。アレは生命が存在する以上、避けては通れない【大罪】・・・それを模倣したスキルだからそう名付けられたと私は思う。」
「・・・・・・」
クロノ君が纏っていたローヴは職種に喰われ、【暴喰王ノ口】が彼の脚があった場所に顕現される
そして・・・背中には触手で象ったであろう翼が4枚羽ばたく
「知っての通り、どの生命体にも適性というものはある。炎が得意だったり剣術が得意だったり。それと同じく【大罪スキル】を得る【魔王】はどの生命体よりもその【大罪】に適性した者こそが得るスキルなんじゃないかな?」
「・・・・・・どういう事?」
「端的に言うならば・・・特別なスキルを得る程に欲深い。」
そう、私は親御様が創造した【大罪スキル】というスキルが不純物だと常々考えていた
特定の種族が使えるスキルとも違い、【魔王】全てが使用できる固有スキルとも違う・・・
魔族の中で【魔王】の称号を得た少数の者だけが得る事が出来る【大罪スキル】
どのスキルとも似通っているがどのスキルとも異なる性質を持つ
親御様は何故魔族の中でのみ授けているのか?
何故【魔王】の中でも限られた者にしか授けないのか?
有史以来ずっとみていたが・・・【大罪スキル】が同一時代に確認がとれたのは最高4つ
少ない時は2つという時代もあった
何故そんなに【大罪スキル】を出し惜しみするのか不思議で仕方ない
「・・・!!!見て、クロノがっ!!!」
しかしそんな思考もファスの声で現実に戻された
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