【間章】アカノとクロノのギルド来訪
アカノとクロノの初めてギルド来訪時の出来事です。
「ここが【フィングルス王国】か~」
約20日程の荷馬車旅を終えて到着した【フィングルス王国】は活気に溢れていた
「長かったね。姉さん、結局なんでこの国の冒険者になろうとしたの?そろそろ教えてくれても良いよね?」
「…それは秘密だ。」
言えない
クロノが無職な事を知らない場所で1からやっていきたい
知り合いがおらず、お互いがお互いをより助け合える様な場所で活動したい
ギルド自体が活発でランクが上がればギルドハウスを購入し2人の家が買いやすい地域だった
どれ1つとして言ってはいけない…
「さて、早速ギルドへ向かうとするか!!」
強引に話題を変えてギルドへ行こうとする私をクロノは慌てて止める
「姉さん、まずは宿屋を取ろうよ!後で満室になって野宿になると嫌でしょ?!」
むう、確かにそろそろベッドで寝たいものだ…
私は頷いて宿屋のある場所を確認する事にした
◇
「いらっしゃいませ、【フィングルス王国】首都ギルドへ。今回は登録で宜しかったでしょうか?」
ギルドカウンターの登録・更新コーナーの窓口へ向かうと上品な雰囲気の女性が声を掛けてくれる
「そうです。私たち2人でパーティーを組みたいと思っているのですが可能ですか?」
「ご利用有難う御座います。はい、お2人のパーティー編成も可能ですよ。但しギルドとしましては5人編成でのパーティーをおススメしておりますので、そちらもご一考下さい。それではまずはお2人の登録を行います。こちらの個室へどうぞ。」
そう言いながらすぐ横にある個室へ通される
ここらへんは父さんに聞いていた為に特に問題はない
「それではこちらでステータスボードを開いて頂けますか?」
「はい、それでは私から開きます。」
周りに知られる事を防ぐために個室を用意されている事も聞いていた
「け、【剣聖】なんですか?!ステータスも軒並み高い!!え?本当に新規冒険者なんですか?!」
「はい、新規冒険者です。」
対応してくれた受付の女性が驚いている
まぁ確かに父さんにも2年間鍛えられたからステータスが高いであろう事も予想はしていた
「私も何年か冒険者のステータスを拝見した事はありますが、ここまで高い新規の方は初めてです。既にA級に達しているかもしれませんね…」
そう言いながらジーっとステータスボードを見ている
正直、ずっと見られるのは気持ち悪い
「あの、もう大丈夫ですか?」
「あ、あぁすいません。もう結構ですよ。それでは次はアナタですね。」
そう言いながらクロノの方へ視線を向ける
クロノは一瞬ためらった後にステータスボードを開く
すると今度はクロノのステータスボードを見て固まっている
「……え?」
その反応を見てクロノはどこか居心地が悪そうだった
「えーっと…クロノさんは教会に行ってらっしゃらないのですか?教会に寄付金を出せば今からでも称号を得る事は出来ますよ?」
「いえ、教会には先日に行きました。その上での称号です…」
「えーっと…これは…無職という事ですかね?」
「はい…」
小声でクロノが応じている
彼自身が悪い訳ではないのに申し訳なさそうにしているのを見ると胸が痛い
「えーっと…ギルドに入会する事は自体は可能です。ギルドは来る者拒まずですから。ただ…冒険者としては難しいと言わざるを得ませんよ?あ、でもステータスはD級冒険者並みにはありますね…」
「はい…それも承知しておりますが、姉さんと一緒に冒険者になるのが夢でしたので…」
そう言いながらチラリとこちらを見る
クロノにそう言って貰えて歓喜で震えそうなのを必死にこらえながら頷く
「私たちはアンバランスなパーティーかもしれませんが、長年その夢を追い続けてきました。ギルドとして拒まないのであればこれで受領して頂きたいのですが。」
私がそう告げると少し悩んでいる様に考え込んでいる
「…正直、余りにアンバランスです。【剣聖】でこのステータスであれば今すぐS級パーティーに斡旋紹介する事も視野に入れる事は可能ですよ?」
「いえ、それでは意味が無いのです。2人とも同じパーティーとして結成したいのです。」
それでは私がクロノを守る事が出来ないではないか
どんなに良い条件を提示されたとしても論外だ
「…畏まりました。それではパーティーのお名前はお決まりですか?」
そう聞いて私たちは肯定する
ここまでの旅路の間に2人で散々話し合ってきた
「「パーティー名は【グングニル】でお願い致します!!」」
こうして2人パーティー【グングニル】が結成された
初々しい2人がかけてますでしょうか?
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