アカノの選択と全託
Ⅲ章本編最終話です!!
「しつこい様やけど本マに眉唾もんやで?頼むから詐称やなんや言うて暴れんといてや?」
先程に殺気を放ったからだろうか?非常に警戒されているみたいだ
「えぇ、その点は初めから聞かされておりますので問題ありません。」
「はな言うけどな…1つ目の目撃情報はここから遥か先にある【インスラント聖国】という国の領内での話や。そこには広大な山があるんやけど、綺麗な花畑がある地域で黒髪黒目の男が別の男と住んでいるらしい…まぁ儂ら商人が最速で向かっていっても3ヵ月はかかる地域やから、これは違うと思う。」
「そうですね…重症の身体でまだ1ヶ月も経過していないのに辿り着けるとは思いません。」
当然かもしれないが黒髪黒目の男はクロノの他にもいるんだなぁと頷きながら返答する
「次や、【ダイン帝国】という独裁国家がある。そこで最近新たな皇帝が即位した。其の即位式で後ろで隊列していた男の1人が黒髪黒目との事や。ここからやと10日程で帝国には行けるが身分も人脈も無い男が即位式で隊列できるか?というと…」
「まぁ難しいでしょうね…」
ザンガスは頷きながら最後の紙を読む
「最後やな…可能性としてはこれが一番高いかもしれん。アカノはんが先日討伐してくれた盗賊な、人身売買をしとったらしいんや。遠目から見とった狩人がいうにはその中の1人が…」
「黒髪黒目だったと?」
私が前のめりになりながら問いただす
確かにこれが1番可能性が高い
「いや、狩人は飽くまで盗賊を注視しとったらしいわ。せやから黒っぽい髪ではあったけど黒髪とは断言できん。さらに言うと男か女かもハッキリせんらしい。」
3つの情報を比較すると距離の関係もあり圧倒的に3番目がクロノの様な気がする
クロノはパッと見た感じ女性に見えなくもない顔をしている
黒髪黒目なのかがハッキリしていないそうだがそれも自分で聞き取りをした情報やギルドでの情報と比較すると充分に追って行く価値がある
あるのだが…何か引っかかるモノが心の中にある
何か前提が間違っている様なそんな気がする
それが何か分からない今、3番目の情報が正しいだろうと思いなおす
「ザンガス様、最後の情報の詳細をお教え頂けますか?私はその情報を基に動いていこうと思います。」
私がそう告げると納得した表情で頷く
「分かった。ほな詳しい詳細を伝える様にするわ。」
◇
「バルザス、世話になった。」
そう言いながら目の前の男に頭を下げる
「なぁに、結果論でいうならホテル宿泊費以外は何の役にも立っちゃいねぇ!!それで盗賊も倒してもらったとなりゃ御釣りが出る位だからな。ほら!これ持っていけ!!」
そう言いながら少なくない金額を渡してくる
「こりゃ報奨金だ。依頼を受注はしていなかったが実際解決してもらったんだ。これ位は受け取れ。」
「…良いのか?」
断る事も出来たが、彼の心意気を無碍にも出来ない
有難く頂く事にしようと思いながら確認を取る
「ギルドメンバーの指導料と依頼達成の金額としちゃ高くねぇから気にするな。で、次はどの国に行くんだ?」
「【サンドール商業国】を突っ切って行く。帝国行きの荷馬車らしいが間に合えばこの国で捕まえる事は出来るだろう。」
「そうか…弟と無事に会える事を願っているぜ。」
「「姉さん、お世話になりました!!」」
そう言ってギルドメンバーが頭を下げてくる
「皆も世話になった、元気でな!!」
そう言いながら立ち去ろうとするとバルザスが声を掛けてくる
「おい、事後報告になるが評議会から言づけがあった…」
「…聞きたくない内容な気がするな。」
そう言うと彼の顔が渋る
「ご名答だ。お前さんにとっちゃありがた迷惑だが…【サンドール商業国】としてもあんたを【名誉騎士】とする事が決定した。」
「……は?」
一瞬、頭の思考が止まる
「いや…私はこの国に来た事すら初めてだったのだが。」
「それも分かってる…だがお前さん程の実力者をむざむざ繋がりを切りたくないんだとさ。【名誉騎士】としての内容は今までと同じ内容となり、優先権に関しても【フィングルス王国】の次となる為に飽くまで2番手という扱いだな。異例中の異例だが…【フィングルス王国】からも許可を得ているそうだ…」
「はははは…」
思わず乾いた笑いが出てしまう
【名誉騎士】とは一体なんなのか?と言いたい気持ちが湧き出てくる
「…用件は以上か?」
バルザスは頭を掻きながら頷く
「…用件は以上だ。」
「では…行く。」
「お、おう!気を付けてな!!」
「「「姉さん!お気を付けて!!」」」
ギルドメンバーたちに見送られながらフラフラとした足取りで私は人身売買業者を負う為に旅立って行った。
(…評議会メンバーに会ったら絶対に文句を言おう)
そんな気持ちを胸に…
いつも有難う御座います!!
これにて一先ずⅢ章終了です!!
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2、3話【間章】を挟んでⅣ章へ移行します!!
これからも何卒宜しくお願い致します!!