ダンキの感傷と完勝
「さて鬼人族【魔王】よ、我らの因縁を此処で終わらせようでは無いか?!!」
眼前のデスナイト族の【魔王】はそう言って一人昂る
だが・・・残念ながら俺の眼中にはコイツは映っちゃいねぇ
「よぉ・・・ガキ。そっちの居心地はどうだ?」
「・・・・・・。」
デスナイト族の【魔王】に傍らに立つ仮面を被った小柄な魔族・・・
我が主の言う通り、コイツはロキフェルだろう
だがコイツは俺の言葉に対して何の返答も返してこない
「お前がそっちに行ったからな、人手が足りず我が主は試行錯誤してらっしゃる。・・・マリトナはまだ療養の為に元ブーザル領に籠ってる。」
「・・・・・・。」
「我が主の慈悲の元、お前が俺たちを裏切った事は皆には知られてねぇが・・・まぁ時間の問題だろう。そん時に悪魔族に対して他種族がどんな行動を移すのか・・・知ったこっちゃねぇが、余り良い気分ではないな。」
「・・・・・・。」
「・・・言えよ?!!どんな気分だ?!!俺たちを簡単に裏切り、高みの見物を特等席でかましているお前は今どんな気分なんだ?!!あぁ?!!」
「・・・・・・。」
何を言ってもコイツは反応しない
操られているのか?とも考えたが、さっきお仲間に我が主を警告していた事を考えればその線はないだろう
となると、力づくで連れ帰るしかない訳だ・・・
「鬼人族【魔王】・・・因縁の相手が目の前にいるにも拘らず、その態度は流石にいかがかと思うが?」
「五月蠅ぇ。お前なんざ相手じゃねぇんだ・・・黙ってろ。」
そう答えてやるとピクリと動き、苛立ったかの様な殺気を飛ばしてくる
そして手に持つ鎗を此方に向けて構えて来る
「・・・良かろう。貴様がそう言うならば勝手に因縁を断ち切らせて貰おう。【狂楽】と言ったか?貴公は手出し無用だぞ。」
そう言うが否や滑って来るかの様に一気に距離を詰めて来る
駆けるでもなく滑るという珍しい動作に思わず目をやる
「愚かな鬼人族よ、これで終いだっっ!!!【五月ガッッ!!!」
ーーメゴォッッーー
スキルを撃ち込んでくる直前に頭部を力任せに殴りつけると鈍い音がすると同時に、デスナイト族の【魔王】は地面に埋もれる
「さっきから邪魔だ・・・三下は引っ込んでろ。」
一瞥もくれず親切心からそう伝えてやり、ロキフェルの元に歩みを進める
「ぎ・・・貴様ぁ・・・。」
だがどうやら俺の親切心はコイツには届かなったらしい
立ち上がると同時に後方から攻撃を仕掛けて来た
ガガガガガガガガガガガガガガガガガと絶え間ない鎗で刺突を繰り出し続けている
一撃一撃が本人が自信を持っていただけ有り、それなりには威力がある
だが・・・
「・・・ふぅ。」
「・・・?!!何故だ?!!何故我の鎗が刺さらない?!!」
それは飽くまでただの魔族やただの【魔王】であればと言う前提が条件で成り立つ
ただの【魔王】では無い俺には痛みがない訳では無いが・・・致命傷には成り得ない
「・・・簡単だ、お前の攻撃が俺にとっては弱いだけの事だ。」
「バ、馬鹿な?!!これまで数多の魔族を屠った我の鎗撃が弱いだと?!!」
「まぁ雑兵ならば一溜まりも無いんだろうがな。・・・残念ながら俺は雑兵じゃねぇ。」
そう言いながら大剣を構えてデスナイト族の【魔王】の方へ向き直す
【強欲ナル腕】を発動させる考えも一瞬頭を過ったが、この程度の【魔王】相手にそこまでする必要はないと思い直す
「き・・・貴様貴様貴様貴様は何者だぁぁぁーーーーーーー?!!!!」
最早冷静な感情を持ち合わせていないのか、魔力を放出しながら力任せに突進を繰り出して来た
先程の鎗での連撃よりは幾分かマシではあるものの、感情任せの攻撃であるが故に動作も理解しやすい上に冷静でないが故にフェイント等の戦術的思考が無いのも丸わかりだ
俺は相手の攻撃に合わせ、鎗と奴の身体を真っ二つにする様に動けば良いだけの簡単な作業を行う
「俺か・・・?俺は【魔王】じゃなく、今は【魔皇帝】だ。」
そして命を刈り取った亡骸を見下ろしながらそう答えてやった
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