クロノの感嘆と判断
「「「・・・・・・。」」」
目の前にいる【魔王】達はものの数分で兵士たちが文字通り居なくなった事に驚愕の表情を浮かべている
ロキフェルに関しては表情が分からないが、彼に関しては見慣れた光景だろう
「さて・・・前座にも満たなかったけれど、これでもう邪魔は入らないかな?」
そう言いながら剣を構える
ダンキもそれに呼応するかの様に大剣を肩に担ぎ、獲物を見るかの様な目で相手を見渡していた
「片手間で兵たち200を失うとはな・・・ポセイラン殿、貴公の見立てが甘かったのでは?」
「・・・・・・。」
黒エルフ・・・いやダークエルフの【魔王】・・・ロゼテルが視線をこちらから外さずにポセイランに責任を追及している
それに対し、当の本人は未だに驚愕している様で表情が動いていない
「お兄・・・【魔神】は強いよ。僕等全員が向かって行っても勝てる気が正直しないな。」
「ふんっ!!それでも【真祖】の直系血族である吸血鬼族の【魔王】が此処にいるのだ。そこらの【魔神】等相手にもならんわ!!」
ポセイランの代わりにロキフェルが口を開くと、吸血鬼族の【魔王】が即座に否定する
そんなに自信があるならば真っ先に向かってくればいいのにと他人事ながら考えてしまう
「・・・どちらにせよこのまま撤退と言う訳にはいかないだろう。デスナイト族は鬼人族と因縁がある故、鬼人族は任せて貰う。」
先程にアクアラと呼ばれたデスナイト族の【魔王】はそう言ってダンキと対峙する
それを見てロゼテルは僕の方へ少し近寄る
「では【魔神】の首は遠慮なく頂こう。あれほどの魔法を放ったのだ・・・【魔神】と言えども消耗していない訳は無いだろう。」
「フハハハ!!では我も【魔神】に格の違いを教えてやろうっ!!」
吸血鬼族がこちらに近づいて来ると、それに合わせてロキフェルはダンキの方へ向かう
ポセイランはどうやら正気を取り戻したものの、何を決めあぐねているのかどちらに近づく事もしなかった
「1対2になったとは言え、こちらは200の駒を失っているのだ。文句は無いだろう?」
「我こそは【真祖】の直系血族にして吸血鬼族の【魔王】ドラクロス=ミドナイ様だっ!!我が礎に亡り果てる事を光栄に思うが良いっ!!」
そう言って戦意剥きだして戦おうとしてくる2人に対して僕も魔力を込める
例え称号が【魔王】であろうとも【魔神】が敗けないという保証等は何処にも無い
「ぬぅっ!!」
「おぉぉっ!!!」
僕の魔力に蹴落とされたのか、2人が感嘆とも恐怖とも取れる声色で声を発する
「・・・【魔神連合】代表にして【黒家クロノス】の【魔神】、クロノ=エンドロールだ。傀儡の様に哀れに踊っているであろう君たちが・・・踊り狂うのを止めてあげよう。」
「・・・ちっ!!!」
「どうやら我の真の力を開放しなければならんようだ!!」
その言葉を合図に僕らの戦いは開戦した
それと同時に【暴喰ノ口】を発動させ、2人に襲い掛からせる
「芸も無く同じ事を何度もするとは・・・【千刃乱舞】っ!!」
「クハハハハッ!!!その様な下賤な触手では我に触れる事すら叶わぬわ!!!」
2人はそう言って襲い掛かって来る無数の触手を防いでいった
ロゼテルは一気に斬り捨てていく
当然、触手は再生を試みようとするが、彼のスキルのスピードの方が素早いらしく、少しずつ触手が短くなっていく
ドラクロスという吸血鬼族は身体を霧の様に霧散させて触手に捕縛されない様にしている
「・・・へぇ。」
どうやら2人とも【魔王】というだけ有り、敵兵ほど簡単に勝利する事を許してくれないらしい
彼らはある意味で僕の成長を確認する良い判断材料になりそうだと内心ほくそ笑んでしまった
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