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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅥ章【タトエセカイガオワッテモ】
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クロノと不要な苦悩


「さて・・・どうやら第一陣は問題無く防ぐ事が出来たみたいだね。」


「流石は我が主、ものの数分で100余りを屠られるとは・・・しかも片手間でとは恐れ入りました。」


そう言って2人で辺りを見渡すと後続の舞台は尻込みしているのか、こちらに襲い掛かって来る様子は無い

多分奇襲である油断と精鋭部隊という自尊心の反動で躊躇と自己保身で竦んでいるのだろう


「魔族と言っても皆が皆勇敢っていう訳じゃないんだね・・・」


「ですがこの状況でただ襲い掛かるは蛮勇とも呼べますぜ?」


確かに・・・と内心で納得しながらも一歩相手に近づく

この場に居る【魔王同盟】の雑兵も【魔王】も生かして帰す気はない

すると僕の歩調に合わせて敵兵は一歩下がる


「どうしたの?そっちの方に僕はいないよ。」


そう言いながら再度一歩近づくが、相手も一歩下がる

もう闘争力等は無くなり、逃亡する事しか頭にない様子だ

まぁ・・・この場所に立ち入った時点で追い返すと言う選択肢は僕の中には無い


「・・・情けない。」


敵兵達が尻込みし後退する中、奥の方から1人の黒いエルフが表立って現れる

成程・・・確かに他の敵兵よりも強い魔力を醸し出している事から、彼が【魔王】だろう


「誇り高く生き、そして誇り無く遂行を旨とするダークエルフがたった2人に対して臆するだと?これは一体何の冗談だ?」


そう言った彼は正面から僕を見据える

そして彼の後ろから魔力が高い数人の種族がこちらに向かってきた


「そう言うなロゼテル。目の前の【魔神】は当然、付き従う【魔王】も雑兵からすれば化け物だ。」


「アクアラ殿は甘い。誇り高き吸血鬼族がこの様な醜態を晒せば死罪は当然、一族郎党皆殺しだ。」


「これはこれはクロノ様・・・仮面の中身はその様なお顔立ちだったのですか。」


「・・・・・・。」


そう言って【魔王同盟】の主要人物と思われる魔族が揃い武む

そこに顔見知りである人物が1人・・・いや、仮面で素顔を隠してはいるが魔力の質的に2人が僕の目の前に立ちはだかる


「クロノ様ご無沙汰しております、先日はお世話になりました。いやいや・・・まさか私も貴方とこの様な形で相対する事になろうとは思いもしませんでした。これでは残念ながら貿易関係のお話も白紙という事でお願いしますね?」


そう言って目に掛けたガラスをクイッと上げながら余裕な表情を浮かべるのは【魔海皇国ポセイドニス】の【魔王】であるポセイランだった

彼の目の奥には何処か見下した様な雰囲気を隠そうともしない感情が見える


「・・・ロキフェル、久しぶりだね。」


ポセイランを無視して、仮面で素顔を隠しているロキフェルに声を掛ける

だが彼は正体を晒そうとする事は勿論、こちらの方へ視線を向ける事も無い


「マリトナも皆も君が居なくなって驚いているし気落ちしている。・・・今なら何の罰も与えない事を約束する。・・・戻って来ないかい?」


「我が主っ!!」


後方でダンキが僕を止めようと声を荒げるがそれを手で制する

僕は彼が目先の損得で裏切る様な奴で無い事を確信している

必ず損得では無い、何らかの理由が存在している筈だ

そう思って声を掛けてみるがロキフェルが何も答えない


「ハハハハハハッ!!!クロノ様、どうやら振られた様ですねぇ?!!そちらは【魔神】と【魔王】がたった1人、対してコチラは【魔王】が5人に兵士が100人余りっ!!どう考えてもそちらに勝ち目は御座いませんねぇ?!!」


「ポセイラン殿の言う通りだな。【魔神】とは言ってもたかが2人で何が出来る?」


「しかも100の内30は我が吸血鬼族だ!泣いて土下座すれば殺さないでやるかもしれんぞ?」


「・・・油断さえなければ我らが敗ける要素は無い。」


各々の【魔王】が口々に好き勝手に喋り出す


「・・・五月蠅いなぁ。」


その声を聞き、思わず僕の口からはそう漏れ出た

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