クロノの衝動な焦燥
「じゃあ先ず【魔王同盟】との戦火の被害状況と相手の動きを教えて貰えるかな?」
仕切り直しという形で会議が再開され、先ずは現状1番厄介そうな勢力から話し合っていく
今の感情を忘れない為にも徹底的に潰しておきたい勢力だ
「はい、【魔王同盟】は元ブーザル領、ソウトウキ、アンギスに侵攻しまいりました。ブーザル領での被害状況はファーニャさんやサラエラさん、マリトナさんの活躍も有り1番軽微なものとなっております。」
「ブーザル領では【魔王】を1人倒す事が出来たんだよね?」
「倒したというか主君・・・ロキフェルが殺したと言った方が適切です。」
僕の疑問にマリトナがルーシャの代わりに発言する
彼女の表情は意外にも主君に対して悩んでいる様でもなく、どちらかと言えば強い決意が滲み出ている様な表情だ
「成程ね・・・因みにトリクトリロの方への進軍は?」
「後から確認した所では被害はおろか、侵攻自体が無かったそうです。これはクロノスでの私たちの立場を悪くする作戦でしょうか?」
「・・・うん、多少はその気もあると思うけれど、僕は単純に自分の国を侵攻したくなかったのかな?とも思うけれどね。」
「?!!ですがロキフェルは私たちを捨てたのですよ?!!」
「まぁハッキリと説明は出来ないけれどね・・・彼は意外と慈悲深いから。」
そう答えると僕に対して半場呆れた様な表情を浮かべる
その表情に少しだけ苦笑した表情を浮かべて次の報告を待つ
「次にソウトウキですが・・・こちらは意外にも【魔王】の出陣が確認出来ませんでした。戦闘も本格的な戦争では無くどちらかと言えば牽制の様な戦いだったと報告されております。」
確かに鬼人族は個体としてかなり強い
更に山の麓に国を建国している為に相手からすれば攻めにくい国ではあるだろうが・・・
なぜそこまで本腰を入れなかったのだろうか?
「ダンキを縛る為・・・かな?」
今考えられる理由としては小競合いを仕掛けてダンキをアンギスに向かわせない為としか考えられない
まぁ、当の本人は部下たちに任せて真っ直ぐとアンギスへ向かって行ったが・・・
いずれにせよ断言するには情報が足りない
「・・・最後にアンギスですが、バルデインを筆頭に天使族の兵士約4割が死亡、若しくは重傷化しております。」
「だよね・・・1番被害が大きくなるのは此処だと思って2人を派遣したけれど、予想以上に激化したんだね。」
僕等との戦いでアンギスは既に疲弊していた
そこから息を吐く間もなく【魔王】を筆頭に攻め込まれてしまえば致し方ないだろう
指揮に特化したバルデインと個で特化したダンキを組ませたけれど・・・結果はご覧の通り
相手の【魔王】を倒したとはいえ、こちらもバルデインを失った
「アンギスの相手国であるラスローレンも【魔王】を失った事で動揺は隠せないでしょうが、【魔王同盟】に属している限りはいつ攻め込んで来てもおかしくは有りません。」
「だよね・・・。」
そう言いながら手元の資料に目を通す
アンギスだけが圧倒的に被害が大きく、残り2か所は思った以上に被害が軽微だ
(僕が相手なら・・・次はどの一手を仕掛ける?)
僕が今居るこの城へ攻め込むにはトリクトリロ以外だとこの3箇所しかない
1番容易に見えるアンギスに大軍を率いて攻め込むだろうか?
それとも城への距離が1番近い元ブーザル領から一気に攻め込んでくるだろうか・・・?
また同じ様な戦闘を繰り返してくるかもしれない
考えられる手段は3つ・・・いや本当に3つだろうか?
「・・・うーん。」
僕は様々な憶測と検証を頭の中で繰り返しながら対策を模索する
その時、不意にルーシャと目が合う
ルーシャ・・・【魔王同盟】・・・【狂笑道化団】・・・世界の破滅・・・
「っ!!!」
見落としていた可能性を思い付き僕は焦燥感に囚われる
もし相手がこの手段を講じて来るならば・・・有り得る可能性を思い付き皆に対して口を開いた
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