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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅥ章【タトエセカイガオワッテモ】
421/640

クロノの痛みと悼み


「・・・以上がクロノ様がご不在になられていた間に起った主なご報告となります。」


ルーシャの微かに震えた声が会議室に響く

彼女の報告を聞いている間は誰一人として口を開く者はおろか・・・物音を立てる者すら居なかった

僕がブロウドさん達の特訓を終えて帰還すると、目の前では一足先に戻ったルーシャや主だった兵士たちが僕の帰還を待ちわびていた

けれども・・・皆の表情は今までと違い喜色ばんだ様子では無く、どこか沈痛な表情を浮かべていた

僕は皆の顔色から何かがあると思い急遽会議の場を設けたのだが・・・


「・・・・・・。」


ロキフェルが裏切った・・・これに関しては思う所が無い訳では無いがそれ程のショックを受けていない

能天気そうに見えて意外と思慮深い彼の事だから何の理由もなく単身で裏切る事は無い

楽観的ではあるかもしれないが生きていればまた話をできる事もあるだろう

だが・・・


「バルデインが・・・逝った・・・?」


ーーメキッーー



ーーーメキメキメキーーー


「ク、クロノ様?!お気を確かにっ!!」


「・・・大丈夫。」


無意識的に机を手で割りそうになっていた

感情をコントロールできない僕はまだまだ未熟者だ


(先ずは整理しないとな・・・)


物陰から見ていた獣人族兵士によればバルデインを殺した者はこの国の前【魔王】・・・詰まりルーシャの父親にそっくりらしい

ダンキの報告によれば自らを【狂笑道化団】のメンバーだと名乗り、バルデインを仇敵だと言ったらしい

非常に考えにくいが・・・死んだ者が生き返ったとでもいうのだろうか?

駄目だ・・・頭が冷静に働かない


「バルデインは・・・忠義に厚く・・・実力もあり・・・思慮深く・・・忌憚のない意見を言ってくれる・・・良き部下であり、友人だった・・・。」


一度思考を切り替えると思わずそんな言葉が僕の口から紡がれる

僕の目からは・・・グーガが居なくなって以来の涙が溢れ出してくる


「彼が過去に・・・大きな罪を犯したという事は本人から聞いていた。でも・・・僕は・・・ある意味ではその罪は罪ではないとも思っていた。」


「・・・・・・。」


「でもそっか・・・グーガだけでなくバルデインも、か・・・。」


一旦目を閉じ、頭を空っぽにする

思ったまま思い、感じるまま感じる

思った事は後悔、感じたのは虚無感

僕は今のこの感情を忘れぬまま、この感情を相手に振りまく為に突き進んで行かなくてはならない

それは僕が王であり、人族の滅亡を望む限りは避けては通れない現実だ


「・・・クロノ様。」


「・・・大丈夫、今は哀しんで塞ぎ込んで良い時じゃない。そんな事をしたらバルデインに失望されるだろう?」


「えぇそうですね。・・・彼は自分にも他人にも厳しかったですから。」


涙を拭いて皆へ視線を向ける

バルデインだけじゃない、他の兵士たちも【魔王同盟】の侵略で死んで逝っている

僕が今できる事は仲間の奪われる命を減らす事と、可能限り早期決着を付ける事だ


「じゃあ今後の戦争について今から会議をしたいと思うが異論はあるかな?」


そう言うと全員が首を横に振る

彼らも僕と同様に仲間の死を悼んでいる

であれば僕が此処で心を折られる訳にはいかない

そう決意を新たにして今後の対策を講じていった・・・


いつも有難う御座います!!

「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願い致します!!

ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!

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