ヴァリア?の本性と交渉
「・・・貴様の言いたい事は理解できた。」
重苦しい雰囲気の中、【真祖】はそう言って口を開く
だが当初と比べると威圧感も無い為、この時点で成功を確信する
「我は・・・母上から一身の寵愛を受けるために貴様の策に乗ってやろう。」
「有難う御座い「但しっ!!万が一貴様の策に乗り母上に失望されたり、ブロウドに出し抜かれた場合は・・・貴様等【狂笑道化団】は粉塵も残らんと思え。」」
そう言った目には最早、龍族の【真祖】足る威厳も威圧も存在していない
ただ親に見放されない為に必死な子供の様な目をしていた
「勿論です。安寧を固める為に安寧を壊す・・・この1点に於いてはあの御方よりも貴方を優先する事を誓います。」
そう言って私は【真祖】に一礼をする
すると幾分かは落ち着いたのだろうか、何処かホッとした様な表情をしていた
「・・・で、我は先ずどの様に動けばいい?」
「最初のお願いは簡単です。魔族領で【魔神】を名乗るクロノ=エンドロール・・・アレを行動不能にして此方へ引き渡して頂きたのです。」
「クロノ=エンドロールか・・・当初から奴は屠るつもりでいたのだが、殺してはいかんのか?」
「えぇ、可能な限り殺さないで下さい。」
「・・・何故だ?【真祖】を下し、世界を安寧を崩した愚か者だぞ?さっさと殺せば良いでは無いか?」
まぁ通常であればそれでも問題はない
問題は無いが・・・それだと世界をグチャグチャにするのが遅れる上に心情的にも芳しくない
「色々と理由はあるのですが・・・より効率的に世界を変動させる為です。」
「・・・理解した。」
「あぁそれと・・・あちらに置いて行った部下達と龍王たちが戦闘をしている可能性があります。どの様な結果であっても、この話はご破算にはしないで下さいね?」
強さを誇りとする龍族の【真祖】であるならば問題無いとは思うが・・・念の為にそう付け加えておく
すると予想通り得意げな表情を浮かべていた
「ふんっ!強さで龍族が・・・ましてや龍王の称号を冠するあ奴らが敗北するか。だがまぁ良い・・・万一奴らを下していれば我としても心強い協力者を得たと考えてやろう。」
「有難う御座います。それでは戻りましょうか。」
そう言ってクロノの姿に変化し、出口の渦へ向かおうとする私を「おい。」と【真祖】が呼び止める
「・・・【狂笑道化団】とは・・・いや、貴様は一体何者だ?」
「ふふっ」
【真祖】のその言葉に思わず笑みが零れる
私が何者か・・・そんな事はとうの昔に忘れてしまった
「私は何者でもありませんよ。クロノ=エンドロールであり、【拳剛】ヴァリアでもあり・・・そして何者でもない。」
「・・・その様な理屈で誤魔化せるとでも思うたか?」
「いえいえ、至って本気でお伝えしております。・・・私は本当に何者でも無い、だからこそあの御方を敬愛し崇拝しているのでしょう。」
そう答え、【真祖】の言葉を聞かぬまま渦の中へと入って行った
◇
◇
そして私が渦から出て来た瞬間、サイクスが龍王に何をしようとするのが見える
「サイクス止めろ。」
私がそう告げると同時にサイクスはピタッと停止し、こちらへ視線を向ける
そして私を見てあの厭らしいニチャァーーとした笑顔を向けて来る
「あらぁ~クロノ様ぁ、かなりお早いお戻りですねぇ??」
サイクスの表情を見る限り、かなりキテいるのが理解できる
・・・これはどうにかして四肢の捥げた龍王だけでも此方へ引き渡す様に言わなければ収まらないだろう
「・・・ぬっ、これはどういう事だ?!」
私の後ろから【真祖】が渦から出て来るや否やサイクスと龍王を見て驚愕する
「・・・青龍とそこの赤毛の仮面が戦闘して青龍は死亡、黒龍とそこの黒髪の仮面が戦闘し・・・黒龍はご覧の有様です。」
大柄の龍王がそう言って【真祖】に報告してだした
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