サイクスの検証と警鐘
「おい黒髪っ!!誰に断って黒い髪にしてやがんだ?!殺すぞコラッ!!」
やれやれ・・・龍族の王、【龍王】とは言っても蜥蜴は蜥蜴か・・・
目の前の人族の姿を模しながらも大型に部類される黒蜥蜴の様を見れば誰だってそう思うだろう
「いえいえぇ~・・・貴方こそ誰の許可を得て黒龍なんて大層なお名前を名乗っていら者るのですかぁ?貴方程度でしたら・・・黒蜥蜴か大きな黒虫程度で充分ですよぉ?」
そう煽ってやると見る見るうちに怒りで表情が凄い事になっている
ふぅ・・・人族も魔族も龍族も単細胞はどれも単細胞という事か
ふむ・・・これも1つの検証結果だと考えれば唯意義な情報だとは言える
「貴様ぁ・・・誇り高き龍族を愚弄するだけでなく・・・この黒龍を前にそこまで宣うと・・・殺すっ!!」
「さっきから殺す殺すと・・・その単語しかご存知ないのですかぁ?」
そう言った瞬間に強烈な拳が私の頭に目掛けて振り下ろされる
身体をしゃがめて、黒龍の顎に目掛けて拳を突き出した
・・・ペシ
非常に軽い音が微かに聞こえ、黒龍も追撃をするでもなく呆然とした表情を浮かべる
おそらくと言うよりは確実にダメージを与える事は出来ていないだろう
呆然とした表情を浮かべている隙に一気に距離を開ける
あの様な単細胞との殴り合い等は私に勝てる要素はない事位は理解できている
「・・・おい。」
「はいぃ?」
「・・・今の攻撃は・・・本気か?」
余りにも攻撃が貧弱であるが故に呆然とした表情から質問をしてくる
如何に私が龍族から見れば貧弱な生物に映っていたとしても、ここまで貧弱だとは思っていなかったのだろう
「えぇ勿論、あの様な絶好なタイミングで攻撃を弱めるメリットは有りませんからねぇ。」
「・・・お前、本当に【狂笑道化団】か?」
「えぇ、紛う事なきソレですよ。人族魔族龍族の全てを滅するつもりの、ねぇ。」
「・・・白けた。」
そう言うと先ほどまでの圧を解除し、気が抜けた表情を浮かべる
最早相手にする価値もないと思われているのだろう
「お前はどう考えても俺様には勝てねぇ。それどころか人族の中でも最弱の部類じゃねぇか?魔力もそこまで高い訳じゃなさそうだしな・・・命は奪わねぇからさっさと去れ。」
あっちへ行けとジェスチャーで促しながら最早視線はコチラを見ていない
命を奪う価値もない・・・そう思われているのだろう
「そのお言葉は有難いのですがねぇ・・・そう言いながら逃げていく黒蜥蜴を逃す程、私は甘くないですよぉ?」
「その一丁前の挑発も実力があればこそだ。・・・お前が何を言ってもただの負け惜しみにしか聞こえねぇよ。」
「・・・そうですかぁ。」
その言葉を聞き、無造作に黒蜥蜴に近づいて行く
強者故の余裕なのか、私の考えを理解出来ないのか・・・近づいて来る私に驚いた表情を見せて来る
「おいおいおい・・・止めとけ。どんなに弱かろうが、来るなら殺すぞ?」
「本当に先程から・・・殺す殺すと・・・不愉快な害虫だ。」
そう言いながらも近寄って行く
先程に激昂しながら繰り出して来た拳位の拳速であれば回避出来ない事も無いし、多少触る程度なら出来るだろう
「さぁどうしますぅ?哀れで脆弱で矮小な生物が・・・再び貴方の前に立ちはだかりましたよぉ?」
そう挑発すると、やはり血管が浮き出ん限りの憤怒の表情を向けて来る
(全く・・・単細胞はこれだから扱いやすい。)
目の前の害虫然り、堕ちた【剣神】然り・・・
馬鹿は馬鹿だから自身が馬鹿だと気付かないという言葉を地で体現する愚か者ばかりだ
「そんなに死にたいなら・・・さっさと死ねぇーーーーーーーー!!!!」
そう言って拳に魔力を纏いながら顔面目掛けて拳を繰り出してくる
その魔力の質や鍛え抜かれたであろう拳の質量は龍王を冠するに相応しい
(でも・・・だからこそ、だねぇ・・・)
「ガッ!!ガアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
その瞬間、ある龍族の声が響き渡った・・・
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