アカノの破壊と破戒
「あんさんが如何にすばしっこかろうが、この魔法が発動すれば勝ち目はあらしませんえ?」
彼女がそう言うと同時に私が入っているドーム内にだけ雪が降ってくる
これが戦闘中ではないのならば綺麗だと思わなくは無いのだが・・・生憎今はデメリットでしかない
(先ずは雪により機動力を奪う、か・・・だがそんなモノに付き合うつもりは無い!!)
私はドームの端に向かってソニックブレイドを発動させるが・・・ドームを割る事は出来なかった
「フフフ・・・あんさん属性の相性もわかってないんかえ?火では水には勝てへんよ?」
確かにロザンワがその様な事を言っていた気がする
火は水に弱いが土には強いだったか・・・
そんな事を考える内にいつの間にか雪は降り積もり、気付けば吹雪となり雹が私に降りかかって来る
「凍死するもよし、直に現れる氷弾に貫かれるも良し。・・・好きな方でおっ死んだらええよ。」
「生憎ではあるが・・・この様な脆弱な魔法では私が死ぬ事はないな。」
私がそう言ったと同時に雹が徐々に激しくなり、氷柱が無造作に降り注いでくる
立て続けに襲い掛かって来る氷柱を捌きつつ、ドームの端まで辿り着くと同時に私はスキルを発動させる
「ダンシングエッジッッ!!!」
一定のリズムで斬撃を繰り出すこのスキルはドームの一箇所に斬撃を与えながらも襲い掛かって来る氷柱にも対処する事が出来る為に非常に有用だ
ただ・・・
「はんっ!!そんな脆弱な斬撃を何百回繰り出そうが傷をつける事すらかないませんえ?!!」
彼女の言う通り、このドーム状の牢は非常に固い・・・
通常の斬撃を与え続けても破壊させる事は叶わないだろう
しかも私は炎属性のエンチャントしか出来ないのに相手は水系の魔法を使用している
どう考えてもこの牢から出る事自体が絶望的だと感じざるを得ない
(普通なら・・・だけど。)
そうは思うものの、時間にはそれほど余裕が無いのも事実だ
私は氷柱を捌きつつダンシングエッジによる斬撃を一点に集中させて攻撃させていく
「ああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!」
--ピキッーー
「なっ?!!」
攻撃し続けた箇所に僅かながら亀裂が走る
青龍はそれに感づいたのか、驚愕の表情を浮かべた
けれどそんな彼女の様子を窺う余裕なんて私にはある筈も無く
「ああああぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!」
ただ無心で攻撃を繰り出し続けた
・・・その結果、僅かに走っていた亀裂はあっという間にドーム型の牢全体までに広がった
ーーピキピキピキーー
ーーピキピキピキピキピキーー
ーーーバリィーーーーンーーー
グラスが割れるよりも透明な音が周りに鳴り響いて、【氷雹牢籠】は割れて霧散していった
ドームの外に一歩出ると先ほどまでと打って変わった暖かい気候が心地良い
「なっ?!何故【氷雹牢籠】が破られとるん?!!」
その質問に答える間もなく、一気に距離を詰めて前方に跳躍し剣を振りかぶる
青龍は刹那、驚愕の表情を浮かべるものの、また余裕ある表情に変化する
「はんっ!!どんな手を使ったかは知らんけれども、わっちの【悠久ナル凍消】は【禁呪】どす。あんさんの斬撃が届くよりも先に剣の方がおじゃんになっとるやろなぁ~。」
彼女のその言葉を無視して私は一気に斬撃を繰り出した
この斬撃が通らなければ・・・後は魔力枯渇のリスクを背負ってでも【赤龍ノ咆哮】に頼る術しか思い浮かばない
「えぇ加減に観念しぃ、龍には勝てへんよって。」
「それを決めるのは貴女では無い・・・いつだって試みた側の・・・結果だっ!!!」
そう叫びながら一気に振り下ろした私の斬撃は・・・
青龍の鎖骨から腰部分まで一気に斬り伏せる事が出来た
着地と同時に追撃を行おうと次の動作へ移行するが、彼女は鮮血をまき散らしながら艶やかに倒れて行った
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