アカノの氷結と凍結
「ほれほれ。」
「くっ!!」
青龍は扇子を凍結化し、凍結の扇子で私に攻撃を仕掛けて来る
何の変哲もない扇子であるならば避ける価値もない
だが彼女が凍結させた扇子は所々に氷の刃が仕込まれており、驚くべきことに私の剣戟です斬り裂く事が出来なかった
体捌きに関しても身体の形が見えにくい衣服を身に纏っており、足の動作を読み事が出来ずに防戦一方となっていた
「【狂炎】はん、そろそろ本気でもだしておくんなまし。このままやとあんさん氷漬けえ?」
「・・・・・・。」
その言葉を無視し、接近戦に集中する
『武器を見る出なく肩を見る、足元を見る出なく股関節を見る・・・
如何に身体の形が見えなくとも身体が動く際に僅かながら衣服は波立つ
その波立ちから次の動作を予想するのはむしろ容易だ・・・』
いつかの父さんの言葉が脳裏に蘇る
(そうか・・・私はスキルに頼りすぎる余り、こんな基本的な事すら忘れていたんだな・・・)
「くっ?!!・・・このっ?!!」
そうやら青龍は自分の旗色が悪くなって来た事に気づきだしたみたいだ
身体の動きを俯瞰的に眺めながらまた父さんの言葉が反芻される・・・
『戦いとは・・・結局腹の探り合いだ。如何に相手が嫌がる事が出来るか、相手が予想も出来ない事を行うかにつきる。力が強い、素早さが早い等は二の次三の次だ。』
私は瞬間的に青龍の足元に潜り込み斬撃を下から上へと繰り出す
「このっ・・・!!!」
紙一重で回避されるも、そこから更に円の様に反転しながら横一線に振り切った
「なっ?!!」
私の斬撃により彼女の右腿に鮮血が飛び散った
・・・が、思った以上に距離を開けられてしまい追撃のチャンスを逃す
「はぁ・・・はぁ・・・あんさん・・・今スキルを使用せんかったやろ?」
「えぇ。」
「・・・【龍王】を舐めてるんか?」
「いいえ。・・・私は私が弱い事を知っています。だからこそ・・・今よりもっと強くならなければならない・・・ただそれだけです。」
今の攻防で理解できたが、サークルエンドも明鏡止水も非常に有用なスキルだ
だが・・・それであると同時にホンの僅かではあるが自分自身で動く事と比較すると遅れが生じる
そしてこのホンの僅かが生死の境目に成り得る事がある為に父さんは剣の道を模索し続けたという事を今更ながら実感する
「【龍王】相手に鍛錬とは・・・それが・・・舐めとるっていうてんのやっっ!!!!」
彼女がそう言った瞬間に魔力が更に湧き出ているのを感じてることが出来る
そもそも青龍は赤龍とは違い肉弾戦タイプではない事は先程の攻防で理解できた
だからこそステータスが高くとも私の鍛錬には最適だと判断したのだが・・・それが彼女を怒らせてしまった
「あんさん綺麗な赤毛やからなぁ・・・氷漬けにして飾っといたるさかいになぁ?」
【赤炎】にエンチャント付与し、魔法の発動と同時に一気に距離を詰めるべく剣を構える
そんな私を狂気の孕んだ目で見ながらニヤリと嗤う
「そんな見え見えのカウンターに引っかかるかいな・・・【墓氷ノ魔衣】」
「なっ?!!」
刹那、足元が急激に凍り付いて来る
凍っていくスピードが尋常ではなく、瞬間的に足の脛部分まで氷によって固定される
「なっ・・・というた時にはもう遅いえ?あんさんはもう・・・こぉりづけやさかい。」
「・・・・・・。」
彼女の言葉を聞いている間に既に口元まで氷が押し寄せて来ている
足元は勿論、【赤炎】も殆どの箇所が氷に覆われており、腕も凍り付いており動かす事など出来る訳もない
「ほなさよぉなら【狂炎】はん。あんさんはホンのちっとだけ強い女子やったねぇ?」
「・・・・・・」
氷の中で意識はまだあるものの、このままだと凍結死してしまうのは明らかだと感じ切札を切る事にした
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