アカノの相対と双対
「さてさてさてぇ~・・・」
クロノと【真祖】を見送った直後にサイクスはそう言いながら4人の【龍王】を舐め回す様に見ていく
その視線はまるで獲物を見定める猛獣の様な視線である印象を受けてしまう
「んだぁコイツ?」
「どうやらわっちらの事を舐めているみたいでありんすねぇ。」
どうやら龍王たちも私と同じ印象を受けたみたいだ
不愉快だという表情を前面に出しながらサイクスを睨みつけていた
「いえいえいえぇ~。私は【狂乱ノ道化】様より貴方方をもてなす様に仰せつかっておりますからねぇ~・・・私は良い獲物だとかぁ?龍王といっても【真祖】の小間使いだろぉ~?等とは思っていませんよぉ?」
「「「・・・・・・。」」」
サイクスがそう言った瞬間・・・何とも言えない空気が場を支配する
間接的に挑発しているのは明らかであり、龍王たちはそれにどう応えるかを模索している様子だった
「ねぇ・・・この黒髪眼鏡・・・ボク達を舐めてる?・・・眠い。」
「馬鹿がっ!!どう考えても挑発しているだろうが!!」
「矮小な生物が何を粋がっとるか・・・教えてやりたいのぉ・・・。」
龍王は龍王で柵がある様で拳を震わせながら我慢している様子だ
これは下手に挑発しなければ戦いを回避出来る
そう思い別の話題を振ろうと口を開こうとしたが
「いえいえいえぇ~・・・私は貴方方をおもてなしさせて頂く立場ですよぉ?・・・それが例え人族と同じ様な姿形に化けた蜥蜴であろうともねぇ?」
「「「「コロスッッ!!!!」」」」
・・・サイクスの挑発に4人ともが乗ってしまった
当の本人はまるで予定通りだと言わんばかりの厭らしい笑顔を貼り付けたまま言葉を紡ぐ
「えぇえぇ、それがお客様のご希望であれば精一杯おもてなし致しましょうかぁ。ただねぇ・・・貴方方が見下す矮小な生物を数に物言わせて蹂躙する事が蜥蜴・・・失礼、龍族の誇りですかぁ~??」
煽るサイクスと殺意を抑える龍王たちを見ると・・・私はどちらの味方をすれば良いのだろうと正直迷ってしまう
私はクロノこそが至上だと思っているが、サイクスの事は最低な部類にあると認識している
「お前は俺がコロス!!!青龍っ!!女同士赤毛はお前が殺せっ!!!」
「また勝手に決めるんやからぁ・・・お嬢ちゃん、わっちと遊びましょか。」
そんな事を考えているといつの間にやら私も戦う頭数に入ってしまっていた
「わ、私は「【狂炎】さん~?まさかこれ以上【狂乱】様の手を患わせませんよねぇ?」」
必死に否定しようとするとサイクスが私にそう告げてくる
その言葉は何よりも私の胸を抉る
このままだと本当にクロノに見捨てられるという焦燥感、危機感、絶望感が相まって・・・私は静かに剣を抜いた
「何のかんのとのたまっていても・・・ヤル気満々やねぇ~?」
「私にもこれ以上譲れない事がある・・・ただそれだけの事です。」
私がそう言うとクスクスと可笑しそうに笑う
その笑いが私を嘲っている事は容易に想像できる
「・・・何がおかしい?」
「い~えぇ・・・これ以上譲れない事があるという事は、これまでは譲ってきた|んやなぁと思ってね?」
そう言うと同時に彼女の魔力が一気に放出される
それは赤龍とはまた違う、浴びるだけで凍えそうになる様な冷たい魔力を感じる
「龍族領【青ノ國】の【龍王】どす。」
「・・・【狂笑道化団】、【狂炎ノ道化】。」
「【狂炎】はん、正直お三方ではあんさんが1番強そうやからなぁ~・・・悪いけどイの一番に死んで貰いますよって。」
そう言いながら扇子をユラユラと動かしながら構えて来る
だがそんな軽そうな扇子でどうか出来るものだろうか・・・?
そんな私の愚かな考えは彼女が一気に距離を詰め寄って来た際に霧散する事となった・・・
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