アカノと絶望と切望
「あらあらあらぁ~・・・龍族の長ともあろうがものがぁ・・・短気ですねぇ~?」
そう言って突如壁を創造したであろう人物が現れる
「サ、サイクス?!!」
コイツの事は大嫌いではあるが今だけは九死に一生を得た気分になる
叫ぶ私と目が合うと、ニヤァと嫌な笑みを浮かべて来る
「【狂炎】さん~?こんな危ない蜥蜴を放ってはいけませんよぉ?・・・後、私は【狂悦】ですのでぇ?」
「儂を蜥蜴と言ったか・・・?」
猛進を邪魔され、怒りに打ち震えている赤龍はそのままサイクスに殺気を向ける
だが異常者には殺気すら感じないのか、相変わらず嫌な笑顔を浮かべるだけだった
そしてそれは己自身の眼前に赤龍が立ち塞がっても変わらない
「えぇえぇ・・・龍族の貴方が蜥蜴でなくて何が蜥蜴ですかぁ?それとも・・・大蜥蜴とかぁ?」
「貴様ぁ!!!」
赤龍が激怒しながら殴り掛かろうとする・・・が、突如床から石が触手の様に伸び赤龍を捕縛する
「私は罠を設置するのが好きでねぇ~・・・ここら一帯は私の罠がそこらに敷き詰められているんですよぉ?」
そうやって煽りながら後方へ下がっていく
私自身もサイクスの能力を初めて知ったのだが・・・トラップが得意だと言うのならば身体能力は余り高くなく、敵を待つタイプのスキルなのだろう
「ふんっ!!」
赤龍が力を込めた瞬間、捕縛していた石の触手を粉砕する
そしてそんな赤龍の元に護衛達がゆっくり近づいて行った・・・
「餓鬼共・・・主らは中々に危険よのぉ。」
「・・・何を今更。この世界を滅亡させる意志を行動に移行したという事は自信があるという事ですよ。」
「何せ私たちは人族領を既に数国終わらせていますからねぇ。」
そう言って涼しい表情を浮かべるクロノと、いまだに挑発を繰り返すサイクス
それに対し憤怒していた表情から一転、静かに怒る様な表情を浮かべる赤龍と表情が見えないが・・・強者の雰囲気を出す4名の護衛達
数的にも質的にもクロノ達が圧倒的に不利なのは明らかだ
「きょ、【狂乱】!!わ、私も戦うっ!!」
そう言ってクロノの傍に行き、赤龍と対峙する
すると赤龍は目を細めて「ほう・・・。」と意味ありげな声を出す
「良いのか?儂が契約を破棄するやもしれんぞ?」
「?!!赤龍・・・あ、貴方に感謝はしているっ!!だ、だけど貴方はクロノじゃない!!私はクロノの味方であり続けると決めているんだ!!」
そう叫ぶと「そうか・・・。」とだけ呟き、魔力をより練り上げていく
私たちの戦力が3人なのに対し、赤龍たちは5人
それに加え、相手は全員【魔王】並みの強さを誇っている
対して私たちは、私と戦力になるのか若干怪しいサイクス、それにクロノ・・・
「・・・絶望的だな。」
思わずそう呟いてしまうのも仕方ない事だろう・・・
私の呟きを鼻で笑いながら赤龍は口を開く
「更に絶望な状況である事を教えておこう・・・おい。」
「わっちらに指図しなさんな。」
「どうでも良いけど・・・眠い。」
「蟻ンコ如きが、えらくまぁ・・・。」
そう言って護衛4名の内、3名がローヴのフードを脱ぐ
その瞬間、先程と比肩する事も出来ない程の強力なプレッシャーが襲い掛かって来る
「・・・なっ?!!」
「紹介しておくかのぉ・・・。儂と同じく称号【龍王】を冠する青龍、黄龍、黒龍だ。今回の事象は龍族にも関係あるからのぉ・・・儂が不在の間に攻め込まれても困ると思い事情を説明し招集した。」
「?!!」
実質、龍族の王たちが一堂にこの場で対峙している
それは最早絶望という感情すら生ぬるく感じてしまう気分だった・・・
「更にもう一方・・・特別な御方にお逢いさせてやろう。」
そう言われ、最後の一人がローヴを脱ぐ
私が昨晩1番強いと思っていた龍族だったが・・・
ローブを脱いだ瞬間、先程の龍王以上のプレッシャーで思わず片膝を付いてしまう
そして・・・
「紹介しておこう・・・儂等が龍族の【真祖】であらせられるソテルアス様じゃ。」
その言葉を聞いて、絶望の奥に更に絶望があり・・・未だ絶望があると言う知った
いつも有難う御座います!!
「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願い致します!!
ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!