クロノ?の感慨と感懐
「ふぅ・・・やっぱり遠出は面倒だね。」
そう言って根城に戻り、王座に腰を下ろしながら一息つきながら愚痴を零す
王座の下にはサイクスとゴーガンが真逆な表情を浮かべている
「よぉ坊主・・・俺を戻した理由はなんだ?」
「うん、【狂戒】・・・いやゴーガンさんには武器を造って欲しくてね。」
「俺は鍛冶師だからそれ自体は問題ねぇが・・・誰の分だ?」
「そりゃ勿論、僕等【狂笑道化団】の団員全員分だよ。」
僕がそう言う事も予想していただろう彼は溜息をつきながら首を横に振る
その表情には一切の曇りなく拒否反応が浮かんでいた
「坊主・・・悪いが俺は俺が気に入った奴にしか武器を造る事はしねぇ。此処の団員は俺も含めてだが・・・気に入る奴が少なくてな。」
「へぇ・・・参考までに聞くけれど、誰のだったら造って良いのかな?」
「あの新入り・・・【狂楽】と聖女の【狂信】、お前の姉ちゃんである【狂炎】だな。」
「僕等は駄目かな?」
薄笑いを浮かべながらそう尋ねる
仮にもこの組織のトップである僕を否定するとは思わなかった・・・事も無いな
「あぁ駄目だ、お前ら2人は断トツで造る気が起きねぇな・・・。」
「ヨヨヨ・・・ゴーガン氏は我々を誤解されていらっしゃる。私たちはこんなに清い心の持ち主なのに!!ねぇクロノ様?!!」
サイクスの小芝居に僕を巻き込むのは止めて欲しい
案の定、ゴーガンもあきれ返った表情を浮かべている
「まぁ、心が清いかどうかは兎も角、お前さんたちは純粋なんだろうよ。・・・良くも悪くもな。俺は別に心が清かろうが汚かろうがそこんとこは重要視していねぇ。」
「・・・じゃあ僕等が造って貰えない理由は?」
「簡単だ。俺が気に入るか気に入らねぇかが判断基準だ。・・・今回はお前さん達と俺の利害が一致したからこの糞ったれな組織に入ってやっただけだ。本来なら真っ先に斬りつけてやるほどに俺はお前さん達が嫌いだよ。」
僕が彼に声を掛けた時、彼は僕に人族領の滅亡を求めて来た
僕はそれに了承し、彼に対し最強の武器と成り得る武器の製造を求めた事を思い出す
「・・・最強の武器は誰に造るのかな?」
「さぁなぁ・・・本来なら嬢ちゃん一択だがな。ただ嬢ちゃんには【赤炎】がある・・・あれを手放しちまえば本末転倒だ。そうなると【狂信】か【狂楽】という事になるだろうよ。」
そう告げてきた後に軽く溜息をつき、こちらに視線を向けて来る
その視線は僕たちには絶対に造らないと言った様な断固たる決意が滲み出ていた
「・・・分かったよ。じゃあ【狂戒】は部屋に戻って武器の生成をして貰う事をお願いするよ。」
「だな・・・。お前さん達と3人で同じ空間に居るだけでも気が滅入る。」
彼はそう言って一瞥もくれずスタスタと自室のある方へと戻って行った
「・・・クロノ様ぁ、宜しいんですかぁ?」
「・・・別に良いよ。僕が彼に求めたのは最強の武器を造る事であって僕等にという条件は付けていない。でも・・・ちょっとばかり不快だけどね。」
「ですよねぇ~・・・殺っちゃいます?」
「いや、今は駄目だ。最低でも武器の完成と人族の滅亡までは生かしておこう。・・・僕は約束を守るからね。それより・・・」
そう答えて胸元から【宝珠】を取り出す
「いよいよですかぁ・・・」
「そうだね・・・此処まで本当に・・・永かった。」
感慨深く手に収まっている【宝珠】を見つめながらそう答える
やっと彼の求める変化・・・進化へと繋げる事が出来る大きな楔を打ち込むことが出来る
いつまでもこの達成感に浸っていたい気もするが、それではあの御方の悲願を達成出来ない
これで僕はあの御方の記憶にいつまでも残り続ける事が出来るだろう・・・
「じゃあ始めようか・・・あの御方の悲願である第一歩を。」
無言で頷くサイクスを尻目に僕は【宝珠】を起動させた
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