ポセイランの計画と変革
「それではホルン殿、グロウス殿と共に戦地に出向く【狂笑道化団】の人員を紹介しましょう・・・どうぞ。」
そう言って後方の天幕に待機していた2人をこの場に促す
2人とも仮面で顔を見られない様にし、ローヴを纏わせている
何せ【魔王】が居るのだから何処で顔が割れているか分からない・・・
「皆さまにご紹介しましょう、【狂笑道化団】のお2人である【狂楽ノ道化】と【狂滅ノ道化】です。」
「・・・何だ、たった2人ではないか?」
「仰る通りたった2人です。ただ、このたった2人を含めた8人で人族領一国を完全に根絶やしたのです。」
【魔王】達が人族領の根絶やしにする事にどの程度の価値を見出しているかは疑問ではあるものの、戦力となり得ないと考える馬鹿は流石に居ないだろう
「たった8人とは言え、所詮は人族領だろう?多少の戦力になる事は認めるが全幅の信頼を置けるかというと甚だ疑問だが?」
蝙蝠野郎がそう言って得意げな表情を浮かべる
こいつは多少の戦力として認めるとは言っているがその実、見下しているであろう事がありありと窺える
「・・・ふん、無恥な蝙蝠がほざきよるわ。」
仮面の内側で【狂滅】がボソッと呟く
言わんとする事は概ね同意するが、今言うべき言葉ではないだろうと内心悪態をつく
全く、私の絵図通りに動かない輩ばかりで鬱陶しい・・・まぁ、それが良いのだが
「閣下のご指摘も尤もでございます。ですので今回の戦働きにて見極めて頂ければと思います。」
「・・・そうだな。おいそこの仮面達よ、【魔王】の為に働けるのだ。粉骨砕身の気持ちで挑めよ。」
「有難う御座います。それでは今回の戦場に出向くのは【有翼国家ラスローレン】の兵及び【魔王】、【槌王国ホルン】の兵及び【魔王】、【狂笑道化団】から2名・・・そして我が国からも兵を派遣させましょう。」
仰々しくそう告げる蝙蝠に一礼を取り、ポセイドニスからも兵を出す事を告げると誰もが納得したかの様な表情を浮かべる
「それでは出兵は明後日という事で・・・私は彼らを部屋まで案内いたしますのでこれで失礼いたします。」
そう言い残し、会議場を後にした・・・
◇
◇
「・・・【狂滅】、言葉を慎め。」
2人を部屋へ誘導しながら注意を促すも、当の本人はどこ吹く風という様な素振りを見せる
その仕草に多少の腹正しさを覚えるが、何処かで同調している自分も居るために強く言いにくい
「あの様な【魔王】擬きに見下されるのは我慢出来ん。」
「擬きか・・・。」
「そうだ、勝てる戦場にしか立とうとしない脆弱な【魔王】など【魔王】ではないわ。」
「そんなこと言うなよ・・・僕も【狂謀】もある意味では勝ち馬に乗っている様な状態なんだからさ。」
【狂楽】の言わんとする事も理解できる
確かに我々は利益を見込むことが出来る、又、目的を達成できる可能性が高いと考えて【狂笑道化団】に加入している
その根底を覆す様な【狂滅】の言葉は刺々しく感じる
「・・・まぁどちらにせよ私たちがやる事は変わらない。【狂楽】に【狂滅】・・・【魔神連合】を精々動揺させてくれ給え。」
「オッケー、だったら僕は元ブーザル領から向かおうかな?トリクトリロから近いしね。」
「・・・だったら我はアンギスの方へ向かい、此処から我の復讐を始める事としよう。」
2人ともヤル気に満ち溢れてくれるのは良い事だ
「宜しく頼むよ。」と答えた後に自然と口角が上がる
私の計画上、先ずはこの世界をグチャグチャにする必要がある
その計画を【狂笑】、【魔神連合】、【魔王同盟】が助けてくれると言うのだから有難いという言葉以外は思いつかない
・・・多少のストレスは我慢しよう
・・・多少のおべんちゃらだって言ってみせる
・・・多少の馬鹿相手にも腹立てずに対応してみせよう
全ては私の計画の為に・・・
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