【間章】~~追憶Ⅳ~~
「・・・よぉおっさん、何処から湧いて来たんだ?」
俺たちは剣を構えて相手の出方を警戒する
だが目の前の男はモゾモゾと懐から煙草を取り出して口にくわえて火を点けている
まるで緊張感の無い雰囲気と、相手が戦闘に関してはずぶの素人だという動作が余りにも此処に似つかわしくない
「よぉおっさん・・・答えろよっ!!!」
俺の恫喝を意にも返さない様子で俺たちをチラッと見てから口を開く
「五月蠅いなぁ・・・頭が悪い奴等はこれだからねぇ。何処から?この奥の施設からに決まっているだろ?」
「てめぇっ!!!」
斬りかかろうとする俺をリングランが手で制する
「じゃあ自称頭の良い貴方に聞きたいのだけど、此処で人族と魔族を交配させているという情報は本当なのかしら?」
「あぁ間違いないねぇ~。」
そう言いながら口から煙を吐き出す
くそっ!!コイツのやることなす事に対して苛立ちが収まらない
「何故そんな事を?」
「・・・何故か、お嬢さん本気で言っているのかい?」
「・・・どういう意味?」
「お嬢さんはこの世界の歴史を知っているかな?あぁ頭の悪そうな君達3人は答えなくても良いよ。」
その言葉を聞いて襲い掛かろうとするもコシドーが俺の肩を掴む
俺の中では最早理由なんざどうでも良いという気持ちすら沸き起こる
「・・・歴史に関しては人並みとしか言えないわね。」
「そうかい。まぁ人並みであれば理解は出来るだろう・・・どう思う?」
「どうって・・・何の事?」
「違和感を感じないかい?と聞いているんだ。」
「・・・・・・分からないわ。」
リングランがそう答えると深い溜息をつく
そして憐れむ様な目で俺たちへ視線を投げかけてくる
「所詮凡人は凡人か・・・良いかい、有史3千年間に様々な歴史が存在している。」
「えぇ・・・。」
「だが3千年経過しても変わらない事がある。それは人族、魔族の在り方と営みだ。」
「・・・えぇそうね、何が言いたいの?」
「有り得ないんだよっ!!!」
突如大きな声を張り上げて叫び出す
こいつはこいつで情緒不安定な様だ・・・
若干引いている俺たちなどお構いなしに言葉を続ける
「有史以来この世界の衣食住は何一つとして発達発展を行っていないそれに違和感を感じないという事自体が既に違和感でしかないのだそもそも人族魔族関係無く知能に差はあれども思考するという術を備えているにも拘らずその思考が日常的な生活の方へ3千年間誰も寄らないという事自体が不可解だと感じないかね?いや感じないからこそ愚鈍なのだろうがそんな違和感でしかない世界にメスを入れたのがこの私だ私こそがこの世界で初めて日常生活という枝では無く世界の生態系である生物の進化の在り方に着手したのだよそれではどうすれば進化に行きつくのかと考えた時に人族と魔族更に言うならば魔族は複数種族が存在しているそれ等を交配していけば人族の良い部分と魔族の良い部分を残した時代の子供が誕生するだろうという所に目を付けたのだそこでまず考えたのは人族と魔族の交配は子をなす事が出来るのかと言うある意味当然な疑問から入ったのだだから私は冒険者に依頼し魔族種の女を誘拐させ冒険者の男を拉致監禁し誘惑香でもって行為に及ばしたのだよするとどうなると思うかね?なんと数ヶ月後には子を孕んでいたのだよその子供を」
そう言って一気に何か訳の分からない事を絶え間なく叫び続ける目の前の狂人に恐怖を覚える
「なぁ・・・こいつは黒幕の1人で間違いないよな?」
「えぇ・・・余り聞きたくない話ではあるけれどね。」
「アニキぃ・・・こいつちょっと怖いんですけど・・・」
「・・・・・・。」
四者四様の感想がありつつも恐怖感だけは共通した認識でいた
このままコイツの独演会を聞いていても頭がおかしくなりそうだ・・・と考えているとシャンスが弓に手を掛け、瞬間目の前の狂人に向け矢を放つ
「・・・言っただろう?子は成している、と。」
そう言ってニチャァァと嗤う男の横には・・・まだ6歳位の黒髪黒目の男の子が矢を受け止めて待機していた
いつも有難う御座います!!
「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願い致します!!
ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!
いつもご愛読有難う御座います!!!
本章は此処で一旦終了です。
次章からはアカノの方へ移行します。
これからも変わらぬご愛顧の方を何卒宜しくお願い致します!!