ファーニャと怒りの碇
「ふぅ・・・。」
私は眼前の亡骸を見ながら思わず溜息を吐いてしまう
正直此処までの実力差があるとは思わなかった
確かに【魔王】とは別の称号とは一線を画す種族の王ではあるけれど・・・
「ファーニャ様・・・お疲れさまでした。」
「えぇ有難う。取り敢えず今現在の被害状況を確認して報告して下さい。」
「はっ!!」
目の前の味方兵士ですら少し挙動不審な態度を取って来る
多分私に対して畏怖しているのでしょうね・・・
旦那様を筆頭に幹部達が化け物過ぎてそこら辺の感覚が狂っているのかもしれない
「しかし・・・流石はファーニャ様ですね。これだけの数を一掃されてしまうとは・・・。」
「まぁ耐魔性が高いとは言っても無効化する訳では有りませんからね・・・。」
そう言いながら辺りを見渡すと私が倒した数百の魚人族だったの亡骸が所狭しと埋め尽くされている
「まぁ相手が【魔王】でないのならこの程度はね。旦那様でしたらものの数分で片を付けてしまうでしょうが。」
「・・・【魔王】様や【魔神】様とはこうも恐ろしいものなのですね。」
「えぇ、全くです。」
魚陣族は確かに魔法耐性が高いが、陸上よりも海上の方が戦闘が得意だと聞いた事がある
という事はこの魚陣族は・・・
「ポセイドニスですかね・・・」
誰に言うでも無くそう呟く
【魔海皇国ポセイドニス】の【魔王】であるポセイランが【魔王同盟】と手を組んだのはこれでほぼ確定だ
今回の戦闘では当の【魔王】が現れはしなかった事がより不気味に映る
「ファ、ファーニャ様!!」
私が思案に耽っていると、マリトナとサラエラがフラフラとした足取りでこちらへ戻って来た
取り敢えず2人が無事で喜ばしく思うと同時に、この2人を此処まで疲弊させる敵が現れたのかと警戒心をあげる
「お2人とも、無事で何よりです。お身体は大丈夫ですか?」
「ファーニャ様もご無事で何よりです。と・・・ところでこの魚人は?」
辺りを見渡して引き攣った表情を2人は浮かべながら問いかけて来る
まぁ辺り一面亡骸だらけであれば、そう感じるのも致し方ないでしょう
「お2人が発たれてから攻めて来た敵軍です。幸い【魔王】は居りませんでしたので何とかなりました。・・・それよりお2人は?敵は【魔王】でしょうか?」
私がそう尋ねるとハッとした表情を浮かべる
そして神妙な表情に代わり、ポツポツと話し出した
◇
◇
「・・・何てことなの。」
彼女達の報告を聞いた第一声がこうなってしまったのは致し方ないと思う
正直、ロキフェルさんは私と同じ位、旦那様への忠誠が厚いと思っていた
だがそんな彼が旦那様と敵対し、旦那様の国へ直接攻め込んでくるとは僅かも想像した事は無かった
そんなロキフェルさんが【狂笑道化団】に所属している・・・
「・・・ふふ」
「・・・?」
「ふふふふふふふふふふふふふ」
「あ、あのファーニャ・・・様?」
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ・・・お仕置きですね。」
「・・・はい?」
「あのガキんちょ魔王はお仕置きですっ!!!」
「は、はいっ!!!」
多分、今の私の笑顔は全く笑えていないだろう
あのロキフェルが何もなく裏切る訳が無いと私は知っている
だがそれでも・・・旦那様が聞いたら哀しむ事をしている以上は・・・
「生まれて来て御免なさいと言う迄はしっかりお仕置きしてあげます!!!」
私はそう宣言して拳を天に突き上げる
旦那様を傷つける者、哀しませる者に容赦などするつもりも必要も無い
「では旦那様の元に戻り、取り急ぎ【魔王同盟】を殲滅させる手段を講じますよ!!!」
そう言って私は無意識の内に僅かに大股で歩いていた
・・・
・・・・・・余談ではあるが、攻められた場所に追撃が来ないとも限らないとも限らないという事で私と数人の近衛兵で帰還した事は此処だけの話だ
いつも有難う御座います!!
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中途半端に感じられるかもしれませんが、本話で「カミガミヘイタルカイダン」本章は終了です。
【間章】を2話ほど挟みまして次章へ移行します。
此処までお付き合いいただき誠に有難う御座います!!
思えば執筆を始めて1年が経過しました・・・
過去の投稿をみるとこう書きたかったなという部分もあるのですが、手直しよりも先にご愛読いただいている方には続きを読んで頂きたいという気持ちもあり放置しておりますww
しっかり完結させてから手直しするかもしれませんし、しないかもしれません。
其処は初投稿という事で大目に見てやってください
今後ともどうぞ宜しくお願い致します!!