マリトナの疑問と鬼門
「マリトナ様・・・。」
ふむ、予想通り危機一髪という様な状況だな
様子を見るに【啞日凶棺】を使用した後に敵に見つかり殺されそうだったという事か・・・
「これまた女が邪魔するなぁ・・・お前さん何者だ?」
「人に名を聞く時は己から名乗るものだ。」
私としては常識を説いたつもりなのだが、目の前の敵は額に青筋を立てている
どうやら我儘若しくは自己中心的な性格の様だな
「・・・俺様が寛大で良かったなぁ?俺様は【魔王】ホルン様だっ!!」
「そうか。」
偉く重厚な鎧と上等なマントを羽織っているからそうではないかと思ったがやはり【魔王】か・・・
しかし【魔王】か・・・
「いやお前も名乗れよっ?!!!」
「・・・あぁ失礼、【遊戯国トリクトリロ】腹心マリトナだ。」
確かに名乗られたなら名乗り返さねばならない
だが不思議なのは名乗ったら少し呆けた顔をしてから大笑いし出した所だ
私は何も愉快な事は言ったつもりはないのだが
「ギャハハハハハ!!!【魔王】ですらない雑魚が粋がるなよ!!!お前ら纏めてミンチにしてやろうか?!!」
「・・・確かに称号【魔王】は強力だ。だがそれに胡坐かいている雑魚【魔王】には無理だ。」
目の前の男が我が主君やあの筋肉達磨と同格とはどうしても思えない
主君は制約が掛かっていてもあの実力だし、筋肉達磨も【真祖】の鍛錬を受けかなり強くなっている
目の前の男は【魔王】に胡坐をかき鍛錬のたの字行っていなかったのだろう
どう考えても脅威になり得なさそうだ
年も若そうだし【魔王】になって数十年の若造だな
「・・・よぉ悪魔族、余り舐めた口をきくんじゃねぇぞ?手前もどうせ口だけの実力が伴っていない雑魚だろうが?」
「・・・?誰と比較しているかは知らんが戦えば分かる事じゃないのか?それとも【魔王】の名はただの飾りか?」
「・・・!!!上等だぁ・・・お前から死ねやぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」
そう言って大槌に魔力を込めてコチラにむかって振りかぶって来る
確かに攻撃の質量ともに【魔王】に恥じない威力を醸し出しているな
「なっ?!!」
だが如何せん攻撃が遅すぎる
これでは以前の私でも何とか回避できる程度の素早さしかない
私は自称【魔王】の背後に回り短刀で脇腹を攻撃する
ーーガギィィンーー
私の短刀を自称【魔王】の鎧が攻撃を阻む
成程・・・それなりに良い装備を纏っているらしい
一旦距離を取り、どう料理してやろうかと模索しているとにやけた表情を浮かべて話しかけてくる
「へっへっへっ・・・俺様は鍛冶を生業とする国の【魔王】だぜ?そんじょそこらの装備と同列に扱うんじゃねぇよ!!」
「・・・確かに中々良い装備だ。」
想定以上の装備だったので素直に賛辞を送る
すると非常に得意満面な表情を浮かべるが・・・?
「だがそれは装備が優れているのであり、お前が優れている訳では無い。事実、お前がその装備を纏っていなければ先程に勝負は決していた。」
何故こいつは此処まで得意満面な顔を出来るのか不思議でならない
まぁ、自分で造ったというならば理解できない訳でも無いが・・・そうでもなさそうだから不思議だ
「ぐっ!!うるせぇうるせぇうるせぇ!!!俺の国が造った物は俺様が造ったと同義だぁ!!!喰らえ【神ノ鉄鎚】!!!」
痛い所を突かれたのか・・・半場やけ気味にスキルを発動し再度攻め込んでくる
この攻撃は意外と範囲が広く、ノーガードで喰らえば私とて致命傷を負わざるを得ないな
だが不思議だ・・・
「【夜王ノ魔衣】。」
自称【魔王】の【神ノ鉄鎚】を防御し、少々身体が痛む程度のダメージで済ませて再度背後へ回り込む
ただ今度はわき腹を偉う訳では無く、短刀を首元に添えただけだったけれど・・・
「やはり不思議だ・・・此処まで直情的で短絡的なお前が我々が1番して欲しくない飛び道具での攻撃を思い付く人物と一致しない。・・・あの軍の指揮をしていたのはお前なのか?」
「・・・・・・。」
そう尋ねると僅かに震えながら・・・首を横に振るのだった
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