ファーニャの反芻と反省
あれから同じ様に攻めて来た第二陣のドワーフ族も壊滅する事が出来た
でも、相手の攻め方が突如と変わる
「がぁ!!」
「ぐっ!!」
「敵軍より飛び道具が射出されて来ました!!」
そう言われて敵軍を見ると第三陣はこちらに突出して向かって来ない代わりに、ボーガンを携えて攻撃を行って来る
レイス族は耐物性には優れているけれど、悪魔族は耐物性に低い
必然的に悪魔族が負傷していく
そうなると広範囲魔法の発動に支障が出てしまい・・・ジリ貧になってしまう
「これでっ!!!」
悪魔族が集まっている付近に魔力で盾を形成して威力を弱めるが・・・魔力の盾では物理攻撃を完全に遮断出来る訳では無い
「今の内に悪魔族は広範囲魔法を!!レイス族!!状態異常付与可能範囲ですか?!!」
「・・・ファーニャ様、残念ながら並みのレイス族ではあの距離に付与させる事は不可能かと。」
「・・・そう。」
「ですが・・・並みではないレイス族であれば可能です。」
そう言ったサラエラの目が紅く光り出した
「・・・貴女が動くのね?」
「はい。私は普段の戦闘ではお役に立ちにくいですが・・・今この場では最善の手札かと。」
・・・当初から不思議に思っていた
旦那様が彼女を幹部たちと同じ様に扱っている事を
彼女に専属メイドの役割を与えており付き従う事も認めている事を
当初は元ブーザル領代表という事だったが、クロノス領に吸収された今では常に付き従う事に違和感を感じていた
その疑問が晴れたのは此処へ赴く道程で彼女が私に伝えてくれたからだ
「でも単身であそこまで行く事は難しいんじゃない?」
「いえ・・・広範囲魔法が発動されると同時に相手本陣に向かいます。」
「・・・死にに行く事は許さないわ。」
相手本陣という単語が引っ掛かる
そんな単機特攻の様な作戦は私も旦那様も容認できない
「・・・えぇ勿論です。」
一呼吸おいてそう返事する彼女の様子を見て、彼女がなりふり構わずに突っ込もうとしている事を確信する
「・・・良い?第三陣に届く射程範囲までの移動しか許可しないわ。それ以上踏み込む事は厳禁、これは【魔王】及び【魔神】様の命令だと思いなさい。」
「?!!」
「あの方が【魔王同盟】なんて格下相手の戦闘で貴女を失う事を望んでいると思う?再度宣言するけれど・・・これは【魔神】様に指揮権を委ねられている私の命令よ。」
そう告げると彼女は暫し悩んだ表情を浮かべた後にフッと微笑む
流石に盟主とまで崇めている旦那様の命令だと言えば納得してくれるみたい
先程迄の危険な眼差しが和らいだ様で少し安心する
「それではファーニャ様・・・そろそろ魔法が発動されるみたいですので失礼いたします。」
「えぇお願いね。」
そう言って彼女を見送って私は私で盾を発動させ続けた
◇
◇
私は1人茂みに隠れて友軍の魔法が発動されるのを待つ
あの調子だとものの数分で発動する事が出来るだろう・・・
心を落ち着かせながら先程にファーニャ様とお話させて頂いた内容を反芻して反省する
あの時、彼女に私のスキルを説明した事は失敗だったかもしれない
けれど説明をしていなければ単機特攻の許可も下りなかったであろうから難しい所ではあるが・・・
(でもまぁ我が盟主の名の下であっても・・・今後お役に立つ機会があるとは思えませんしね。)
私のスキルはそれほど迄に限定的なスキルだ
産まれてこの方感謝した事など一度も無いけれど・・・今であれば感謝出来るかもしれない
(我が盟主・・・今後のご武運を祈っております。)
そう思考した瞬間
ーーーチュドーーーーーーーーンーーー
広範囲魔法が敵軍の第三陣に直撃した音がする
この魔法により第三陣は崩れてはいるだろうが、壊滅には至っていないだろう
ましてや第四陣、第五陣にまで同じ様な策を弄されたらこちらがますます不利になる
私はそれを予測し、一気に第三陣の方へ突っ込んでいった
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