ファーニャの作戦と開戦
「これ・・・相手軍勢はどれ位いるのでしょうか?」
渡しの横にいるサラエラは呆然とそう呟く
けれど、彼女がそう思うのも無理はないでしょう・・・
立地的なのかクロノス領だからなのかは不明ですが、明らかに1国の魔族軍勢の数では無い
数にして凡そ1,500程である事を考えると相手は2国分の兵力をこちらに向けて来た事になる
「ドワーフ族が前方で待機し・・・後方に別の種族が居るのでしょう。混合軍を急造出来ないのならば完全に分断して攻め込むとは・・・単純では有りますが強力ですね。」
マリトナは冷静に思考し、感想を伝えて来る
ドワーフ族は物理耐性に強い反面、魔法耐性に弱い・・・だが後方に控えている種族がその逆なら?
今此処に待機している軍勢はレイス族200と獣人族300、悪魔族100となる
ドワーフ族に対してはレイス族と悪魔族で対抗できるが・・・別種族が700以上いた場合獣人族兵士だけではとても対処出来ないだろう
加えて此処に居る幹部である自分、マリトナ、サラエラはかなりの実力者ではあるものの・・・物理攻撃を行えるのはマリトナのみ
しかも彼女の場合は特化しているのではなく全てが平均的な実力なのだ
「こうなるとロキフェル様を召集できなかったのは痛かったですね・・・。」
さらにトリクトリロにロキフェル召集を打診したのだが・・・いまだに返事が来ない
絶体絶命では無いが余裕綽々でもなく、四方八方の手詰まりではないが三方六方位は手詰まっている感じはある
「まぁ・・・泣き言を言っても始まりませんからね。やるだけやってみましょう!!」
そう後方に檄を飛ばすと同時にドワーフ族から開戦の雄叫びが聞えて来る
そっちじゃない・・・とは思うものの攻め込んできたのならば対処するしかない
「レイス族っ!!前方に飛び出してきている者から順に状態異常付与を!!悪魔族っ!!レイス族が時間を稼いでいる間に広範囲魔法を発動してくださいっ!!」
私の指示でレイス族は順次ドワーフ族に状態異常を付与させる
ある者は混乱し、ある者は幻惑でも見ているのだろう・・・味方に攻撃を行う
それが少数であれば対処できるだろうが、かなりのドワーフ族がそうなってしまうと・・・
「正に地獄絵図ね・・・」
「はい・・・今更ながらレイス族の恐ろしさを感じています。ブーザルは正に阿保だったのですね。」
ポツリと呟いた一言にマリトナは同意し、前【魔王】を貶める
サラエラはその言葉を聞いてコクリと頷く
「ブーザルは紛う事なき愚王でしたが・・・レイス族は必殺性に欠けていますから。」
確かに状態異常という手段は相手が大群で有れば有るほど活きて来る
だが反面誰にでも効果がある訳でも無く、必殺性と言われれば確かに無いだろう
「そんな事はブーザルも把握していた筈なのですが、性格が災いして何処とも同盟する事も無く孤立無援な国となりましたから・・・正に愚王でした。」
淡々と元主に辛辣な言葉を投げかけてる彼女を見て、同じ【魔王】である私は国民にそう言われない様に心がけようと気持ちを固めた
ーーチュドーーーーーーーーンーー
ーーグワシャーーーーーーーンーー
ーードゴォォーーーーーーーンーー
詠唱を終えた悪魔族が広範囲魔法をドワーフ族にめけて発動させる
すると状態異常に掛かっていたドワーフ族は面白い様に魔法が直撃し散り散りになっていく
「第一陣ほぼ壊滅させましたっ!!」
「第二陣が直ぐに向かって来る筈です!!先程と同じ様に動き迎撃体制で向かえなさい!!!」
「はっっ!!!!」
真っ先に突入してきたドワーフ族120程はこちらの損害無く壊滅させる事が出来た
でも・・・相手がこのまま攻め込んでくると考えるのは余りにも安易だ
「次の手が来るでしょうか?」
「多分ね・・・相手が馬鹿じゃなければだけど。」
サラエラの質問に端的に答えながら、次の挙動を見逃すまいと軍勢を凝視し続けた
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