ダンキの吐息と廃棄
「ただのスキル・・・じゃと?」
目を剝いて俺を凝視してくる
まぁ満身創痍だった奴が何もなかったかの様に斬撃を受け止め、振り回して立ちあがりゃ訝しむ気持ちも理解出来ないでは無ぇが・・・
「有り得ん・・・儂ら魔族には回復する魔法やスキル等は存在せぬ!!小童、何をした?!!」
「なぁに、ただの【大罪スキル】を使用しただけだよ。まぁ正確に言うなら俺式の【大罪スキル】とでも言うべきか?」
「た、【大罪スキル】っっ?!!」
我が主と居ると麻痺しちまうが・・・爺さんの驚いている通り【大罪スキル】はレアスキルだからな
だが俺としては其処に驚くんじゃなく、俺式の所で驚いて欲しい所だったが・・・
「応よ、俺の持つ【大罪スキル】は【傲慢ナル腕】だが・・・俺式で言うと・・・【傲慢王ノ腕】とでも名付けるかねぇ。」
そう言って何気なく説明をするが、爺さんは未だ【大罪スキル】持ちである事に驚いている様だった
俺の【傲慢ナル腕】は自身の物理攻撃力、魔法攻撃力、防御力を約3倍に跳ね上げるスキルだ
だが【傲慢王ノ腕】はそれをあの地獄の様な修練の末で約9倍にまで跳ね上げる事に成功したスキルだ
だが・・・このスキルには欠点が存在する
物理攻撃力を9倍にすると魔法攻撃力、防御力は変動しない
魔法攻撃力を9倍にすると物理攻撃力、防御力は変動しないといった融通が利かないというか傲慢故にそこまで気が回らないのかと言った様な状態だ
「まぁ兎に角、爺さんがそこまで燥ぐなら・・・俺としても切札を出さざるを得ないわなぁ?」
そう言って大剣を回転させて柄を握りしめる
爺さんは動揺が向け切ってはいないものの、キッチリと戦闘態勢を取っていた
「悪ぃな爺さん・・・俺がコイツを使用すると【魔皇帝】に限りなく近い強さになるらしいんだわ。爺さんの悲願なおか鳥人族の悲願なのかは知らねぇが・・・ソイツは此処でお終いだ。」
「そ、そんな訳があるか!!!儂ら鳥人族はその為に・・・その為だけに「じゃあな。」」
そう言った瞬間に距離を詰め、四方八方から爺さんを斬り刻む
ムカつくが・・・あの女から味わったスキルを参考にした完全な我流だが
「がっ!!がぁあぁぁ!!!ぎゃっ!!だべっ!!!あああぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺の攻撃力と素早さに為す術が無いのか、身体を丸め防御を試みている様だが・・・生憎こちとら大剣を携えて斬り刻んでいる
小さい武器なら未だしも、大剣相手にその防御は悪手でしかない
「おらおらおらおらおらおらっ!!!!!」
「ぎゃっがぁぎゃあーーーーーーーーーー!!!!」
爺さんの必死の防御も空しく、俺の斬撃は鈍くなる所かより素早く、より強くなっていった
遂にはそれに耐えられなかった様で身体の肉片が飛び散り鮮血をまき散らしていく
「まだまだまだまだまだだぞ?!!!!」
「ちょ、調子にのるなぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
俺の攻撃に耐え続ける事が悪手だと悟ったのか、斬撃と斬撃の合間を見計らって反撃を試みて来るものの・・・生憎今の俺の斬撃はそこまで鈍くない
反撃しようとしてくる動作の合間を縫って、爺さんの分厚い筋肉を正面からぶった斬った
「・・・爺さん、良い加減に年を考えろや。」
「わ・・・儂は・・・儂等はちょ・・・鳥人族・・・を・・・」
そんな事をうわごとの様に呟きながらドサッと倒れ込んだ
恐らくもう生きてはいないだろう・・・が、爺さんの胴に剣を突き刺し本当に生きていないかの検分をはかる
「・・・爺さんの悲願は後世に託せや。年寄りがしゃしゃると若い者は立ち上がれねぇぜ?」
爺さんがピクリとも動かない事を確認し、【傲慢王ノ腕】を解除する
【魔王】が死んだとなりゃ鳥人族も一目散に撤退していくだろう・・・そう考えてバルデインに加勢する為に取り急ぎ戻る事にした
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