クロノの本意の決意
「・・・じゃあアンギスは変わらずダンキとバルデイン、元ブーザル領にはマリトナ、サラエラに加えてファーニャにお願いしても良いかな?・・・ルーシャは皆の中継として城で僕の代わりに指示をして欲しい。」
確かに龍族の【真祖】がどのタイミングで来るか分からない・・・更に言うならば【真祖】からすれば魔族領が荒れているこのタイミングで動き出す可能性はかなり高いとも言える
であれば今僕がするべき事はファイアーポイントの火消し作業では無く、来るべき時に備えて準備をするべきなのだ
ブロウドさんやファスミーヤさんの言う事が理にかなっている事は理解しているが・・・それでもやはり気が急いてしまうのは僕が未熟だからなのだろうか・・・そう考え落ち込んでしまう
「我が主よ、気に病むでない!!【魔王同盟】などという木端は直ぐに叩きのめしてみせよう。」
「ダンキ殿の仰る通りです。アンギス兵の練度は決して低く有りません故、ダンキ殿と力を合わせればまず問題無く勝利を収める事が出来るでしょう。」
ダンキとバルデインが落ち込んだ僕を励ましてくれる
そしてファーニャ達もその言葉に呼応する様に明るい口調で言葉を続けた
「旦那様、お母さまとの修行で私も強くなっているのですよ!普通の【魔王】が出て来ても先ず負ける事は有りません。」
「それにロキフェル様からの助力を得る事が出来れば何一つ問題は御座いません。」
「我が盟主は何も気に病まず、ドンと構えて頂ければ宜しいかと・・・」
「・・・みんな有難う。」
皆の気持ちを嬉しく感じる
皆が此処まで助力を尽くしてくれているんだから、僕は僕で次の脅威に備えなければならない
ブロウドさん達の方へ視線を向けると、彼らは少し微笑んでいた
「ブロウドさん、ファスミーヤさん・・・僕を龍族の【真祖】に勝てる迄鍛えてください。」
そう言って一礼をすると、ブロウドさんの手が頭の上に乗っかっていく
そしてなぜかそのまま撫でくられてしまった
「クロノ君・・・主は臣下に頭を下げるべきでは無いよ。私は客分とは言え君の臣下だ・・・主の力になれるのならば何一つ惜しむものはないねぇ。」
「まぁ娘が貴方にお世話になっていますから、その謝礼だと思ってくれれば良いわ。・・・それでも足りないというのなら、御礼は私を此処に引っ張ってきた娘にしてあげてね。」
そう言って2人は優しい言葉を掛けてくれる・・・が、ファスミーヤさんの言葉には様々な物事を孕んでおり、今は突っ込んではいけない気がする
何がどうあろうと、取り敢えず全てはこの戦いを終わらせてからだと気持ちを切り替えた
「じゃあ皆、準備が出来次第に向かってくれ!!幸いこの城は全て国に対してほぼ中間地点に位置しているからどの国にも間に合わないという事は無いだろう・・・皆、頼んだよ!!」
「「「応っ!!!」」」
そう言って発破を掛けると勇ましい声が部屋中に響き渡る
【真祖】や【狂笑道化団】程の脅威は無いと言われている【魔王同盟】だが・・・裏で何かが暗躍している以上は楽観視が出来ない
そして僕は・・・性質上、【狂笑道化団】が裏で絡んでいるだろうと予測を立てていた
◇
「ルーシャ・・・頼みがあるんだ。」
「はい、どの様な事でもお申し付けください。」
何も伝えていないのに、了承の意を答えてくれる
彼女自身も明らかに強く放っているが・・・宰相という立場上、他国へ進出させる事は出来ない
その代わり、彼女には彼女しか出来なことをやってもらおう
「至急、ルナエラに連絡を取って欲しい。そして人族領の情報の聞き取りと、今僕の武器を造って貰っているんだけど足りない材料を聞き取りして輸入して欲しい。・・・それと可能かは分からないが人族領の業物も出来る様なら幾つか輸入して貰うように。あと最後に・・・他国へ向かう重臣には伝達可能な【宝珠】を持たせてくれ。」
僕が一気にそう告げると笑顔で一礼をしてくる
・・・今思い付く手札は全て曝け出す、そんな決意を改めて自分に刻み込んでいった
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