クロノの矜持と協事
「じゃあ話を戻すけれど・・・僕が求める武器だけど結構具体的なんだ。譲れない点で言えば業物以上の品質でありながら魔力を攻撃力に変換するエンチャント付与は必須、可能であれば基礎体力も底上げして欲しいんだけど、どうかな?」
僕がそう尋ねると3人は押し黙る
やはり業物以上で且つこちらの要望を叶えるとなると難しいのだろうか・・・
そんな事を考えているとダロウが口を開く
「私は【鍛冶匠】の称号を得ておりますので、良い素材を扱わせて頂き、何度か鍛えれば業物の作製は可能です。ただエンチャントは・・・。」
「俺・・・はエンチャントにはちょっと自信が有りますぜ。業物も仕上げる事も勿論できるが・・・恐らく鬼人族の旦那程の確率ではないんじゃねぇと思う。」
そう言って今度はガラフが口を開く
成程・・・武器そのものの品質はダロウ、オプション的なエンチャントはガラフか
そんな事を考えているとゴォスがが大きな身体を小さくしながらそろりと手を上げる
「・・・私はお2人と違いこれと言った得意な分野は御座いません。前【魔王】は国交を開く事をされませんでしたので・・・全てが自己流で正しいかも分からないのです。」
確かに師匠みたいな人は居るだろうが・・・その師匠も我流なのであれば何が正解かも理解出来ないだろう
正直に告白する彼の性格自体は非常に好ましく思う
「少し教えて欲しいんだけど・・・鍛冶って必ずしも1人でしなければ駄目な決まりってあるのかな?」
「そんな決まりは有りませんが・・・ただ、初めから最後まで自分で仕上げる事が当り前ではあります。」
それは恐らく職人としての吟味が関係しているのだろう
本来であればそれを尊重したい気持ちもあるにはあるが・・・
「だったら鉄を打つのはダロウ、エンチャントを施すのはガラフ、そして補助的な役割をゴォスにお願いする事はどうかな?」
「・・・それは我々が単独に行う事が役不足だと?」
そう言ってダロウが不貞腐れた様な物言いで尋ねてくる
彼からすれば不敬である事は承知の上でも、職人気質な部分が納得いかないのだろう
けれど僕としても言わなければいけない所は言わないといけない
「そうだね・・・正直、【鍛冶匠】としての君の腕は欲しいがエンチャントに自身が無いのであればそこはガラフに譲ってほしい。・・・今後僕はまだ戦いわなければいけない相手がいる。そしてその中には龍族の【真祖】が含まれているんだけれど、君は自分が自信を持てないエンチャント付与された武器を僕に持たせる事は出来るかい?そして・・・その武器で僕は龍族の【真祖】に勝てるのかい?」
「「「・・・・・・」」」
そう告げると3人ともが黙ってしまう
3人には申し訳ないが・・・今は彼らのプライドよりも圧倒的な実利が必要だ
彼らを慮って【真祖】や【魔王同盟】、【狂笑道化団】に対してプラス要素にならない方が実害が大きすぎる
「そうなると・・・素材から厳選しなければなりませんが、素材は如何ですか?」
「城の宝物庫に前【魔王】を保持していた物がある。・・・正直僕は価値が分からないから好きに使ってくれても構わないよ。」
ルーシャが鑑定を使用し、価値のある物だけを宝物庫に保管していた
その中に素材関係や武器関係、【宝珠】等もあったので何かの足しにはなるだろう
「・・・畏まりました、それでは素材を確認しながら武器の件、3人で行う件を話し合いたいと思います。」
ダロウが僕に答えると残りの2人はその言葉に頷く
彼らにもプライドがあるだろうし、ここら辺が落とし所だと判断し僕も彼らの言葉に頷いた
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