アカノの褒賞と情報
「貴方は副ギルドマスターというお話でしたが…?」
執務室に戻り、再度ソファーに腰を掛けながら問い詰める
「あぁ、あれはなぁ…嘘だ!!!」
そう言いながらいい笑顔で豪快に笑うギルドマスターのザンガス
「はぁ、私は何故あんな模擬戦をしたのだろう。」
「そりゃ勿論、俺と話をする為だろう?あの模擬戦が無けりゃ当然3ヶ月待って貰ってたぜ?!」
「…それで割り切るしかないですね。」
「おう、素直で結構!!!んで紹介状を持って来てるんだったな?フィングルスといやぁ…ルナエラか?」
少しずつ声声量が小さくなっている
「そうですけど…こちらです。」
「マジでか…あいつ苦手なんだよなぁ。紹介状見たくねぇな…」
バルザスはそう言いながら紹介状を開く
「……。!!?!!!」
どうしたのだろう?読みながらこちらの顔を見ては驚き、驚いては読んでいる
「!!!マジか?!お前がフィングルスの【剣聖】か?!」
「そうです。」
そう言うと紹介状を机に置きながらブツブツとないか呟いている
「…あーー、何処から言うべきかなぁ…まずは【剣聖】アカノ=エンドロール、この度はうちのギルドメンバーを指導して頂き有難う御座います。」
そう言いながら頭を下げてくる
「…はい?」
何が何だか分からない
「どういう事ですか?指導?」
「まぁお前、いやアンタは何も聞いてねぇみたいだな。【剣聖】アカノエンドロール、アンタは【フィングルス王国】の【名誉騎士】になっている。」
「名誉騎士?!」
そんな事は初めて知った
【名誉騎士】とは他国に赴く際に国の代表として派遣されてる者の事だ
国からの派遣だけあり当人が危害をくらった場合、それは国同士の諍いの元となる
また国から派遣されている為に他国の催しに参加しなければならず私からすると何も良い事が無い肩書だ
「まぁ名誉騎士といっても、随分簡素化されているみたいだな。縛りは2つだ、1つ他国から士官の勧誘があろうとも【フィングルス王国】の名誉騎士である事を伝える事。2つ【サンドール商業国】からさらに他国に行く場合はギルドを通して報告する事だな。要はアンタを他国に取られたくないんだってよ。」
「……」
私は正直呆れてしまった
滞在し活動した期間はあり愛着はあるものの、産まれた国でも無いし一生をそこで暮らすと決めた訳でもないのに…
「まぁフォローする訳ではないがルナエラも頑張ったみたいだぜ?他国式典にでる義務もないし縛りも生存確認と行先を告げときゃ自由だ。ギルマスとは言えあいつは公爵家のお嬢だから板挟みだったんだろうぜ?」
そう言われるとそうだろう
考えてみると【名誉男爵】をごり押しで渡そうしてくる国を相手にしたと考えればかなり頑張ってくれたと思わずをえない
「そうだな…」
「まぁ、そんな訳で【名誉騎士】のアンタに喧嘩を売る様な形で模擬戦を仕掛けたとあっちゃ、こっちの面目がたたねぇ…と言う訳で指導して頂き有難う御座いますって事だ。」
そう言いながら頭を掻く
(確かにそうなればギルドを通して最悪、国同士で揉めるだろうな)
そう思うと思わず笑みを浮かべる
「あぁ、確かに指導を行わせて貰った。確か報酬は滞在期間迄の一等地のホテル宿泊費と私の求める情報への積極開示と協力捜査という事で問題無かったな?」
私がそう告げるとキョトンとした表情をした後に豪快に笑いだす
「ガハハハハハ!!!そうだ間違いねぇ!!アンタの滞在費と情報に対する協力だ!!!ホテルに関しては今すぐ手配させる!!」
そう言った直ぐ後に職員を呼び出し手配をさせていた
「んで、紹介状の件だが…アンタ、弟を探しているんだな?」
「そうだ、黒髪黒目の男だ。見た目は18歳前後に見え実年齢は19歳になる。恐らく大けがを負っていると思うのだが…」
「大体いつ頃にこの国に来たか分かるか?」
「凡そとしか言えないが、10日から5日前には到着していると思う。」
「ふぅむ…黒髪黒目だと目立つんだが、少なくとも俺はそんな話を聞いちゃいねぇな。」
「そうか…」
そう言いながら肩を落としてしまう
「だがまぁ俺が知らないだけで街の人間やギルド所属メンバーは見ているかもしれん。それに関しては依頼という形でギルドで手配しよう。」
「すまん…恩に着る。」
そう言って頭を下げる
「まぁ、なんだ。ルナエラの手紙にも書いてあったが酷いもんだったな…」
「そうだな…正直今も生きていると思いこまなければ発狂しそうな位だ…」
思い出すと涙が零れそうになる
カラ元気でも元気で生きていると信じたい…
そう思うと涙がポタっと落ちてしまった
まぁ所謂、カラ元気というやつですね
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