クロノの稽古の迎合
「【勇者】と戦う・・・?それは停戦を拒否するという事かな?」
若干威嚇する様に殺気を飛ばしてルナエラに問いかける
すると彼女は高速で首を横に振りながら否定する言葉を投げかける
「ち、ちちちちちちち違うぞっ!!停戦を拒否する気が無いからいいいいい今なのじゃ!!!」
「・・・成程。でも何故戦う理由があるの?」
ルナエラの言いたい事は理解できる
停戦を締結した後に戦いを申し込めば停戦許否とも受け取られかねない
だからこそのこのタイミングなんだろう
・・・と言うか、僕が来ていなかったらどうしてたんだろうか?
「実は先日に【狂笑道化団】襲撃を受け、迎え撃った【勇者】が私たちです。・・・そして貴方様の傘下である【魔王】達と戦ったのも・・・私たちです。」
「そうそう、クロノんの部下の人達強いねぇ~。」
ロザンワが恐縮した様な形でそう僕に告げてくる事に対し、カラミトルは軽口で口を挟む
でも・・・以前見た彼女よりも何処となく表情に余裕がない様に感じる
「成程ね・・・姉さんと共に戦っていたのも貴女方ですか。という事はロザンワさんも姉さんとは顔見知りなのですね。」
「ですね。でもだからこそ・・・あの時に襲撃してきた敵が彼女であるという確証が私には持てませんが・・・。」
2人からすれば僕と姉さんが戦っている場に居なかったのだから、そう思うのも変な話ではない
けれども・・・
「お話は分かりましたが、それと僕と戦うという事がどう結びつくのでしょう?」
「あ、いえっ!貴方と戦いたいという訳では無く、魔族の方に稽古を付けて頂きたいのです。」
「あぁ成程、襲撃に合い叩きのめされたからより強くなる為に・・・という事ですか。」
そう言われてやっと合点がいった
彼女たちは僕と戦いたいという訳では無く、修行相手を探している訳だ
「・・・はい。お恥ずかしい話ですが、私たちはアカノさんと共に龍族領に向かいかなり強くなりました。そんな私たちの相手になれる人材が人族領には【勇者】であっても殆どいないのです・・・。」
今の言動は情報漏洩に該当してしまうのではないだろうか?
そう思いルナエラに視線を向けるが頷いてくる
「首魁殿とは情報を共有する話になっているからのぉ・・・まぁ問題無い。」
姉さんの情報はそう告げたが、全ての情報を教えろと言った覚えはない
そんな僕の表情を読んだのだろう、ルナエラは更に言葉を続ける
「それに戦争となれば遅かれ早かれバレる事じゃから隠す必要もあるまい。」
「その通りです。・・・ですから【魔王】やそれに準ずる方に稽古をお願いしたかったのです。」
「強くなって・・・どうするのですか?」
僕個人としては人族の脅威は少しでも減らしておきたい
というよりもこちらにメリットは殆ど無いとも言える
そんな僕の質問にカラミトルが口を開く
「私たちはね、アカノんを止めたいの。これ以上・・・アカノんが苦しむ姿を・・・見たくないの。」
「苦しむ・・・?姉さんは苦しんでいたの?」
そう尋ねると彼女は首を横に振る
「仮面付けてたから分かんない・・・。でもっ!でもアカノんが喜んで人族や魔族を殺そうとするなんて考えられないもん!!今は操られたりおかしくなったりしているかもしれないけど・・・今までのアカノんに戻った時、絶対に哀しむし苦しむよ!!」
「・・・・・・。」
その言葉を聞いた僕は・・・単純に嬉しかった
姉さんを気にしてくれる、姉さんの気持ちに寄り添ってくれる、姉さんの友人とも言える人達が目の前に居る
そんな事実が、僕は本当に嬉しかった
・・・例え、それが叶わないかもしれない希望だったとしても
「・・・分かったよ。じゃあ僕1人で君達2人を相手しよう。」
「我が盟主?!!」
止めようとするサラエラを手で制し、僕は彼女達に再度頷く
これは・・・姉さんの友達だからこそ叶えてあげたいという僕自身の我儘である事も自覚した上での判断だ
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