クロノと変異の決意
「サラエラ、君の言った通りだ。・・・ごめんね。」
「うむ、我も少々軽はずみであったな。申し訳ない。」
そう言って2人揃って彼女に詫びの言葉を入れ、互いに向き合う
彼女は彼女で公式な場で見せるであろう面持ちでこちらを見てくる
「では改めて・・・魔族領【魔神連合】の首魁殿、遠路はるばるよくぞ参ってくれた。」
「こちらこそ。人族領のギルドマスター殿が直接赴いてくれるとは思わなかったよ。でだ、端的に確認するが停戦の件はどの様な回答となった?」
「それは勿論締結させてもらう。我等にとっては戦火の火種が減るにこした事はない。・・・ただ少し不味い事になった。」
「ほう?」
停戦に異を唱える輩でも現れたのだろうか?そんな事を考えていると表情に出ていたみたいでルナエラは首を横に振る
「首魁殿が想像している様な事ではない。・・・先日、小国ではあるが一国の首都が滅亡した。」
「?!!」
その言葉を聞き、もしかして・・・と言う気持ちが膨れ上がる
「その首都からの生き残りは誰1人しておらぬが故、犯人は見つかっておらぬ。・・・魔族では無いかという輩もおったがな。」
「少なくとも僕たちではないな。」
「分かって居る。というよりも立地が魔族領から遠く離れた小国じゃ。その国だけを魔族が狙い撃つ理由はほぼ無いじゃろう。・・・そこへ更に【エンライン騎士王国】の【勇者】が襲撃される事件が起こった。幸いにも目標とされた【勇者】以外にも2人の【勇者】が滞在しており、重傷は負った者の一命をとりとめ犯人を追い払う事はできたのじゃが・・・」
そう言って口をもごもごさせる
だが此処まで説明されれば僕でも理解できる
【勇者】3名を相手にし、倒される事も無い犯人なんて・・・ホンの一握りしかいない
「・・・それが姉さんだと?」
「・・・うむ。【勇者】の1人が使役している聖獣が臭いでアカノ=エンドロールだと告げたらしい。」
「・・・・・・。」
やっぱり姉さんは人族魔族の関係無く全てを根絶やしにするつもりなのだろうか・・・
どう考えても正気の沙汰だとは思えない
「どうやら相手は【狂笑道化団】と名乗ったらしいが・・・心当たりはあるかの?」
「・・・確定だね、その犯人は姉さんだろう。前に伝えたと思うけれど、姉さんと姉さんを連れ去った奴等はそう名乗っているらしい。」
「・・・真実じゃったか。」
やはり姉さんは全てを敵にする事を選んだのか・・・
例えそれが正気ではないという理由があっても、それでは誰も納得する事は無いだろう
そうなると最早姉さんを殺すのか・・・僕の下で完全に隔離させるしか手段がない
「となると【剣神】は人族をも滅ぼそうと考えている事になる。・・・首魁殿は姉が相手でもこれまで通り戦う事は出来るか?」
「・・・出来るよ。それが魔族の皆を守る為に必要ならばね。」
未遂に終わったとは言え、僕は姉さんを屠ろうとした
それは・・・事実だ
もしかすると姉さんは・・・あの瞬間に完全に正気じゃなくんあのかもな
そんな事を思案しているとルナエラは2人の女性を僕の前に誘導させて来る
「魔族領の【魔神】様・・・お初にお目にかかります。【勇者】の称号を冠しております、ロザンワ=ライトリスと申します。」
「クロノん、大分振りだね。カラミトルの事覚えてる?」
「ロザンワさん初めまして。カラミトルさん・・・お久しぶりです。1度姉さんと共に食事させて頂きましたね。」
ロザンワという【勇者】は初対面だが、カラミトルの方は覚えがある
姉さんが国の指名依頼に出向いた際に仲良くなった【勇者】という事で、一度食事を共にした事がある
彼女は当時、無職だった僕に対しても侮蔑の表情を向けたり同情の視線を向けずにいてくれた数少ない人の内の1人だ
だが・・・【勇者】2人を紹介してルナエラは何をしたいのだろう・・・等と考えているとルナエラは言いにくそうに口を開く
「で、だ・・・申し訳ないのだが停戦を締結する前にこの2人と戦ってほしいのだ・・・。」と
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