クロノの懸念と観念
「ブロウドさんが鍛えるって・・・。」
確かに彼に鍛えて貰えば皆は強くなる
それに関しては断言できる
でも・・・あの地獄の様な修行を皆に課すのだろうかと考えると億劫な気持ちにもなる
「あぁクロノ君、心配しなくても良いよ。私自身の力も落ちているからあの時の様な無茶はさせないさ。」
僕の心情を読み取ってフォローしてくれる
でもその言葉を聞いて皆はザワッっとし、表情が強張る
まぁ・・・どんな修行を課せられるか分からなければそうなるだろう
けれどブロウドさんにとってはそれすらも想定内だったみたいだ
皆の方へ視線を向け、口を開く
「確かにクロノ君に課したほどの修行を君たちに強要する気はない。けれど容易な修行を課する気も無いよ。だからこそ実力者のみと制限しているのだからね。ただ・・・間違いなく今よりは強くなる。君たちは君たちの旗印に守られるだけの弱者で居続けたいのかな?君たちの忠誠心は守ってもらうという条件下でしか発動しない薄っぺらな忠誠心なのかね?」
「・・・俺はやるぜ。」
皆が押し黙ると予想していたが、ブロウドさんが言い終わると同時にダンキが呼応する
「俺は【魔王】だ。我が主に預った一国を管理する者だ。そんな俺が弱いと侮られる等は・・・我慢出来ん。」
「では私も志願しましょう。」
そう言ってマリトナが立ち上がる
「先の戦いでの醜態を注ぐ為にも私自身もも強くならなければなりません。それが我が【魔王】様、我が【魔神】様に対する忠義の証でしょう。・・・そこの筋肉だるまに調子に乗られるのも癪ですしね。」
「あ゛ぁ?!!」
そう言って2人は互いを貶し合う
まぁいつもの事だと思い流していると・・・おずおずと手を上げる意外な人物が目に付いた
「あの・・・私も宜しいでしょうか?」
「・・・ルーシャ?」
彼女は【豪商】であり肩書も宰相だ
獣人特有の身体能力は目を見張るものはあるが・・・決して強い訳では無い
飽くまで『女性という目線で見ると強い』、その程度とも言える
そんな事は彼女自身が1番理解しているだろうから意外だった
「【真祖】様・・・私は称号【豪商】であり戦闘職では有りません。そんな私でも・・・強くなれますか?」
彼女がそう尋ねるとブロウドさんは徐に頷く
だがその表情はいつもの飄々とした感じでは無く・・・真剣な表情を浮かべてルーシャに返答する
「君の質問だがね・・・今よりは間違いなく強くなれるという事は断言しよう。だがね・・・君は【豪商】であり戦闘職ではない。それは詰まり戦闘職の称号を持つ者よりも修行を密に行い続けないといけないという事だ。言うなれば君がクロノ君が味わった修業をしても、君が出逢った頃のクロノ君程の強さには決してなれない。効率で言うならば愚の骨頂とも言える事だが・・・どうするね?」
「・・・構いません。」
ブロウドさんの質問に対して迷いなくそう答える
その瞳には決意の色が見て取れる程に強く光り輝いている気すらしてしまう
その瞳を見てか、ブロウドさんも納得した様な素振りで頷き「結構」と答え言葉を続ける
「では、私の修行を受ける者はこの3人で良いかな?」
そう言って辺りを見渡す
そう言えば実力者という意味ではファーニャやバルデインは手を上げなかったな・・・
そう思い彼らへ視線を投げると、2人とも僕の視線に気づいた様だ
「私は騎士団長です。主力戦力が修行するならばその間、国を守る存在が必要でしょう。」
「私の【真祖】では有りませんからねぇ・・・。私は私の【真祖】に声を掛けてみようと思います。」
バルデインの理由は兎も角、ファーニャの言う【真祖】に声掛けって簡単に出来るものだろうか・・・
そんな事を思いながら僕等は力を蓄えるべく修行に勤しむことに決定した
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