クロノの誤解と瓦解
ブロウドさんとの戦いの後、僕は彼を連れてアンギス、ソウトウキ、インフォニアを通ってクロノス領へ戻って行った
正直、僕一人だけ転移して戻っても良いかな?とも思ったけれど、目の届かない場所に彼を放置する事に一抹の不安を覚えて約12日の時間を掛け、比較的ゆっくりと帰国していった
急げば7日以内に帰国する事は可能だが、ブロウドさんが何かにつけて「のんびりと行かないと疲れるよ?」と言いながらゆっくり進んで行くので付き合わない訳にはいかなかった・・・
道中に立ち寄った国に滞在していた【魔王】の皆とブロウドさんとの顔合わせもついでに行う
ダンキやバルデインは直径の【真祖】という事も有り、非常に恐縮していた
ファーニャは何故かニコニコとして彼に対して馴れ馴れしかった
お付きのエルフであるマニヤとアリヤが恐縮しながらもファーニャに盛大に突っ込んでいたけれど・・・
まぁエルフである彼女達からすれば直径【真祖】に当たるので当然と言えば当然だろう
立ち寄った各国の【魔王】には会議をしたいから可能であればクロノスへ来て欲しい旨を伝えながら戻り、ルーシャ達にも顔合わせを済ませた4日後、ブロウドさん、ルーシャ、バルデイン、ダンキ、ファーニャ、マリトナ、サラエラは始め、重臣が揃った
ロキフェルは出席していなかったが・・・今回の会議は可能であれば出席して欲しいと伝えていたので問題は無い
「皆、待たせてごめんね。今から会議に入るんだけど・・・道中に立ち寄った所には伝えたと思うけど、こちらの方は・・・【真祖】であるブロウドさんだ。今回、ブロウドさんには僕の客分という形で迎え入れるからその旨宜しくね。まぁ無いと思うけれど・・・不敬はない様にね。」
先ず会議の始まりにブロウドさんを紹介する
此処に居る殆どの者からすれば彼は神にも等しい
だから僕は言葉とは裏腹に不敬云々は余り心配していない
心配なのは・・・
「やぁ、私の弟子であるクロノ君が世話になっているね。今紹介を受けたブロウド=グランニューだ。弟子とは言っても先日、彼にはコテンパンにやられているけどね。客分という立場らしいが・・・私個人としては君たちと同じく、彼の部下という認識でいる。だからそこに線引きする必要は無く、気軽に話しかけてくれると嬉しいよ。」
そうにこやかに自己紹介をしている【真祖】当の本人だ
この人はマイペースというか、気分屋というか・・・今一つ考えが読めない
勿論、【真祖】の考えが手に取る様に理解できる様になりたいなんて烏滸がましい事は考えてはいないが・・・
「し、【真祖】様っ!ク、クロノ様にコ、コテンパンにやられたと言うのは本当ですか?!!」
ルーシャがわざわざ挙手してブロウドさんに問いかける
その目はどことなくキラキラしている様にも見える
「い「本当だよ~。コテンパンなんていう可愛いものじゃなかったかな?目茶目茶に、反抗する気が起きない位、徹底的にやられたねぇ。」
必死に否定をしようとする僕の言葉を遮りながら、ブロウドさんはルーシャの質問ににこやかな表情で答える
「「「「おぉぉぉぉぉ・・・。」」」」
その言葉を信じたのか、ブロウドさんの答えに皆が感嘆した声を上げる
僕は彼の発言を否定しようと再度口を開こうとするが、寸での所でブロウドさんに口を塞がれる
「クロノ君、部下が喜んでいる時に水を差すものじゃないよ?」
そう小声で諫められ、仕方なく皆の感嘆の声を受け入れた・・・
正直、恥ずかしくて挙動不審な動きをしていたのは否めないが・・・
「さて・・・今回の会議だが、私の話と次の方向性を決める為のものだ。先ずは私の話を聞いて欲しい。」
そして一頻り場が温まったと考えたのか、ブロウドさんは手を叩きながら場を引き締めさせた
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