アカノの会議と殺気
「じゃあ、今居るメンバーは揃ったね。」
クロノはそう言ってメンバーを見渡した
会議の出席者はクロノ、私、ゴーガンと見知らぬ魔族が鎮座していた
「姉さんは初めてだよね?この人はも「不要だ。」」
クロノの言葉を魔族は遮る
それだけで私の我慢は限界に達しそうになる
だが、私のそんな殺気を気に掛ける様子も無く、魔族は言葉を続ける
「我は貴様の口車に乗っただけよ。他の団員と群れる気はない。」
「・・・分かったよ。じゃあこの人は【狂滅ノ道化】を冠した魔族だよ。物理攻撃や肉弾戦が得意だからそれだけ伝えておこうかな。」
クロノは魔族の男をそう言いながら受け流すが・・・看過できる許容量を超えている
仲間たちを殺す段階になった時には真っ先に殺そうと胸に刻み込んでクロノの方へ視線を向けた
「さて・・・先日に思わぬ襲撃があったけれども皆無事で何よりだね。」
「ふんっ!!聞けばそこの【剣神】、【狂炎ノ道化】は人族のたかが【剣豪】にあわや敗北という所まで追い詰められていたそうでは無いか?我はその様な者が団員に相応しいとは思わんがな。」
先程の魔族がクロノの言葉に反応して今度は私に噛みついて来る
コイツの言わんとする事も理解できるが・・・それ以上に父さんをたかが呼ばわりした事は、ゴーガンに対する怒りとはまた質の違う怒りがこみあげてくる
「おい狂滅、【剣豪】の旦那は強かったぞ?あんな業物でも無い武具で傷らしい傷一つ無く此処まで辿り着いたんだ。・・・実力は推して測るべしってやつだ。」
「ふんっ!!そんなもの我らであれば造作も無いだろうが?」
「だからだよ。あの旦那は俺らと同等の力を持っていたってこった。」
そう話を切り返すゴーガンを見て不意に思う
確かにこの場所は危険な魔物が生息している地域だ
そんな地域に鍛冶師である彼がどうやって此処まで来ることが出来たのだろう?
そんな私の視線を受け、ゴーガンはコチラ視線を向ける
「なんだ?嬢ちゃんは俺が此処まで来れたのが不思議か?」
その質問に無言で頷くとニヤアとした表情を浮かべる
「俺ぁこう見えてかなり強ぇんだぜ!・・・って言いたい所だけどよぉ、嬢ちゃんの弟に抜け道を聞いてるからな。そこを潜りゃ何の危険も無いって訳だ!!」
そう言いながらガハハハと笑い出す
各々が各々で話し出す為に会議が進まず、クロノは苦笑しながら再度口を開く
「皆好き放題だなぁ・・・。まぁ次のプランを伝えるからそれだけは聞いてね?これから僕等【狂笑道化団】はある場所に一同に会すよ。陰で動こうと考えていたんだけど・・・色々な事が破綻したからね。それに・・・そっちの方が面白いだろう?|」
「・・・一堂に会し、何をする?」
「ある国を殲滅する。そして・・・全て人族や魔族、龍族関係無く全てに宣戦布告する。」
クロノがそう告げると魔族はニチャァと嗤い、ゴーガンはやれやれという様な素振りを行っているが・・・その実嬉しそうな表情が隠しきれていない
「その後は2人1組になり、指定する国で暴れて貰う事になるから宜しくね。」
「うむ。」「応。」
2人の返事に満足そうに頷くと、クロノは私の方を見つめる
「姉さん・・・やっとだよ。やっと僕等の悲願に大きく近づいたんだ。姉さんも立て続けに予想だに出来ない事が続いたけど・・・ストレス発散してくれたら嬉しいな。」
そう言って私に笑みを浮かべる彼の顔が・・・今までに見た事も無い・・・何とも言えない表情をしていた
私はそんなクロノに対して無言で頷き肯定する
父さんを失ってまでクロノを選んだんだ・・・もうこの道から逸れる事は出来ない
そう自分の胸に刻んだのは・・・蹶起なのか逃避なのかは、もう・・・分からなかった
けれども此処から世界はまた動く
それだけは私の頭でも理解できた
これにてⅩⅢ章のメインストーリーは終了です。
此処までお付き合いいただきまして誠に有難う御座います。
【間章】を2話挟みましてⅩⅣ章へ移行します。
引き続きご愛読の程を何卒宜しくお願い致します。
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