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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅢ章【フクシュウノゴウカ】
338/640

アカノの聴取と調所


「なぁ嬢ちゃん・・・肉親を、家族を殺されるのは・・・辛いだろう?」


そう言いながらゴーガンは無断で室内に入り、目の前の椅子に腰掛ける


「えぇ・・・今すぐ首を捻り千切りたい位にはね。」


「かかか・・・。」


そう渇いた笑いを発する目の前の男に殺気が強まる

だがその目は私では無く、いる筈の無い誰かを見る様に天井を見上げていた


「だがな嬢ちゃん、それが理不尽な死なのかどうなのかで・・・また心持ちも変わるわな。」


「・・・何が言いたい。」


「お前の親父さんは・・・言っちゃあ何だが理不尽な死では無かった。敵地に乗り込み敵に斬られたんだ・・・当然と言えば当然だわな?だがな・・・俺のガキは・・・そうじゃ無かった。」


「・・・・・・。」


一瞬カッとなりかけたが、ゴーガンが何を言いたいのか分からず言葉を待つ


「俺ぁ自分のガキに俺の最高傑作とも言える剣を渡して見送った・・・。まぁ兵士なんだ、戦地に出向く事は仕方ねぇ。だがな・・・アイツは・・・魔族に殺されたんじゃねぇ!!!アイツは・・・味方である筈の兵士上官に殺されたんだっっ!!!」


「?!!」


「ガキが死んでから・・・俺は国が言う『魔族に剣を折られ、一太刀も浴びせずに死んでしまった』という言葉をどうしても信じられなかった。あの剣は・・・最高傑作だ!!2重エンチャントで脆くはなっているかも知れねぇが傷もつけられない程に柔くわねぇ筈だ!!無残だからという理由で対面もさせられずに死んだという国に告げられた言葉を俺はどうも信じられなかった。」


そう言いながら自分の懐を探り、煙草に火を点ける

本来なら文句の1つでも言いたい所だが・・・何故か言えなかった


「酒を浴びる様に飲んだ深夜・・・俺はガキが眠ると言われていた兵士墓地へ赴き、墓を掘り返した。ガキが死んだという事を・・・否定したかったんだな。だが、必死に掘り返し棺に眠っていた死体は間違い無く俺のガキだった。・・・背中に斬り傷を付けられ・・・俺が渡した剣とは違う、質の悪い安物の剣の柄を握りしめた俺のガキだった!!!!!」


「・・・・・・。」


「・・・俺は調べた。それこそなりふり構わず、な。すると出てきた真実はな・・・戦闘前、上官に剣を奪われ代わりに安物の剣を押し付けられたという事と・・・仲間を助けようと身体を張って庇った仲間に・・・肉壁代わりに・・・斬られた・・・という事実だった・・・。」


「・・・・・・。」


ゴーガンの言葉に・・・私は何も言えないでいた

息子の無事を願った剣は味方に奪われ、仲間を思って庇った仲間に斬られる

・・・それを何と言えば良いのか


「魔族に殺されたのならば・・・許す事は出来ねぇが納得は出来る。ガキが向かったのは戦地だからな。だが・・・アイツ等がした事は理不尽以外の何物でもねぇ!!!・・・それにな嬢ちゃん、あいつ等が俺から奪ったのはそれだけじゃねぇんだぜ?」


そう言いながら煙草に口を付け煙を吐く

ただ煙草を吸う動作ですら殺気が濃密に漂っていた

その様子を見て・・・男は・・・ゴーガンは復讐に手を染めているんだと改めて気付かされる


「あいつ等は俺がそれこそ人生を賭けて確立させた2重エンチャントを・・・『魔族にも通用しない脆いガラクタ』というレッテルを貼りやがった。大方どこかの商会やら貴族様やらが動いていたんだろうがな・・・。それからだ、国が無けりゃ裏切りは無かった・・・魔族がいなけりゃ争いがなかった・・・人族なんてものがいなけりゃガキが死ぬ事が無かった!!!・・・そう思い出したのはな。」


「・・・だから此処に?」


「・・・あぁ、俺ぁ世界を面白くしようなんざ全く思っちゃいねぇ。世界を怨んで怨んで怨んで・・・報いを味わわせて誰かに殺されりゃ良いと思っている。」


そう言ってから「だがな」と今までよりも明るい口調で言葉を続ける


「残念ながら今は殺される訳にゃいかねぇ!!俺ぁ嬢ちゃんの弟達に誘われて此処に居るんだ。弟の願いを無視して俺を殺す訳にゃいかねぇだろ?」


そう言ったゴーガンの口調とは裏腹に、彼の表情は未だ晴れない様だった・・・

いつも有難う御座います!!

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