アカノの介錯と解釈
「いつまで待っても仕掛けて来んが・・・臆したか?」
「・・・挑発されても、父さん相手に無策では突っ込みません。」
正直、明確に勝てるビジョンが浮かばない
私一人の命で差し違えるのであれば問題は無い
けれど・・・父さんが生き残った場合はクロノの命が危なくなる
それを考えると無闇に突っ込んでいくわけにはいかない
「そうか・・・。だが俺はお前が策を講じる時間を与えてやるつもりは無い。」
「?!!!」
「ふんっ!!!!」
そう言ったと同時に父さんの足の真下に剣が顕現され、こちらへ突っ込んでくる
そのまま流れる様に繰り出された斬撃を受け止める事が出来たのは僥倖だった
だが・・・尚も父さんの連撃は続いて来る
深くないにしても先程に手傷を負った私の方が徐々に押され出してくる
(それでも【剣神】と【剣豪】でステータス差があるのに・・・信じられない化け物だな。)
押されているのは私だと言うのに、思わず尊敬の念が籠ってしまう程に・・・父さんの攻撃は合理的で鋭利で容赦が無かった
「俺の攻撃だけに集中すると・・・危ないぞ?」
そう言われた瞬間背後に攻撃される波紋が浮かぶのが分かる
(不味いっ!!)
そう思うと同時に左側へ側転し、緊急回避を試みた
どうやら背後に【碧律千刃】で顕現された剣により奇襲されていたみたいに空ぶったであろう剣が地面に落ちていた
「ぐうっっ!!!」
そんな観察をしていただろうか・・・
左肩に強烈な痛みが駆け巡り、気付けば父さんがすぐ脇に居た
そして尚も斬撃を繰り出し続けてくる
「そういう所が・・・実践の勘を失い、格下としか戦っていないと言ったのだ。以前にも伝えたが・・・私は7手先を3パターンまでは瞬時に判断できる。お前が俺に勝てるチャンスは其処から外れるしかないぞ?」
そう言いながら頭部への攻撃を繰り出され、間一髪で回避を行うがそこから更に刺突で追撃を行って来る、それをも回避するが剣の軌道を変え、そのまま斬撃を行って来る
右手に持つ剣で受け止めながら刃を滑らせ反撃に転じるも容易に回避されてしまう
父さんの言葉に返事をする余裕も無く、必死に目の前の攻撃を捌くしかなかった
「この程度でもう余裕が無いか・・・瞬撃。」
その瞬間、また一斉に複数の波紋が同じタイミングで波打ちだす
(この攻撃を間一髪で回避しなければ隙が出来る!!)
思った通りの攻撃を先程と同じく間一髪で回避せずに手傷を再度負いながら懐へ潜り込む
業火剣嵐を発動しても先程と同じ結末を辿ってしまうだろう・・・
(だったら・・・。)
あの程度の剣であればダンシングエッジで容易に破壊出来る筈だ
後は父さんの魔力と私の魔力の残量勝負となるが・・・等と考えていた
「馬鹿が・・・。同じ手を使う時は相手も違う手を使うと何故考えん。」
「がぁぁっ!!!」
ダンシングエッジを発動させようとする刹那、腹部に強烈な激痛が走り抜ける
そして父さんを見ると・・・剣を鞘に納めている
「い・・・あい・・・。」
「そうだ。瞬撃を打ち込んだ瞬間、居合抜きの動作へ移行した。スキルは便利ではあるが・・・ホンの数瞬だが硬直時間がある。そこに付け込んだだけよ。」
まともに腹部を斬られ、前のめりに倒れ込んでしまう
剣を握る事が出来るが・・・戦う事が出来ない
戦う意志は当然有るが・・・身体が言う事を聞いてくれない
「・・・終わりだ。」
そう言って剣の切っ先を私の眼前に突き出してくる
「いや・・・だ。ここで私が倒れてしまえば・・・。」
「・・・心配するな。擬きは苦痛のない様に屠ってやる。お前は先に擬きをあの世で待っていろ。・・・クロノには侘び様もないがな。」
そう言って父さんは剣を振りかぶる
・・・まるで苦痛の中で足掻く敗者を楽にさせる為に介錯を行うかの様な・・・丁寧な動作だった
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
「いやだぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ーーーザシュッッーーー
そう叫ぶ私の耳に・・・何かが斬られる音が・・・響いた・・・
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