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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
Ⅱ章【クロハクロヨリクロシ】
33/640

【間章】真祖の思想と思考

【真祖】サイドです。


「それにしても…面白い少年と出会ったものだ。」

私、ブロウド=グランニューは飲み物に口を付けながら心の中で喜んだ


私が変生させてしまった少年、クロノ=エンドロールは修行中だ

私が作った重しを身に巻き付けて50kmの全力走行の訓練をしているのを眺めながらそう思う


「あの日、彼を変生させたのは私からすれば幸運だったな…」


SS級を嘯く人族を追い出した私は私室の椅子にもたれ掛かって気分を落ち着かせていた


久方振りに出会った存在が人族の中でも礼儀も思考も足りていない幼児同然のパーティーだった為に若干怒りを感じたのだ


(あの様な矮小な存在に心を乱されるのは面白くないな…)

そんな事を考えながら少しずつ心を静めていた


暫くすると金属音と人の声複数が近くで聞こえてくる

「大方、先程の人族か…本当に私を苛立たせる…」

恨めし気に独り言を呟きながら椅子からたち、屋敷の外に出る


私が屋敷を出ると先ほどの喧騒は収まっていた

しかし…一人の少年が木にもたれ掛かる様な体勢でこと切れていた


彼は唯一私の望みを察して斬りかかってきた

私の衣服ですら斬る事が出来なかったのだ、自分が未熟なのは承知していただろう

だが、自分を捨て石にしてでも助かる可能性を模索し、私の威圧から短時間で抜けてきた行動力と精神力は驚嘆に値すべき力だった


「…私が、奴等を見逃したからか?」

他のメンバーがいない事を顧みると仲間に裏切られ殺されたのだろう


驚嘆すべき少年がいた

奴等はそんな彼のお陰で生き延びた事実を理解していない

それ所か、そんな少年を殺害していくとは…


「……」

彼の死に顔を眺める

口から血を流し、身体は斬り傷と打撲痕が幾つもある

片目から涙が一筋流れていた


「…無念だったろう。」

魔力を身体全体に溜め込み、亡骸に触れる


同情はある

憐憫もある

躊躇もある


だが、それ以上のナニカが私を突き動かす


「君には、禁呪とした理を与えよう…恨んでくれても構わないし、殺そうとしてくれても構わない。」

そう呟きながら詠唱し、魔力を増幅させる


「【死者葬送転生】」

(君に新たな生を)

そんな私の願いは濃密で膨大な量の魔力を彼の身体へ吸い込まれていく

……トクン

………トクントクン


微かに彼の身体から心音が聴こえ続けた



「納得して魔族になった事も意外だったが、称号が空欄である存在がいるとはねぇ…永く生きてみるもんだよ。」

ニヤニヤしながら物思いに耽る


「何がですか?」


「クロノ君…訓練は終わったのかね?」

突然話しかけられ驚いたが平静を装いながら問いかける


「はい、課せられた本日の訓練は終了しました。」


「では課題追加だね…僕と手合わせしようか?君は勿論全力で、僕はサービスで2割程度の実力で攻撃しよう。」


「いえいえいえ!!ブロウドさんに2割で向かって来られると何もできませんよ!!先日だって1割でって仰っていたのに途中で『2割でいくぞ』って言われましたし…」


「じゃあ今日は3割で行くぞ!って言ってしまいそうだねぇ~。」


「…僕、死にますよ?」


「大丈夫、死ぬ限界手前でやめておくから。」

そう言って嫌がる彼を引きずって強制的に手合わせを行う


永い時間失くしていたモノを少しずつ取り戻す

私の中にある心の器は誰かと共存するという水に満たされ渇きを失くしていった


クロノ君、君は私の友人だ

だからこそ簡単に死んでほしくない










そう思いながら、その日は4割の力まで出した



人は一人で生きていけますが、独りでは生きていけない

そんな気持ちで書いてみました


「独りでも生きていけるわ!!」という方はブックマークを

「意外と独りは厳しいよね…」という方は★をお願い致します!!


次回からはⅢ章へ移行します!!

いつもお付き合いいただき本当に有難う御座います!!


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