アカノの再会と再来
ーーズリィーー
ーーズリィーー
何かを引っ張る様な音は・・・この謁見の間の扉の前で止まる
「・・・クロノ、仲間がやって来たのか?」
扉の前から視線を切らさずにそう尋ねる
もしこれがクロノの仲間であれば流石に斬る事は出来ない
「・・・ううん、僕らの仲間じゃないよ。・・・姉さん、この侵入者を斬って貰えるかな?」
「?!!・・・任せろっ!!!」
「僕が弱いから・・・今は姉さんだけが頼りなんだ。僕は奥の方で姉さんの邪魔をしない様にしてるから・・・ね?」
「あぁ!!お前は私が守ってやる!!」
私が声を上ずりながらそう答えると喜んだ様な表情で奥へ消えていく
その言動に若干の違和感を覚えつつも、私はクロノに頼られた高揚感でその疑問を打ち消した
・・・クロノが奥へ消えたと同時にゴンゴンと扉をノックされる音が鳴り響く
こちらの返答を待たずに扉がギギギッと頼りない音を立てながら来訪者と私を対面させた
「・・・失礼する。」
そう言って1人の男性がこの謁見の間に姿を現した
・・・
・・・・・・
「・・・父さん?」
「アカノ?・・・何故此処に?」
私とクロノの時間を邪魔した侵入者は・・・父さんだった
つい最近逢ったばかりの父さんが昔の・・・冒険者だった時代の装備を纏い、何故かこの場所で対峙している
「父さんこそっ!!なんでこの場所に?!!」
「・・・質問したのはコチラが先だ。・・・何故此処に居る?」
「っ!!」
今まで向けられた事のない殺気を放って私に問いかけてくる
まるで親の仇と相対するかの様な殺気に思わず怯む
「わ、私はクロノと一緒に此処で過ごしているだけよ!!」
「・・・クロノと?・・・お前は何を言っている?」
私が精一杯虚勢を張って叫ぶ様に放った言葉も意に返さないかの様に投げ返される
「・・・そ、そうだ!!父さん!!父さんも私とクロノの仲間になってよ!!家族皆で仲良く過ごそう!!」
今まで見た事のない父さんの様子に当てられて思わずそう叫んでしまう
だが・・・これは良い案では無いだろうか?
父さんだったらクロノも私との関係を誤解する事は無い
それに私たちは家族だ!!家族が同じ目標に向かって過ごしていくなんて素晴らしい事に決まっている!!
「・・・仲間?・・・クロノが此処に?・・・アカノ、お前は何を言っている。私はお前が何を言っているか何一つ理解出来ない。」
「・・・え?」
私が必死に提案した言葉も父さんは理解出来ないという様な素振りで黙殺してくる
父さんがクロノを忘れる訳が無い・・・父さんこそ何を言っているのだろう
「と、父さん!クロノだよ?!クロノが此処で生きているんだよ?!!」
「・・・お前がクロノと戦い、そして訳の分からん集団に付いて行った事はクロノから聞いている。」
「わ、私はクロノと戦ってなんていないわ!!」
父さんこそ何を言っているんだろう・・・
私がクロノと戦う?そんな事あり得る筈がない
クロノから聞いている?
クロノならずっとこの城に居るのにどうやって聞いたというのだろう?
「やれやれそこからか・・・では質問を替えよう。アカノ、クロノは人族か?」
「勿論よ!!」
父さんが何を言いたいのか理解できない
クロノは昔から人族だ・・・父さんだって知らない筈がない
けれど私の答えを聞いた父さんは沈痛そうな表情を浮かべて首を横に振る
「・・・やはりお前は現実が見えていないのだな。どんなに辛い事実でもそこから目を逸らせば何処へも進めない。・・・お前にはもう少し心を鍛えてやるべきだった。」
現実が見えていない?
目を逸らしている?
心を鍛える?
父さんの言いたい事がいよいよ理解出来なくなる
「・・・よく聞け。クロノはもう人族では無く・・・魔族だ。」
「クロノが・・・魔族?・・・う゛っっ!!!」
父さんの言葉を聞きいて頭が痛くなる・・・
一体この人が何を言ったのか・・・激しい頭の痛みに襲われながらも理解しようとするも・・・理解が出来なかった
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