アカノと商人の承認
「・・・ごめん、皆待たせてごめんね。」
3日後に集まった私とサイクス、イファンにそう言ってクロノは謝罪する
この待期期間でサイクスもイファンも落ち着いたのか先日の動揺した表情は見えず、落ち着いた表情を浮かべていた
私はクロノ以外に興味が無い為、この3日間は訓練につぎ込んでいたのだが・・・この2人にも会わなかったな等と漠然と考える
・・・まぁ、正直どうでも良いのだが
「さて・・・この3日間、冷静になって色々と考えて見たんだけど・・・やることは変えようがないよね。」
「ですねぇ~・・・結局の所ぉ世界を滅茶苦茶にするのであれば避けて通れない道ですからねぇ。」
「それに私の神も傘下に加わったのではなく、拉致されている可能性も捨てきれません。であれば戦力差はあるものの絶望的な差ではないかと。」
2人はそう言ってクロノの意見に同意する
それを受けて彼は頷きながら口を開く
「うん。ただイファンが言った事は飽くまでも希望的観測だ・・・。だから僕等は最悪を想定して【魔王同盟】を最大限支援してあげる必要がある。」
「ですねぇ~。ただ現実問題ですがぁ今現在が4ヵ国という事を考えればどれくらい必要ですかねぇ?」
「そりゃ勿論、残り2ヵ国が加入する事が理想的ではあるけれど・・・ポセイランは嫌がるだろうから1ヵ国が現実的かな?」
「もしそれが叶いますと・・・【魔神連合】4ヵ国に対して【魔王同盟】5ヵ国ですか。ふふ、魔族領が完全に2つに割れますね。」
「それでも戦力差は【魔神連合】の方が圧倒的だよ。国土を吸収した国も2つあるから、実質的には6ヵ国対5ヵ国だからね。」
「あれれぇ?1ヵ国はポセイランさんの国ですよねぇ?もう1ヵ国は足りませんよぉ?」
「【ズファイオ魔帝国】は兵士が1人もおらず【真祖】だけの国だったからね。数字的にはカウントしてないよ。」
「成程ですねぇ~。」
そんな3人のやり取りを聞いているが・・・何のことか理解出来ない私は話を聞くしかない
私も何かできる事はないだろうか?と考えてはみるものの何をどうすれば良いのか分からず徒労に終わる
何か蚊帳の外の様な気分になり少し寂しい気持ちになる
「さて・・・ポセイランには引き続き交渉を行って貰うとして、サイクスにはポセイランに再度会って来て欲しいんだ。」
「えぇ・・・何をさせるつもりですかぁ?」
「うん・・・ポセイランに【魔王同盟】に加入して貰う様に説得して欲しい。」
「はあぁぁぁぁぁ?」
サイクスが非常に嫌そうな表情を浮かべる
その気持ちは少しだけ理解できるが、クロノに対して行う表情ではない
私は少しばかり殺気をもらしてしまう
「いやぁクロノ様ぁ、あの商人に負け側に加入させる事は不可能ですよぉ。」
「かもしれないね・・・。でもこのままじゃポセイランとしても立場が良くないんだ。」
「そりゃ少しは理解できますよぉ?魔族領の国がいずれかの立ち位置に属しているのにぃ商人だからという理由で属していなければ対外的に良くないという事でしょうぅ?」
「うん。それに【魔神連合】に属するのは彼にとっては旨みがほぼ無い。」
「???・・・あぁ成程、商売にならないというわけですねぇ?」
「そう。だったら敗色濃厚な国を相手に人族から兵器や食料を物流させて儲ける方が彼にとっては旨味がある。不利な方が高値で買ってくれるだろうしね。」
「言い方の問題ですがぁねぇ・・・。失敗しても怒らないで下さいよぉ?」
「失敗しないと信じているから怒らないよ。」
その言葉を聞いて「えぇぇぇぇーーー!!」と言っている軽薄眼鏡を無視して、クロノは私とイファンの方へ視線を向ける
「アカノとイファンには別の仕事を頼みたい。」
「任せて。」
「アカノさん、クロノさんは何も言っておりませんよ?」
「クロノが頼んでくる事を私が断る事は無いわ。」
そう言い切る私に対して若干かわいそうなモノを見る目で視線を向けて来た
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