アカノの了承と提唱
「分かったわ。」
何も聞かずに了承する
するとクロノは目を見開き驚いた表情を浮かべ、サイクスという男は「ハッハッ。」と渇いた笑いを発する
この男・・・やっぱり斬るか等と考えているとクロノは口を開く
「いや、あの・・・姉さん・・・良いの?」
「勿論。お前のしたい事であり、聡明なお前が考えた末に出した結論ならば・・・私は拒否しないわ。」
「そっか・・・有難う。その気持ちは嬉しいけれど・・・念のために説明しておくね。先ず僕らの目的だけど・・・この世界を滅茶苦茶にしたいと考えている。」
「目茶苦茶・・・ね。」
「うん・・・。姉さんの知る通り、僕は人族領では幼少期からずっと虐げられ、殺されかけてきた。運良く【真祖】に助けて貰えたけど・・・今度は【真祖】を狙う魔族に誘拐され、そこでも虐げられてきたんだ。」
「・・・やっぱりね。」
やはり【真祖】が言っていた事は正しかった・・・
そう思うと同時に魔族に対してもより強い憎悪が湧き出てくる
「ある時に隙を見て魔族領から逃亡したんだけど・・・その時にサイクスと出会ってね。」
「えぇ・・・あの時は助かりましたよぉ~。私の命の灯が消えるかどうかの境目でしたからぁ。」
その時に死んで置けば良かったのに・・・と思うものの口にはしない
クロノが命の恩人だと言っていたからには逃亡の際に助けて貰っていたんだろう・・・
まぁ、コイツも殺す事は確定しているのだが・・・
「それでサイクスに助けて貰いながら色々とあってね・・・。色んな仲間と出会ったんだ。」
「ふぅん・・・。この男以外にも仲間がいるの?」
「うん、僕を含めて7人・・・姉さんを入れて8人だね。」
・・・成程
つまりその時に出来た仲間と一緒に今まで生きて来たのか
そう思うと安堵と同時に嫉妬の感情も芽生えるな・・・
「その時に仲間になった全員に共通している事は・・・こんな世界は大嫌いだという感情だったんだ。」
クロノがそう思う気持ちは分かる・・・
どうしたってクロノが良い世界だと思うにはこの世界は狭量が過ぎる
だが・・・この軽薄そうな男もそうなのか?どちらかと言えば満喫してそうな軽薄さだが・・・
「アカノ様ぁ、今失礼な事を考えませんでしたかぁ?この髪とこの目であれば・・・そう思ってしまう程度の地獄は私も味わっているのですよぉ?」
「・・・そうなの?」
まぁ黒髪黒目であればそうなのかもしれない
そう無理やりに納得してクロノの次の言葉を待つ
「で、僕等は考えたんだ・・・。こんな大嫌いな世界で僕等はどうすれば良いのかってね。ひっそりと差別されない様に生きるか?どうやって?そもそも何処で?そんな事を考えたら・・・答えは出なかったよ。」
「・・・・・・。」
「その時にふと思ったんだ・・・。世界が僕たちを嫌う様に、僕たちもまたこんな世界なんて大嫌いだ。だったら・・・こんな大嫌いな世界がどうなっても良いって、ね。」
「・・・・・・。」
「そして僕等は決心したんだ・・・。こんな世界は要らない!!こんな世界は無茶苦茶にしてやろう!!と。・・・姉さん、そんな僕等を本当に手伝ってくれる?」
心配そうな表情を浮かべてコチラの表情を窺う
確かに合理的では無く、クロノらしくない目的ではある・・・
けれど、クロノがそう思ってしまうのも仕方ない位に・・・この世界はクロノに優しくなかった
だったら・・・
「何度も確認を取らなくても良いわ。私くらいはお前に優しくしても良いでしょう?でも・・・少し目的が弱いとは思うわね。」
「・・・目的が弱い?」
「えぇ、世界が目茶苦茶になってもクロノを虐げた奴等は生き残るかもしれない。そんな理不尽が許される訳が無いでしょう?」
「・・・。」
「私からの提案は人族、魔族、龍族・・・この世界に蔓延る有象無象の全てを殺す事を目的とする事を提案するわ。」
私がそう伝えると2人は非常に驚いた表情を浮かべた。
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