クロノの凱旋と開戦
・・・【真祖】が部下になった
正直意味が分からない
厳密には神では無いとは言え、人族と魔族からすれば直接的に生み出してくれたのはブロウドさん
だから僕等からすれば神である事に変わりがないのに・・・客分的な立場ながら僕の部下になった
あれから跪づくブロウドさんを必死に立たせようと思ったが、僕も魔力枯渇が著しくそのまま倒れる様に気絶した
目覚めるとブロウドさんはのんびりとお茶を飲んでいて、いつも通りに「やぁ。」と声を掛けてくる
どうやら僕は約半日気絶していた様だった
その後、ブロウドさんと飲み物を飲みながら彼の状態を聞いた
◇
◇
「じゃあ、ブロウドさんはやっぱり弱体化してしまったのですか?」
僕のそんな質問にも余り興味が無い様で飲み物を飲みながら頷き、言葉を返してくる
「だねぇ~。親御様・・・あぁ神の事だけどね、神と龍族の【真祖】と戦闘をして致命傷を負いながら【不刻響閉】を使用した反動だと思うのだけどね。どうやら【不刻響閉】は使用時のステータスから換算して弱体化してしまう様だよ。」
「・・・そんな他人事みたいに。」
「まぁ嘆いても仕方ないからね・・・。実際の強さで言うと【魔王】か【魔皇帝】位まで落ちてるんじゃないかなぁ~・・・。」
「・・・充分強いですけどね。」
弱体化してその程度って・・・ブロウドさんが致命傷を負っていなければ恐らく瞬殺だっただろう
そういう意味では偶然とは言え、このタイミングで出逢えた事は僥倖以外の何物でもない
「さて、と・・・。クロノ君、いや主君?クロノ様?我が君?どれが良いかな?」
「・・・クロノでお願いします。【真祖】に様付けされるとどうしても恐縮してしまいます。」
「じゃあ申し訳ないけどクロノ君と呼ばせてもらうね。クロノ君、君はこれからどうするつもりだい?私としてもここまで早く課題を達成するとは思っていなかったからね・・・少しくらい休憩しても良いんじゃないかな?」
「・・・有難い提案では有りますが、どうしても姉さんや魔族の皆の事が気にかかりますので。」
「まぁ、君ならそう言うだろうね・・・。それじゃあ一度クロノス領に戻り、今後の方針を皆で話し合おうか。」
「ですね。・・・ただ、皆にブロウドさんを紹介するのが憂鬱だ。」
「ははっ!!そこは【真祖】に勝った代償だと諦めて貰おうかな。」
そう言って他人事の様に朗らかに微笑む
・・・まぁ他人事なんだろうけど
ただ僕にはそれよりもブロウドさんに聞かなければいけない事が沢山ある
「ブロウドさん、姉さんの事なんですが・・・。」
「あぁ・・・それも皆の前で話そうか。君の聞きたい事を説明するとどうしても長ったらしくなるからね。」
そう言われてしまい、渋々ながらも頷くしかなかった・・・
◇
◇
それから僕等は【ズファイオ魔帝国】を後にした
驚くべきことにブロウドさんが空間を解除するとそこには原野しかない状態だった
彼曰く、常に空間を発動させている状態だったらしく、国境を超えると【ズファイオ魔帝国】のある空間に繋がって居た為に本来の土地は完全に未開拓だったそうだ
「この領土もあげるよ。」なんて軽々しく言われてしまったが、開墾の経験なんて僕にはある筈もなく・・・どうしても手に余ってしまいそうだ
・・・因みにズファイオ魔帝国を発ってから、【天聖国アンギス】、【鬼人国ソウトウキ】、【妖精霊国インフォニア】へクロノス領に戻りがてら無事を伝えていくと・・・傍らに【真祖】が待機している為に全員が委縮していたのは言う間でも無いだろう
7日後に会議を行うから可能であればクロノス領へ来て欲しいと伝え、帰路についた
大きな課題は1つ解決したが、残るは人族との戦争、姉さんを連れて行ったサイクスやヴァリア達の組織、残る魔族連合の動向に加え・・・もしかすると神と龍族の【真祖】ともこじれるかもしれない
そう考えると前途多難で頭痛が起きそうになる
これにて本章は終了です。
間章を1話挟み、次章へ行きたいと思います
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