クロノの進化と真価
「・・・何をしたんですか?」
「何をしたか?フフフ・・・」
そう言いながら笑みを浮かべる
その笑みを見ると・・・【真祖】が【真祖】足る一端を見ている気さえする
「・・・何か可笑しな事を言いましたか?」
「あぁ言ったとも。何をしたのかではない・・・私はね、何もしていないんだよ。」
「・・・?」
「クロノ君、君は【妖精霊インフォニア】で【魔王】から昔話を聞いていただろう?」
「?!!」
「君に渡したローヴには周りの音が聞える様に施したからね。ほら、君がローヴを鑑定させた時に???と出ただろう?あれが周りの音が聞える効果なのさ。因みに仮面の???は周りの景色を映す効果がある。まぁそれは良いか・・・その昔話は真実だよ。」
「・・・色々と聞き捨てならない事があるんですが。」
「大丈夫。夜は遮断してたから。」
そんな会話と裏腹にブロウドさんの殺気から蹴落とされない様に必死にしがみ付く
「まぁつまりだ、僕が言いたい事としては【真祖】は3人居て、龍族は大気に魔力を充満させ、妖精霊は土壌に魔力を充満させたという事だ。ならば・・・私は?」
「・・・魔族も人族もその魔力を消費しかさせていないという事でしたよね。」
「そう、僕の眷属は魔力を生産できない。体内に宿る魔力すらも消費させるしかない。」
「・・・何が言いたいんですか?」
「フフ・・・つまりね、龍族も妖精霊族も居ないこの地では魔力が生み出されていないという事さ。」
「?!!」
「勿論、本来であれば生み出される。人族領でも魔力はあっただろう?でもこの地では・・・ね。」
「・・・あの修行場と同じ様な原理ですか?」
「正解っ!!!!」
そう言って一気に詰め寄ってくる
ーーガギィーーンーー
「不意打ち気味だったのに、良く捌けたね。じゃあ少し素早さを上げてみようかな?」
ガギィン
ガィン
ガギン
「くっ!!!」
少しどころでは無い素早い攻撃を必死に受けていく
僕は必死に防御しているのに対し、彼は鼻歌でも歌いそうな表情で攻撃を繰り出してくる
(これで本当に致命傷を受けていたのかな・・・?)
そんな事を考えていると腹部に斬撃が掠めてくる
「ほらほら、別の事を考えているからだよ?君の言う通り、この国は人族領や魔族領とは隔絶させてある。だから生物もいないし魔力も来ないって訳さ。」
「【真祖】っていうのは・・・目茶苦茶ですね。」
僕がそう言うと「何をいまさら」と言いながら微笑む
「で、話しが逸れたけれど・・・私の目的だが・・・この世界をあるべき姿にしたいと思っている。」
「・・・あるべき、姿?」
「そうあるべき姿だ。クロノ君、この世界が出来て何千年以上も経過しているという事は知っているね?」
「・・・・・・。」
ブロウドさんが説明し出すと同時に素早さはそのままにも拘らず、剣圧はより強くなっていく
僕はそれを必死に受け止めるのに精一杯で返事が出来なかった
「私たち【真祖】が君たちを生み出したわけだけど・・・その何千年という時を経過させた結果、今の世界はどうなっていると思う?」
「・・・さ・・・ぁ!!」
「だよね。実は・・・殆ど変わっていないのだよ!龍族は龍族のまま、妖精霊族は妖精霊族のまま!!変わったのは魔族が分散され種族が多様化した事くらいだ!!」
「そ・・・れは・・・駄目・・・なんです・・・か?」
「あぁ駄目だ!!魔法は魔法のまま、威力も変わらない!!生活基軸も変わらない!!進化もしない!!この何千年の対価としてはあまりに貧弱だ!!」
「そ・・・れ・・・は・・・何、故です・・・。」
「良い質問だ。・・・いつか私は君に言ったのを覚えているかな?【真祖】と神は別物だと。」
「・・・つまり。」
「そう・・・つまり神がこの世界を管理しているからだよ。あるべき種族のまま、あるべき生活のままにね。そんなものは安寧ではなく・・・怠惰だ!!」
ーーズシャーー
彼がそう言った瞬間、僕の胴が斬られた
大風呂敷感が半端ない・・・
これ、ちゃんと畳めるんだろうか・・・
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