クロノの猛威と脅威
正面を見ても森
横を見ても森
後ろを見ても森
森森森森
何の前触れも無く、準備もさせて貰えず森に飛ばされた
(いつも唐突なんだよなぁ…)
心で溜息をついてしまう
多分…復讐を選んでも、放浪の旅を選んでもどこかに転送されている気しかしない
そんな気持ちになりながら、おもむろに貰ったローブと仮面を見る
ローブは真っ黒だ
刺繍等も何もされておらずただの黒
でもローブから魔力が感じられるために耐魔や耐物等の耐性が付与されているのは分かった
黒もよく見ると太陽によってさり気なく光沢が照らされている為に良い物であるのは一目見て分かった
仮面は右方に炎の様な彫り物があり、うっすらと模様?文字?みたいなのが羅列されている
これも同じく魔力が付与されているみたいだ
仮面を持ち上げると小さい紙がパラリと落ちる
下記見れを眺めると『ズファイオ魔帝国の首都を目指せ』を記入されている
(…どのタイミングで書いたんだろう)
些細な疑問が出てくるが、【真祖】だから何でもありだなと考え直した
…
……
色々と疑問はあるが考えても結論がでない
先ずは森を抜ける事を目標にして動き出そう
ブロウドさんに貰ったローブを羽織い、仮面を装着する
仮面は視界が狭くなるかと思っていたが、多少は狭くなるものの思った程ではなかった
(先ずは正面側を歩いてみるか。)
誰に言うでも無く呟いて前方に進んでいった
◇
あれからどれ位歩いただろうか…
天高く照らしていた太陽も大分傾き始めた
(今日はここら辺で野宿かな…空腹もそこまでではないし歩いて頂けだから疲労も少ないけど真っ暗の中歩くのはなぁ…)
誰とも話さないのも久しぶりで話し相手が欲しいな等と考えてしまう
適当な場所を決めて火を起こす
今は寒い訳ではないが、ここは魔族領の為にどんな気候になるかもわからない念のために防寒には備えておこう
僕は歩いている道中に見つけた木の実を取り出した
(明日はせめて肉が食べたいなぁ…)
そう思いながら食べ終えた木の実は流石に腹を満たしてはくれなかった
「きゃあああああーーーーーーーーー!!!」
「!!!」
突然に女性の叫び声が聞こえた!!
と同時に僕は無意識的に叫び声のする方へ動いている
(僕ってこんなに正義感強かったっけ?)
そんな疑問を持ちつつも叫び声のする方へ進んでいった
向かった先には土で舗装された道があり、商業用の馬車が何者かに取り囲まれていた
(…取り囲んでいる人数は、約50人くらいか)
そう思った瞬間「があああああ!!」とまた別の叫び声が聞こえる
声がする方をみると男が何者かに斬られた瞬間だった
「へっへっへ…こんな所で魔族の女を見つけるとは運が良いぜ。おい魔族、安心しな!!お前は殺さねぇ、変態貴族が高値で買い取ってくれるからな!まぁ、死ぬほど辛いだろうから覚悟だけはしておけ!!」
そう言った奴の周りが下品な声で笑い声をあげる
よく見ると斬られた男性も、囲まれてガタガタ震えている女性2人も獣人と言われる魔族だった
囲んでいるのは人族となっており山賊だろうか?余り身なりは良い様には見えない
(まぁ、この状況で人族の味方をすることはあり得ないな。)
僕はもう魔族だし、人族が魔族に対して非道な行いをしている
自分が人族だとしても、この状況下では人族の味方はしなかっただろう
「…うぅ、妻と…娘は…」
斬られていた男が人族に哀願しようとする
「うるせぇ!!さっさとおっ死んじまいな!!!」
そう言って剣を振り上げて、力任せに振りぬこうとする
…
だが、剣が振りぬかれることは無い
僕は山賊の右手を片手で持ち、奴らの前に立ち塞がった
「其等に、慈悲は、無い…」
僕の冷たく無機質な声が響き渡った
あれ?
クロノさん口調変わりましたね?
ここで、エピローグの口調部分を回収です。
こ、これは最初から考えていましたよ?!
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