クロノの計画と変革
「うん、そうだよ。」
頷きながら彼女へ視線を向けて答える
「え~っと・・・あぁ!そう言う事ですね!!」
するとファーニャも思案を始めた後に納得した表情を浮かべる
僕はその言葉に頷いて回答する為に口を開く
「皆も数と言うのは理解できると思うけど単純な人族の数だね。これらを万遍無く滅亡させるには非常に手間、時間が掛かるんだ。加えて国土がかなり広い。人族領では国が30以上あるからね・・・それらを万遍無く滅亡させて行くとどうしても年単位での時間が必要だ。」
「確かにそうなると・・・その間にヴァンパイア族やこの???が動いてもおかしくありませんね。」
「うん。だから個人的には一番簡単だけれども一番時間が掛かるであろう人族に関しては最後で良いと考えている。」
「となると・・・ヴァンパイア族とこの???のどちらを定めますか?どちらも実態が判別しにくいですが・・・」
ルーシャの疑問は最もだ
片や現在交渉中で組織化されていない連合国でヴァンパイア族は此処からかなり距離がある上に明確な証拠がある訳では無い、もう一方は何一つ判明していない敵対勢力だ
どちらを相手取るとしても同様に時間が掛かる
僕は首を横に振りどちらでもないという動作を行う
「そこで考えたのだけど・・・先ずは魔帝国を目指そうと思う。自分の事で申し訳ないけど皆のお陰で道は開けたからね。【真祖】の課題をクリア出来れば僕自身の胸のつかえも取れる。」
「・・・成程。それに魔帝国を落とす事が出来れば我々の武力を示し、ヴァンパイア族への牽制にもなりますね。」
「旦那様、流石です!!」
(ただ、今から言う言葉でまた驚かせてしまうんだろうなぁ・・・。)
皆の言葉を聞いて苦笑してしまう
だが言わないで勝手に向かうとそれはそれで問題になってしまう
気持ちを引き締め再度口を開く
「でね・・・魔帝国へ行く前に人族領へ向かおうと思っているんだ。」
「「「・・・は?!!」」」
そう言って全員が驚愕の表情を浮かべる
さっきまで落ち込んでいたダンキやマリトナまでも目を丸くしている
ロキフェルは・・・苦笑いしているな
どうやら彼だけはまだ落ち込んでいるみたいだ
「主様・・・主様の事ですから深い理由がおありだとは思うのですが・・・何故でしょうか?」
「そうです!!旦那様が人族領へ赴く理由が分かりません!!」
「クロノ様、流石にそれは・・・。」
そう言う皆は手で抑えて説明を始める
「勿論理由はあるよ。理由は大きく分けて2つ、情報と牽制だね。」
「情報とは・・・人族の情報ですか?」
「具体的に言うと、さっきの???への情報だね。奴らの規模は分からないけれど知っているのは3人、【剣神】アカノ=エンドロール、黒髪黒目のサイクス、【拳剛】ヴァリアだ。彼女達の目撃情報や無関係そうでも国が荒れた等の情報を提供させる。奴らの目的が『世界を面白くする』という事ならば・・・魔族領だけではなく、人族領でも動いている可能性が高い。一見関係無さそうな情報でも繋いでいけば見える事も有るかもしれないからそれを定期的に提供させるのを求める。」
「・・・成程。」
「そして次に牽制だけど、さっき言った情報を求める代わりに人族領へは一定期間攻め込まないという見返りを提示する。勿論、人族から攻めて来た場合は除くと含ませておいてね。」
「休戦では無く停戦ですか・・・。相手はその条件を飲むでしょうか?」
ルーシャが心配そうに尋ねてくる
「飲むさ。人族は明日死ぬか来年死ぬか選べと尋ねた場合、奇跡を信じて来年を選ぶ生物だからね。」
そう言ってほくそ笑むと全員が固唾を飲んで僕を見つめる
「その停戦期間を以って魔帝国へ赴き、あわよくば敵対勢力を1つでも潰せたらとは考えているよ。」
そう答えて話を煮詰めていった
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