クロノの作為と殺意
ごめんなさい。
今回は少しだけ短いです・・・
「クロ・・・ノ・・・?」
サイクスの後ろ姿を見て姉さんは僕の名前を呼ぶ
それが僕の心をよりかき乱していく
「サイクス・・・。」
「これはこれは【魔神】様ぁ~。どうやらお忙しい様でぇ~。」
僕は射る様な視線で彼を睨みつけるが、それを受け流す様に嘲りながら口を開く
それはまるで最早勝利を確信しているかの様な視線だった
「・・・何故お前が此処に居る?」
「それはぁ勿論、アカノ様とクロノ様をご対面させる為ですよぉ~
・・・?
コイツは何を言っているんだ?
そんな僕の疑問を回答したのは姉さんだった
「クロノ?!!クロノと出逢えるの?!!」
「そうですよぉ~。其処にいる、自称クロノ様とは違う、貴女の理想そのもののクロノ様とお逢いする事ができますよぉ~。」
姉さんは今、僕を僕だと認識出来ないでいる
そこに黒髪黒目の男が現れて僕と逢わせてやると言って食いつかない訳が無い
「姉さん違う!!こいつは敵だ!!」
焦燥感に駆られて必死に否定するが、まるで僕の声自体が届いていないかの様に視線をこちらへ一瞥すら向けない
「姉さん!!姉さん!!」
「本物のクロノと・・・逢えるんだな?」
願い虚しく姉さんはサイクスに確認を取る
「姉さんっ!!」
「間違いなく貴女にとって本物のクロノ様と逢えますよ。」
僕の叫び声とサイクスの回答が同時に発せられるが・・・僕の言葉には聞こえていない
「・・・分かった。だが万一それが虚偽だった場合、お前をその瞬間に殺すぞ?」
「えぇどうぞぉ。それでは・・・参りましょうかぁ。」
そのやり取りを聞いて頭の中で警告音がけたたましく鳴り響く
ここで姉さんたちを逃がす訳にはいかないと、そう警告しているかの様だ
僕は姉さんたちの前に立ち塞がり魔力を再度練り上げる
「サイクス。僕がそれを許すと思うか?」
「まぁ許す許さないなんて関係ないんですがねぇ~。では失礼。」
そう警告を発するが、奴は姉さんの手を取ってもう片方の手でこちらに手を振って来る
「貴様っ!!!」
その動作を見ると同時に一気に距離を詰めて殴りつけたが・・・空振ってしまい・・・そこには誰も居なくなっていた
「?!!!」
急いで辺りを見当たすが・・・僕以外の誰も居ない
「・・・お」
やってしまった・・・
そんな後悔と行き場のない怒りがこみ上げる
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
僕は何かを・・・取り返しのつかない何かをやってしまった
確信に近い予測が頭に駆け巡る
人格が壊れて魔族だけでなく、人族をも皆殺しにしようとする姉さん・・・アカノ=エンドロール
世界を面白くするという訳の分からない理由で干渉してくるサイクス・・・そしてヴァリア・・・
最悪の組み合わせと言っても何らか差支えの無い彼らの邂逅を許してしまった・・・
それは間違いなく・・・何かを仕掛けてくるという事だけは明確に理解できる・・・そして、それだけの実力がある事も・・・
「サイクス・・・ヴァリア・・・」
口から血が滴るくらいに歯嚙みをしてしまう
あの狂楽的な相手に姉さんを奪われた事は魔族にとっては不利益以外の何物でもない
「・・・殺す。嘯いたことも愚弄したことも巻き込んできた事も全てを含めて・・・殺す。」
頭は真っ白になりながらも明確な敵と定めた奴等を想い馳せり僕は決意した
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