クロノの斬撃と惨劇
僕から視線を切る事なく、戸惑った様な声色で疑問を投げかけてくる
姉さんの心情も理解できるが・・・こうなった以上は僕は僕で伝えなければならない
「姉さん・・・。色々と伝えたい事も、謝りたい事も、説明したい事も聞きたい事も有るよ・・・。でも・・・今言うべきは・・・僕は人族じゃない。僕は魔族で・・・【魔神】だ。」
ゆっくりと、諭すように口を開く
だが、その言葉すら理解出来ないかの様に「・・・え?」と疑問を呈する
「人族を・・・滅ぼそうとしているのは?」
少しの時を得て姉さんはそう聞いて来る
全てを説明する上で必要な事柄だと思い「僕だ。」と短く肯定した
「帝国を・・・滅ぼしたのは?」
「僕だ。」
「ローエルの首を「首を刈ったのも僕だ。」」
姉さんの疑問に答えを被せると・・・呆然とした表情を浮かべる
「「・・・・・・。」」
姉さんが理解できる様に何も告げずに待ったが、一向に姉さんの目は虚ろで焦点が合わない
衝撃的な事実であるのは確かだが・・・
「・・・あは」
どう口を開こうかと思案していると、不意に姉さんの口から笑い声が響く
その声は渇いてい居るにも拘らず響く様な無機質な声だった
「姉さん・・・?」
「あは、あはははははははははははははははははははははははは!!!!」
僕が声を掛けた瞬間、止めどなく姉さんの口から笑い声が響き渡る
何がとは理解できなかったが、焦燥感が募りだす
「姉さん、聞いてくれ!!」
そう声を掛けてみるが僕の声が聞こえていないかの様にただただ笑い続けていた・・・
◇
◇
「あはははははははははははははははははははははははは・・・・・・はぁ。」
「ね、姉さん・・・?」
あれから僕に馬乗りになりながら笑い続けていた姉さんは、唐突に笑うのを止めると立ち上がって剣を握りしめた
そしてこちらを蔑む様な視線で睨みつけながら口を開く
「悪いが・・・クロノにお前を押し倒したと吹聴されると・・・困る。私の幸福の為に・・・死んでくれ。」
「・・・姉、さん。」
クロノ?クロノは僕だ・・・
吹聴?幸福?死んでくれ?・・・姉さんの言っている事が何一つ理解が出来ない
そんな僕を置いてけぼりにしながら、またエンチャントを付与し始める
「駄目だ姉さんっ!!これ以上魔力を使うと!!」
姉さんの魔力量は決して高くない
今までの戦いでもかなりの魔力を消耗している筈だ
そう思い必死に止めようとするが、彼女は聞き入れてくれない
「残念だが、私の体調は非常に良い。頭は澄んでおり、身体の気怠さもない。お前を殺す位で魔力枯渇には陥らない・・・さっ。」
そう言うと同時に一気に距離を詰めてくる
「・・・くっ!!【暴喰ノ口】ぃぃぃ!!!!」
咄嗟に【暴喰ノ口】を発動させて、触手で姉さんを牽制するが・・・死角に回り込みながら触手を斬っていき胴の部分を横一線に斬撃を繰り出してくる
「あ゛っっ!!!」
強烈な痛みと同時に斬撃を受けた箇所を確認すると、ローヴが斬り裂かれている
咄嗟の反撃を繰り出そうと打撃を繰り出すも容易に回避される
「・・・【怠惰ナ脚】っ!!!」
だが、回避される動作を行っていれば【怠惰ナ脚】を回避は出来ないと考え発動させる
が、剣を地面に突き刺し発動を抑え込む
(・・・回避は勿論、無効化すらされた事がないのに!!)
どう考えても圧倒的に強くなっている
背中に冷たいものが流れると同時に『飛炎斬』を連続で発動し襲い掛かって来る
(くっ!!)
『飛炎斬』を触手で捕縛すると同時に背後から殺気と同時に痛みが僕に襲い掛かって来る
「『業火剣嵐』っ!!!」
そう聞こえたと同時に、ほぼ同時に異常な数の痛みが僕に襲い掛かって来る
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!」
思わず叫び声をあげてしまうが・・・その斬撃は途絶える事が無かった
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