クロノの感傷と感情
けれど寂しそうな表情から一転して、こちらに鋭い殺気と殺意を向ける
何かを吹っ切ったかの様に・・・もっと純粋な殺し合いを楽しむ様な雰囲気を醸し出していた
「人間族の1人として、断固受け入れる事はできない!終わりだ、魔神!貴様を倒して全てを終わらせる!!」
そしてそう高らかに宣言する姉さんをの相手が自分である事が恐ろしくも・・・確実に喜んでいる自分が心の中にいる
「其の、問いには応えた、人族最強兵器が、いくばかりのものか、其の、剣にて、応えてくれ」
だからだろうか?
ダンキと合流した時に言っていた言葉を思い出し、思わず口からその言葉を紡ぐ
(我が主君・・・あの赤髪の【剣聖】は・・・化け物だ。けど化け物が何かがキッカケで化け物じゃなくなった・・・あれは・・・兵器みたいなもんだ。)
確かに対峙しても彼の言葉が大袈裟だとは少しも思わない
少なくとも人族とは乖離した実力を持って、僕の前に立ち塞がっている
姉さんを見て高揚と警戒の感情が湧き出てくる・・・
それに呼応する様に剣を纏わせた魔力もより押し上げられていた
「人類族最強兵器ではなく、1人の弟の為に・・・アカノ=エンドロール、参る!!」
「其が、何と言おうとも、変わらぬ、此処に其が独りで赴いたのが、人間族の在り方よ」
僕の剣を見て臨戦態勢をより強固にする姉さんを見て、僕も昂って呼応する様に応えた
・・・
・・・・・・
それから3分は経過しただろうか?
互いが互いの隙を窺う膠着状態は、姉さんの踏み込みから始まった
「あああああぁぁぁーーー!!」
剣を中段に構えて激しく苛烈に炎を纏わせながら一気に距離を詰めてくる
「ぬぅぅぅぅぅぅー!!」
僕も片手で剣を構えて姉さんの方へ駆け出していき、刃と刃を斬り結んだ
ーーガギギィィンーーと鈍い音が鳴り響き、互いの魔力が衝突すると、行き場のない魔力の波動がうねりをあげて、全方向に拡散していく
互いの刃が交差し、紅と黒の魔力がお互いを相殺しあっていった
まるで・・・僕等の感情と感情がぶつかっているかの様に感じられる激しい魔力の波動だった・・・
◇
◇
ガギィィン、ガギィィンと金属音が鳴り響いて魔力が爆発する様な感触が振動として伝わる
その感触を確かめながら・・・昔を思い出す
まだ2人とも称号を教会で得る事なく、父さんの立ち合いの元で訓練していたあの頃だ・・・
あの頃は姉さんと打ち込みの訓練をしていても付いていけない事なんてなかった
今では遊戯の域である事は理解できているけれど、あの頃は必死になりながらも楽しかった・・・
(あの頃の姉さんは・・・ここで少し大振りになるんだったな・・・。)
そう思った瞬間、癖なのか大振りになる姉さんの斬撃を態勢を少し崩し一気に押し返した
「しまっ?!!」
そう言ってより体勢を崩して焦燥の表情を浮かべる
僕は逆に距離を取り・・・泣きそうになる自分を抑え込む
(僕は姉さんと戦っているんだ・・・殺し合うんだ・・・。)
理解は出来ていても覚悟が出来ていないのか?
僕は・・・あの時に覚悟できていた筈だ・・・そんな自分の葛藤を飼いならさなければならない・・・
万一後悔するならば・・・事が終わった後で良い・・・
そんな僕の感情を知る由もない姉さんは一気に距離を詰めようと動き出す
「【暴喰ノ口】・・・。」
姉さんに主導権を握られると一気に押し出される可能性がある
僕はそれを封殺する為に【暴喰ノ口】を発動させた
すると【暴喰ノ口】から顕現された触手が一斉に姉さんへ襲い掛かる
【魔神】になった影響なのか、【暴喰王ノ口】を発動させられたからなのか・・・僕は触手を手動で動かす事も出来る様になり、一体の敵に対して触手一本のみの攻撃だけではなく、一斉に攻撃させる事も可能になった
「くっ?!!嬲る趣味があるのか?!!サークルエン・・・いや【明鏡止水】!!」
数十の触手が一斉に襲い掛かってきたことに姉さんは焦った声色で、僕の知らないスキルを発動させてきた・・・
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