クロノの決意と結意
「じゃあ・・・行くよ。」
ルーシャとファーニャにそう言いながらローヴを纏う
ボロボロだったローヴも自己修復機能があるだけあって最早新品同然だ
「クロノ様・・・お気を付けて・・・。」
「旦那様・・・本当にお1人で行かれるのですか?」
その言葉に頷き、彼女達の頭に手を乗せる
「大丈夫だよ・・・。【魔王】の最高峰でもある伝説の【魔神】になれたんだ。人族の1人くらいはどうにでもなるさ。」
安心させるために笑顔でそう告げたが、彼女達には逆効果だった
彼女達は僕が魔族に成った理由や姉さんの事も話してある
1人で待っている人族が姉さんだという事も理解しているんだろう・・・
あれから早馬でやってきた兵士に詳しく聞いた所魔族500は人族3人に蹴散らされ、ロキフェル、ダンキ、マリトナが戦ったらしい
人族2人は辛勝ながら蹴散らしたものの、残りの1人に3人とも蹴散らされ、ロキフェルを人質にし僕と僕の出向をご指名との事らしい・・・
そして兵士が此処に来た理由は僕が此処に居るから・・・ではなく、単純に兵士の派遣の要請に訪れたそうだ
にも拘らず、他国に侵攻していた筈の僕がこの国に居る
僕が此処に居るにも拘らず兵士の派遣を独断では出来ないという事だった
彼女達はその話を聞いて向かおうとする僕を心底心配してくれている
自分達の為に愛する家族を殺して心を壊さないか、とだ・・・
その気持ちは嬉しいし、有難くも思うけれど・・・僕が【魔神】で有り、姉さんが【剣聖】である限り決して逸れる事が出来ない道筋でもある
「旦那様・・・。」
何か言いたそうな彼女たちに再度笑顔を浮かべて「大丈夫。」とだけ告げ、彼女達から離れる
仮面を手に持って、ダンキの元へ転移を発動させる
「じゃあいってくるね。」
「お気を付けて!!」
「どうぞご無事で!!」
そう言って来る彼女達に手を振っていた瞬間・・・ダンキが居るであろう真上に転移された
ーースタッーー
空中で仮面を装着し、ダンキのすぐ後ろへ着地する
その瞬間、周辺にいたダンキとマリトナ、魔族兵士たちが驚いた表情を浮かべた
「我が主君!!!」
「【魔神】様!!!」
まずは僕を見て2人が驚愕の表情を浮かべる
まぁ、それはそうだろう・・・本来ならば増援で以って姉さんに対抗する作戦だった筈が、姉さんの要望通りに僕が来ているのだから、それはそうなるだろうな・・・
そんな事を考えていると全員が僕に対して頭を垂れる
「我が主君・・・命じられた事も果たせなかった儂をどうか処罰ください。」
そう言ったダンキを始め、マリトナや他の兵士たちも処罰を求めている表情をしている
だけど、正直僕は彼らに処罰を与える気は毛頭ない
指示したのは僕だ
相手の戦力を加味して指示したのだが、姉さんたちが襲来して来る事を読めなかった僕のミスだと言わざるを得ない
その結果、砦は瓦解、彼らは満身創痍、ロキフェルに至っては人質となっている
彼らはサボる事なく僕の指示を精一杯行ったのであって、どう考えても処罰されるべきは僕なのだ
「否・・・。其等は足搔き動いた故、断罪は行ず。其等に求めるは・・・躍動せよ。」
「躍動・・・強くなれという事でしょうか?」
「是。」
マリトナが察して代わりに答えてくれる
この仮面は非常に便利なんだけど・・・言語化が【魔王】っぽくなる点だけは頂けない
「我が主君・・・畏まりました!!俺は・・・もっと強くなります!!」
若干涙目のダンキが感動した様にそう叫ぶ
うん、強くなって貰う分には問題無い
これからも人族、残りの魔族領、魔帝国と問題は山積みだ
僕は彼らに背を向け、歩み出す
「ま、【魔神】様?!どちらへ?!」
「・・・人族と、切り結ぶに。」
「で、ですが?!」
彼女は姉さんの事を言っているんだろう・・・
その気持ちは嬉しいけれど・・・僕自身が決めた事だ
「些事故、気に病む、事は無い。」
手で彼女らは制して僕は姉さんの待っているであろう場所へ向かっていった
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