【間章】真祖の体面と対面
「やぁ久しぶりだね、私の生みの親よ。」
「ブロウド・・・貴様、その物言いは不遜だぞ。」
そう言って感動の再会に口を挟むソテルアスを無視し眼前を見上げる
彼?彼女?は相変わらずこちらを優しく見つめるだけだ
私は親の顔をこの表情以外を見た事は無い
言葉も最低限しか発する事も無く、ただ目の前の表情を浮かべて鎮座しているだけだった
私は親に挨拶だけをして、ソテルアスの方へ視線を向ける
「しかし・・・やはりと言うべきか・・・。君と繋がって居たという僕の予想は当たっていたのだね?」
「・・・繋がって居たという言葉は正しくない。我らは親と子の関係なのだ、繋がる繋がらないではないのだ。」
「君は随分と親孝行な子供だな・・・唾棄できる程度にだけどね。」
「貴様っ!!」
そう言って手に持っていた鎗をこちらに向けてくる
彼のその様をみて思わず苦笑してしまう
「今更私も君も鎗で威嚇する程度の存在じゃないだろう?まるで【魔王】が小枝を振り回して威嚇している様にしか見えないよ?」
正直にそう告げると、ますます凶暴な目に変わっていく
昔からそうだが、彼は挑発されると直ぐ頭に血がのぼるなぁ・・・
「まぁ、今日はそんな事を告げに此処に来た訳じゃないんだ。ねぇ・・・親御様?親御様は未だに争いが一切無い世界こそが安寧な理想郷だと思っているのかい?」
「・・・・・・・。」
私の質問に対して何も答えない
「・・・肯定と受け取るよ?」
私がそう言っても穏やかな表情で笑顔を浮かべるだけで何も言わない
だが、親御様に代わってソテルアスが口を開きだす
「その通りだとすれば・・・貴様はどうするのだ?」
君には聞いていないんだけどなぁ・・・と思いつつもこのまま本人からの回答を待っても埒が明かない
ソテルアスの質問に言葉を返す事にした
「そうだね・・・もしそうだとすれば私もそろそろ動き出そうと思う。監視されながら鳥籠で生きるのもいい加減億劫だからね。・・・今日はその宣言をしに来たという訳さ。」
私がそう言っても親御様は何も表情を変えない
脇に控えているソテルアスは憤怒の表情を浮かべているけれど・・・当人の表情が変わらないのは面白くない
「まぁ、そう言う訳だからさ。一応親御様に義理だけ果たそうと思ってね・・・言いたい事はそれだけだよ、邪魔したね。」
「ま、待てっ!!!」
彼らに背を向け、ソテルアスの言葉を無視して今来た道を引き返す
親御様の表情を変える事は出来なかったが、ソテルアスの表情が面白かったので若干ではあるが溜飲は下がったので良しとしよう・・・
そんな事を考えながら歩いて行ると目の前の通路が消えて白い壁が眼前に現れる
振り返って周りを見当たすと、見える景色全てが真っ白な状態となっており親御様とソテルアスだけが視認できた
「ソテルアス・・・君、こんな事が出来たんだね?」
私は半笑いの表情で彼に語り掛ける
まぁ・・・答えは理解しているんだけどね
私の予想通り、ソテルアスは慌てた様子で首を横に振る
『我ガ子・・・愛しい、我ガ子・・・』
天井から親御様の声が響く
その言葉を聞くだけで・・・思わず口角が上がる
(表情を変えれればと思ってはいたが・・・まさか声を聞く事が出来るとはね・・・。)
こういうのを望外な幸運とでも言うのだろうか?
親御様の声を最後に聞いたのはいつだったのかも既に思い出せない
反目した親だとしても・・・声を聞くだけでも安らぐのは何故だろう等と考えていると尚も親御様の声が響き渡る
『愛しい我ガ子・・・私の想いを理解出来ない哀れな子・・・アナタに死による安寧を授けましょう・・・。』
ーーチュドーーーンーー
ーーチュドーーーンーーーーチュドーーーンーー
ーーチュドーーーンーーーーチュドーーーンーーーーチュドーーーンーー
そんな声が響くと同時に・・・天上から極大の白い光線が乱舞しながら落ちてくる
それを回避しながら彼らに近づく・・・と前方からソテルアスがこちらへ突っ込んできた
「悪いなブロウド・・・此処で死んでくれ・・・。」
「悪いねソテルアス、私の願いの礎になってくれ。」
互いの攻撃で視界一杯に光が広がっていった・・・
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