アカノの狂気と凶気
「あはははははははははははははははははははははははは・・・・・・はぁ。」
「ね、姉さん・・・?」
私が馬乗りになって、ナニカを押し倒している格好となっている
駄目だ・・・こんな姿をクロノに見られると・・・誤解されてしまう
私は徐に立ち上がり、【赤炎】を拾い握る
「悪いが・・・クロノにお前を押し倒したと吹聴されると・・・困る。私の幸福の為に・・・死んでくれ。」
「・・・姉、さん。」
さっきから姉さん姉さんとこのナニカは私に馴れ馴れしい
それに嫌悪しながらエンチャントを付与させる
「駄目だ姉さんっ!!これ以上魔力を使うと!!」
戯言なのか命乞いなのか理解に苦しむが・・・残念ながらその手には乗らない
「残念だが、私の体調は非常に良い。頭は澄んでおり、身体の気怠さもない。お前を殺す位で魔力枯渇には陥らないさ。」
そう言うと同時に、相手目掛けて一気に斬りこむ
先程よりも更に威力が上がっている気さえする
「・・・くっ!!【暴喰ノ口】ぃぃぃ!!!!」
・・・ふむ、黒い球体から触手が顕現され、私を捕縛する腹積もりの様だ
だが、なぜかは知らんが殺気の伴っていない攻撃など恐れるに足らない
【明鏡止水】で触手を把握し、順に斬っていく
一気に相手の死角に潜り込み剣を振るう
「あ゛っっ!!!」
ほう・・・死角から絶妙のタイミングで横一線で斬ったにも拘らず、胴が真っ二つになっていない
どうやらかなり良いローヴの様だな
感心している私に対して、斬撃を受けたにも拘らず拳を繰り出してくる
・・・が、かなり素早くはあるが【明鏡止水】の前では何処から攻撃が仕掛けられるか丸わかりの為に回避する事自体は難しくない
「・・・【怠惰ナ脚】っ!!!」
ふむ・・・地面から強烈な波紋が表れている
だが、攻撃してくるというのであれば・・・どんな極限魔法やスキルであってもノーモーションという訳にはいかない
本来は不可視であるのだから脅威だが・・・波紋で見えている私からすれば攻撃に転じる瞬間に
ーーーザクッーーー
「なっ!!!」
唐突に地面に【赤炎】を刺し、攻撃する瞬間に波紋を削る
言ってしまえばカウンターの様なものだが、それを行う事により発動はされない
向かい合うナニカは大層驚いているみたいだが・・・【剣神】からすればこの様な攻撃の隙間に反撃するのは難しい事ではない
「『飛炎斬』!『飛炎斬』!」
斬撃を斜めにして2回発動させる
それにより✖の形で飛んで行き、相手に襲い掛かる
先程の触手が私の攻撃を捕縛し、黒い球体が喰っていくが・・・狙いは相手の一瞬の硬直だ
攻撃に視界を一瞬奪い、相手の足元へ潜り込む
「『業火剣嵐』っ!!!」
【剣神】になって新たに修得した近接最上スキルを発動し、一気に決めていく
業火を剣に纏わりつかせ、無数の剣舞が相手に襲い掛かる
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!」
如何に優れたローヴだとしても、【剣神】の最上級スキルを無効化できる装備等は無い
四方八方から幾重にも重なる斬撃を前にダメージを受けているサインである絶叫が木霊する
「悪いが・・・クロノと私の幸福の為に死んでくれ。」
「ね・・・さ・・・。」
ナニカが朧気に何かを伝えようとするが・・・それを無視し、尚も剣戟を繰り返す
だが・・・突如手ごたえが無くなり、相手の姿が見当たらない
「?!!」
何らかの手段で跳躍をしたのだろう・・・上空に波紋が感じられる
私は前方に少し出て、振り向き様に回転斬りを行うと・・・
「がぁ!!!」
斬られるというよりは、ナニカか吹っ飛んでいく
右後方側に現れたが故に力が伝導しきらなかった
(全く・・・悪運だけは強いな・・・。)
心の中で悪態をつきながら、突発的な攻撃にも対応できる様にゆっくりと相手が吹っ飛んだ方へ歩いて近づいて行った
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