アカノの反攻と反抗
「舐めている・・・のか?私を舐め・・・て・・・。」
そう呟きながら感情が昂る
【赤炎】を携え、一気に距離を詰めるも、触手に邪魔され難なくさらに距離を広げられる
そして・・・こちらに攻撃を仕掛けて来ない・・・
「憐れむな・・・同情するな・・・蔑むな・・・手を、抜くな・・・。」
ブツブツと呟きながら『飛炎斬』を連発させる様は、傍目から見ると不気味以外の何者でも無いだろう・・・
だが姉として、剣士として敵から相手にされていない様相は我慢ならなかった
「ああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!」
我武者羅に『飛炎斬』を撃ち込むも、その全てを黒い球体に喰われる
だがそれすらも無視し、ただひたすらにスキルを連発していく
最早私の魔力量も底を尽きかけているだろう・・・
そんな事をふと頭の片隅に浮かべていると、【魔神】が突如黒い球体を消してこちらに無造作に近づいて来る
ーーードシュッーーー
そして・・・何を考えているのか、私の『飛炎斬』をまともに喰らい暫し後退する
後退したと思えば、また無造作に前進してきた
「き・・・貴様・・・私を愚弄するのかぁ!!!」
そう叫んで再度『飛炎斬』を【魔神】へ目掛けて何度も撃ち込んでいく
ーーードシュッーーー
ーーードシュッーーー
ーーードシュッーーー
斬撃の悉くを避ける素振りすら見せず、まともに喰らい、僅かに後退し、そしてこちらへ近づいて来る
「く、来るなぁーーーーーー!!!!」
畏怖する感情が抑える事が出来ない私は、その感情に従って攻撃を何度も繰り返す
そう・・・何度も何度も繰り返した
・・・
・・・・・・
「あ・・・あ・・・。」
私が攻撃を何度も繰り返したにも拘らず
【魔神】は何度も攻撃をまともに受けたにも拘らず
私たちは最早、手を伸ばせば届く距離まで近づいている
先程までは憤怒と激昂、憎しみで染められていた感情が、今は恐怖が心を占めている
恐怖からなのか・・・魔力が枯渇しているのか・・・身体が言う事を聞いてくれない
対して【魔神】は私の攻撃をまともに喰らい続けたが故に、ローブや仮面は多少裂けたり、ひび割れたりはしているが・・・致命的なダメージを受けている様子はない
「・・・満ち足りたか?」
「あ・・・あ・・・。」
「其の、斬撃全てを享受し、それでも尚、我は今、この場に立っている・・・。」
「・・・あ・・・あ。」
「其の、感情全てを受け入れ、それでもなお、我は、この場に立っている・・・。」
「・・・あぁ・・・・あぁ。」
「国を捨て、世を捨て、弟を捨てよ・・・。されば命は、狩らぬ。」
そう告げた【魔神】は更に魔力を込める
自分はまだ健在だ、私を殺す事等容易だと・・・魔力で以って脅してくる
それはある意味で、圧倒的且つ容易に理解できる程の差だった
【赤炎】の炎は未だ燃え滾ってはいるものの・・・私はその剣を振る事が出来ない
【魔神】は未だ攻撃もせず立ち尽くしているものの・・・攻撃を加える気にもならない
「わ・・・わ・・・私、は・・・。」
命が惜しい
まだ生きていたい
けれど・・・クロノと逢いたい・・・
様々な思考と感情が入り乱れる
「わ・・・私はぁーーーーー!!!!」
無意識の内に【赤炎】から手を離し、右拳で【魔神】を殴りつけていた
だが剣士の拳など、【魔神】からすれば痛みすら感じないのだろう
微動だにせず、反撃をする事も無く私の拳を受けていた
「私は!!生半可な覚悟で!!弟を!!探していたんじゃ・・・ない・・・。」
先程と同じ様に、けれども憤怒などではなく、まるで・・・癇癪を起したかの様に感情が湧き出てくる
その感情のままに・・・反撃を行おうともしない【魔神】に向かって私は・・・拳を振り上げ続けた
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